Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

王子の幇間~桂文楽

中野翠著『今夜も落語で眠りたい』を読んでいたら、落語が聞きたくなりまして、
YouTubeをチェック。

桂文楽さんの「王子の幇間」を楽しみました。
残念ながら音声のみでしたけれど。。。

落語をカセットテープで楽しむ人も多いと聞きますが、
映像がない昔の名人の噺だから “仕方なく” なのかと思っていましたが、音だけの落語もいいものですね、想像力が広がって。

文楽さんの「王子の幇間」は、言葉の間が素晴らしい。
例えば、幇間の平助が女中をからかう時の間は、
平助が女中のどこをからかおうか値踏みしてる様子が伝わってくる。

それから鳶の頭(とびのかしら)を見つけると、婆やをそっちのけにして、頭のところに飛んでいき、
つっけんどんにされるのがわかっているから、一生懸命にまつわりつく様がオカシイの。
頭は平助にしょっちゅうねだられているもんだから、邪けんにする。
平助は、それがわかるから、頭の関心をひこうとする。
その駆け引きが、ちょっとした間で、すごく伝わってきます。
そうかなるほど、これが音声で楽しむ落語なんだと思いました。
枕もない19分の短い話なので、是非、聞いてみて下さい。



実は私、小さい時2度ほど太鼓持ちのオジサンと会ったことがあります。

1度目は3歳だったので何をお喋りしてたかは覚えていないけど、父の会社の宴会で、

幇間さんと芸者さんの間にチョンコンと座った私の写真がありまして、御機嫌な顔して笑っているところを見ると、凄く楽しませてもらったんだと思います。


もうひとつは、中学1年生の時です。

母方の遠縁の葬式に、故人の世話になったという幇間が列席していて、忌明けの食事で一緒でした。

「あの人は太鼓持ちなんだよ」と教えてもらって、興味深々で見てました。

オジイサンは如才なくお酌をして回って「お嬢ちゃんにはサイダーをおひとつ」と注いでくれました。

その時の所作や、優しい喋り方が忘れられません。

幇間という職業をされているのは数人しかいらっしゃらないそうで、貴重な経験だったと思います。

 

そんなこともあってか、落語の中でも幇間の話が好きで「愛宕山」は特に大好きです。

春風亭小朝さんや、古今亭志ん朝さんの演じる幇間は、なかなか粋で、お茶目で楽しいけれど、 今回桂文楽さんの幇間を聞いて、文楽さんの「愛宕山」も是非聞いてみたいと思います。近い内に是非。

続きを読むは、「王子の幇間」のセリフです。
ザックリ聞き起こしたので、間違ってるかもしれないけど。。。

 

 

ようこそのお運びでございまして、ありがたく御礼申し上げます。
間に挟まりまして、相変わらず馬鹿馬鹿しいことを申し上げて、お暇を頂戴をいたします。

なに商売でもひとつの営業となりますと、これが並易しいてい商売はございません。
おい、店が大変騒々しいね おい。誰が来てるんだ。
神田の升美屋の平助が参っております。
しょうがないねアイツは、いっぺんウチを覚えると、のべつに来るよ アイツは。来てもいい、来てもいいけど、アイツが来ると物が無くなっていけませんよ。こないだも来やがって、靴を片っぽ盗んできやがった。変だろ、盗りようが、持ってくなら一足持ってくが いいじゃないか。片っぽ持ってきやがって。
その後に来やがって「旦さんお宅に靴が片っぽございましょう」「おう、あるよ」「是非、戴きたいもんで」「あげてもいいが、何するんだ」「いや わたくしの友達でもって、片足無いんで」「おお、あげましょう」「ありがとうございます」。
持ってったっきり、しばらく来やがらない。忘れた時分になってやって来やがって。「旦さん こんにちわ 売りもんがあって上がりました。是非お買い上げいただきたい」と、すましてやがる。「何だい 茶道具かい」「いえ靴でございます」「おい平助さん、冗談言っちゃいけませんよ、靴なんて物は人の靴なんてのは履けるもんじゃない。とりわけて履もんについては気難しいんだから、ダメだ」「へい旦那様にぴったり合います」合うワケだ、俺の靴だ。俺の靴を二度に一足にまとめやがって。俺んとこに売りに来やがって酷い奴があるもんだ。悪い奴が出入りをするようになって、アイツがね来なくなるような工夫はないかね。

