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garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

イトーさんと 『幸福』 という映画

 

『幸福 (LE BONHEUR)』を40年ぶりで鑑賞しました。
初めて観たのは15歳の時、親同伴でなく映画を観た、あれが初体験だったな。
「観たい映画がある」という同級生にくっついて映画館に行ったんですが、映画を観慣れていないワタシには、さっぱりわからんフランス映画でした。

 

話は、妻と2人の子供と幸せな生活を送る夫が、愛人をこさえて、それを妻に話すと妻は入水自殺してしまい、夫は愛人と所帯を持って子供2人と幸せな生活が始まるというもの。
15歳のコムスメには、ちと難解だったわね。

映画自体はピンと来なかったけれど、全編に流れるモーツァルトのクラリネット五重奏曲が素敵で、40年たった今でも忘れられずに、頭の中でリフレインする大好きな一曲になりました。

 

私をこの映画に誘ってくれたのはイトーさんは、
クラスでは地味な存在でしたが、彼女が筆を取ると、先生が舌をまくほどの絵や文章を生み出す人でした。映画への造形も深く、観た映画を説明するのもとても上手だったので、「いとさん、あんたの頭の中はどうなってんのよ」と、よく話したものです。羨ましいほどの知力・記憶力・感受性を具えた彼女を見ていて、彼女が何故あの映画を絶賛してたのか、ずっと気になっていたんです。

 

モヤモヤした気