旦那様 こうなすったらどう アレは居ないもんのことを悪口を言うのが癖でございますから、さんざ悪口を言わして、そこに旦那がお留守ってことにして、お出ましになれば、どんな厚皮のやつでももう二度とお店へは参れません。

ああ、ようがす どうも悪いもんが出入りをするようになったようでございましが、へい こんちわ。平助でございます。へい ご機嫌よろしく。お変わりもござんせんで、皆さん、へい こんちわ。あっははは、どうも。御盛大ですな。お店の方が、ご主人に陰日向なく真っ黒になってお働きで、へへへ。ご主人が万歳です、へへへ。
長どん、長どん。えへへ。ああたは評判がいい、ああたは偉いんですってね。全てが行き届いて。人間が親切で。 バカ畜生め。小僧から先に取り巻こうと思ってやがる。てめえが来ると店のものは皆嫌がってるんだぞ。面見やがれ南京虫。
南京虫はよくないね どうも。南京虫なんて虫は、あんまり人に同情を受ける虫じゃないからね どうも。小僧さんに蹴られるようじゃ どうも。

おや。こんちわ。おなべどん。わたくしはねぇ、あなたのことを褒めてるの、あなた偉いんですってね。台所指令長官。このご飯の炊きようがウマいんですってね あなた。えっそもそもおまんまの炊きようは、初めチョロチョロ、中パッパ、じわじわ時に火を引いて、赤子泣くともフタ取るななんてけんぽうはあなたが考えたの? 大変に白粉を塗りましたねどうも、もう少し薄く塗ると良かったね どうも。白粉で盛り上がってるよ。あなたが口をきくと、白粉がボロボロボロボロ落っこちるよ。えっへへへ、勿体ないから白粉 おしろいくらいなもんで。へへへ。下女しっぱなに白牡丹。
う~う、どうせ私は尻っぱな。
あんたお泣きなすったな、やだね、泣く顔じゃないよ、あなたの顔なんてぇものは。美女(いいこ)が泣くと海棠に露ぅ含んだようだってぇが、あなたが泣くと…芭蕉っ葉 夕立をくらったようだ。

涙でもって白粉が禿げちゃったよ、顔がず~っと縞になっちゃったあなた。あなたのお国は薩摩さまですか? そうじゃない? そうですよぉ。かおしまけん (鹿児島県)ってのは、これから始まったんだから。

ようよう、おつむりが嬉しいね、夜会に行っちゃ、奥さんぜんとしてしんぎょうじゃないてんで。あぁたはハイカラ。あなたはハイカラだもんで、よくお似合いだ、リボンなんぞ大きいのをかけて、へへへ、じぶんでかけた。かける網がないてな餅網をかけた。片持ちだな どうも、お召しもんがいいな、手織り木綿で丈夫でしょうな。夏向きだというと汗をこう はじきますかな。はあ、おみ帯がいいね、よく端正にそう雑巾を繋ぎ合わせたな。悪くなると そばから切ってこの雑巾にしようって(笑)無駄がないや することに。帯留めがないてんで、荒縄を締めて。成田さんのお札を下げたんじゃ勿体ないとマッチの箱を下げて、火付けだねまるでどうも。ようようっ おみ足おみ足。ほほほっ馬鹿に大きいおみ足だな、十三文(32.5㎝)甲高ですか? 大は小を兼ねるってますから、大きい方がお立派でよろしい。かかと方が割れてますね、かかとの方が割れてますがアカギレ? アカギレですか? このお温ったかいのに。へっ? 四季に構わず、偉いな、アカギレ博覧会の時は一等賞だね、あぁた。アカギレの割れ目んとこからチラリんと青いもんが出てますが、割れ目からひょいと青いもんが出て、へっ? お国を出る時に、アワやヒエを踏み込んだんで、ご当地が温ったかいて芽が出た。かかとの田地を持ってんのは あぁた1人だねどうも。あなただね、かかとを抵当にお金を借りたいなんて へへへ。怒っちゃいけませんよ、怒る顔じゃないよ、わたくしはね、あなたに恋着 ( れんちゃく ) をしてますよ、惚れてますよ。近々に結婚を申し込もうと思ってる まったく。とにかくね、表へ出ましょう。こう、こう、ふふふ、どこかこう 睦やかかに。散歩をしようじゃないか、手握りかなんかで。つまり手前の胸の内をあぁたに、あなた逃げなくても 何ですよあぁた、へへへ、それはないよ、あなたって、そりゃっ へえ? 嫌です? 嫌ならいい、たってあなたじゃなけりゃならないというわけじゃないんですから。二、三軒また他を来合わせますから。じゃじなんでへい、しっかり。裏切っちゃいけないや、こっちが断るらあな。

おやっ、こんちわ。婆やさんですか? いい子ちゃんや。よしおちゃん。婆やさんにオンブして、へへへ。るるるるるるばぁ~~、笑ってらっしゃる。お可愛くなったね、へえ?あなたのね、太りましたね、お乳が良いから。あなたのお乳なんて大そうな乳だ。今日ではね、お子供衆を育てるてぇことについては、なかなか責任が重い、まず芝居ですると、まずあなたの役が、まず 先代萩の政岡 ですなぁ。歌右衛門が演りましたね、綺麗でしたなぁ。あぁた いやにキタナイね どうも。これいちめい 不潔政岡。きたな正夫。なんです? バカにするなんてのは、こんなもんじゃ、わたくしはね、あぁたの家柄を聞いて驚いてるの、大そうな家柄ですってねあなたのとこは。へっ? 小野小町のおまるがあるんですって? あなたのところには。偉いと思っちゃった。ただ憎いのはねぇ、あなたよしおちゃんをオンブしながら、国へ残してきた先(せん)のご亭の、ふっふふ、れきの、のろけを言ってんだ、ひどいよ。守歌で。聞いてたよ。
♪あっあ~そうだぁねっ、まとまるものならまとめておくれさ、ねぇ、厭で別れた…

おやっ、こんちわ、どうも~、気が付かなかったどうも、頭でございますか?
うるせえ野郎だね コイツは。べらべらベラベラお喋りをしやがって、こんなうるせい奴はねえな。どうでい平助、儲かるかい。
へへ、儲かるかいって頭、口をきいちゃいけませんよ頭。黙ってらっしゃいよ。何にも言わずに黙ってわたくしに五円下さい。
乞食だねコイツは、人の面見りゃ 銭下さい 銭下さいって、てめぇに五円なんか取られるような悪いことがあるかい。
あるか? へへへ、人が知らねえと思ってやんの。ちきしょうホントに 女ごろし。
頭、頭、ああたに婦人が惚れる、確かに惚れる。男のあたしでさえ、惚れてる。ねっ、男の惚れるような男でなけれゃ、粋な年増は惚れないていいますが事実ですな。頭は江戸の名物、勇み肌。ねっこういきたい。おだてるワケじゃないけど、あなたのどこがいいてのお金の使いっぷりがいい。生きた銭を使うってのは、あなたのことだよ、まったく。わたしなんざ、ぼんやりしてぽーっとしてるでしょ? あなたがおいでになって、「平助どうしたい、ぼんやりした顔して、テメエまた銭がねえんだろう、しょうがねぇや、笑わせやがって。やらい、しょうがねぇ、使えい。持ってけぃ」なんてんだから。(笑)いつでも五円くらい作れるんだから。きっとくれるんだからね。この前なんぞ すぐくれた。今日はまだくれないけど。
なんだよ、お前。こいつは、厭な奴だ。

この春ね、あぁた、はしご乗り、はしご乗り。名人だね、驚いた、見てましたよ。とにかくね、はしごをとにかく立てるでしょう? 上へこう、し~~~っと登りますね、登ってこの上のあぁた、何てました? 上の はいふき? あそこへあぁたね、腰を下ろしちゃってね、こういう形になっちゃってね、反身になってね、いくら揺すばれたってな、落っこったって、下に受け手は大勢あるんだ。てな顔して。役場みてぇのを四つにたたんで、(パン) ほぉっちゃって、さっ。いい形だったね。役者衆にもあの形ばかりは出来ないって、芸者衆も褒めて評判が良かったよ。先月の24日。ははは、あなたね、稲本の2階で、三味線弾いてましたね。

こんちきしょう また 何でも知ってやんなぁコイツ。
そぅ~です。蛇の道ゃヘビ。
お茶屋まで知ってるから憎いね。真澄屋の所へ行ったろ? 悪いことは出来ない、あはははは、わたくしが探偵団。またあの花魁がね、頭に恋着をする花魁でした。失礼なこと言うけど、花魁衆なんてのはこの節はみな田舎だもの、それがね、あの花魁は鉄火でね。「頭や、なんか粋なものお弾かせな」なんてね。あぁたはね、いい間の振ですってね、久しぶりだから俺みんなに三味線聞かせてやるなんて言ってね、あぁた三味線をね、こう構えた。いい形だったよ。おにがじゅうのう(?)じゃなかったよ。演りもんが良くなかったよ、どんがらがんをやったもの。どんがらがんなんて、いいもんじゃないね、だいち 婦人の前でやる芸じゃないや、ありゃ。
♪ほかのどんがらがんた、どんがらがんが 違~う どんがらがん
って、面白くもなんともないよ、ありゃ。何か変わったことしてる、せいごどんどん、あなたね、鉄火で最後どんどんって言わなかったね、せいごどんどん。長唄のせいごどんどん弾いてたけど、面白いもんじゃないやありゃ。
♪ちゃ~んちゃ、ちゃんちゃん、ちゃ~んちゃ、はぁ~~あ。

パチン、どん。パチン、どん。

この野郎っ。てやいっ平助このバカ。ここはどこだと思ってんの、お店( たな )だぞ。お店に来やがって、俺が女郎屋の二階で三味線弾いたなんて、旦那や女将さんの耳にっ。
イヤっ、どん。
いやっ。いやっこれゃ無神経でした。こりゃ気が付かなかった、これは信用に関わることで、これはわたくしが悪い。取り消す、取り消しますよ。苦しい、苦しいってああた。うえっへっへっへっ。かっ頭ぁ~。頭が三味線を弾いたのは、ありゃ、女郎屋の二階じゃない。
どこで弾いたんだ。
区役所~。
面白くないね。

へい、ご機嫌もよろしくお変わりもなく。ご無沙汰をしておりまして。
平助さん、いらっしゃいまし。大変今店で良い音がしましたね。
えっへ、粗忽でございまして。おつむを柱へさっとぶつけまして。
大変 数をぶつけたようじゃないの。
え~こんちは旦那様は?
おとぼけなさるな。しらばっくれて。旦那様はいらっしゃるわけはないじゃないの、四日もウチへお帰りがないんですよ。お前さん、旦さんを取り巻いて方々歩ってるんでしょう? ああ、わかりました、どうも様子がオカシイと思ったら、旦那に頼まれてウチの様子を見に来たね。旦那のお前は間諜だね。

かんちょう? かんちょうだか注射だか知らないけど。太鼓もちなんて商売は長くする商売じゃない、えん罪だ、濡れ衣。これはね、奥さんの前だから言うけど、あたくしはどっちの贔屓もしませんけど、まるっきり知らないんですから。まるでね、知らないんすよ。
これはね、( クッチャクッチャ ) 奥様の前ですけど、 あたくしをね、つまりしくじらせようという、誰かの魂胆ですね。あぁ、こりゃいい。まるっきり知らないんですよ、ほんとうに。

何だねこの人は、みんな食べちまう。お前さんに出したんじゃないよ。
もう前にあれば手前のもの。(ズズズ~っ)
あたしの湯呑だよぅっこれはっ! こんな図々しい人はないよ。
まったくお帰りがない、いらっしゃらないの、本当に? なれば大秘密のことを申し上げますがな、奥さん、あんた近々に大難が来たってます。
わたしが大難、どういう大難?
  あなたは近々、ここの家を出されますよ。
どういう罪あって、あたしが出されるの?
いえ、罪があってもなくても旦さんはね、稲本の花魁で瀬川花魁ってのを身請けをいたしまして、あとを囲ったの。その花魁を近々にお家にお入れになって、あなたみたいな定業な立派な奥さんを出そうという下心。実にわたくしはあなたがお可哀想で、あなたが出されるようじゃ神も仏もない、なんたることか。つまり旦さんは、間が差した。 ( ずずっ ) ああた、お可哀想。

平助さん、あなたは私が出されても泣いておくれだろ? 
涙なんてものは、シャレや冗談で出るもんじゃございません。
お前さん、泣いてくれるのは嬉しいが、目のとこにお茶殻が付いてる。
あたくしはもう、ごく悲しくなるとお茶殻が出るの。
なんだい、全く。本当に。お前さんが涙を流してくれるという心持は嬉しいよ。
はっ。奥さんの前ですけれどもね、これはまた大秘密でございます。あなたとわたくしと専ら貫通をしてるって、実にどうも、情けないもんですな。
そうかね、わたしはそんな心持はないんだけど。だけどね、旦那がそういう心持ならわたし、お前さんと一緒に逃げてもいいんだよ。
へっ? わたくしはあなたに対して申し上げようも…
このつづらを背負っとくれ。
このつづらを背負う。あなたの仰ることならば、このつづらを背負うてぃ、( ドタン ) こら、大変 重いようで、何入って…
金の延べ棒が63本入ってるの。
金の延べ棒が64本となると、かなり、重いっ
もうね、債権やら株券やなんだが、相紙の代わりに入ってるの。
とうっ、うっ。背負いました。たはっ。
偉いねぇ、まあ(笑)本当に。ちょいとミーや。ちょいとこの猫をね、可愛がってるんだから、この猫を連れてくんだから、猫をお下げよ。
えっ?
猫。
あっそうすか、へい。
そこにある鉄瓶を下げておくれよ。
へい。ああこりゃ、色男の図じゃないねぇ。へっ、つづらを背負って、猫を下げて、鉄瓶を以てと。へいっ、下げました。
まあ。嬉しいね、あたしの言うこと、何でも聞いてくれるんだからね。だけどね、お前さんあたしと逃げて、どっか行って、お前さん何でしょう? 若い人が出来て、あたしなんざズドンだろう?
冗談言っちゃいけませんや。今年ゃ婆あの流行り年。わたしはね、あなたのタメならね、少しくらいぶたれたって痛いなんて言うような人間じゃない。
そうだって、優しいんだってね。試すよ、少し。二つくらい試して ( パン ) なるほど、この人は、(笑)黙ってるね、可愛いねホントに。
痛いね、ホントに。出し抜けにきたな。こりゃ驚いたね、へい怒りません この通り。
怒らない?
本当にぶつと怒りますって
(パン) まあ、ぶちいいね、(パン) 真赤になってきたね
。 あぁた、いやに試すんだね、どうも。あなたその、御仕度はいいんですか?
旦那様、さあどうぞ、御出遊ばせ。
そうか。平助。
あ゛ぁぁ~、こらいけないな旦那がいるんだ、こりゃ。旦那様ですか、ご機嫌よろしゅう。
馬鹿野郎、つづらを背負って、金の延べ棒が63本、バカ。石臼が二つ入ってんだよ。あっはっは。
いけないねぇ、どうも、悪いシャレだね。
猫を下げやがって。鉄瓶を下げて。平助っ、何てざまだ。
へぇ、なんてこれは、ご近火のお手伝いでございます。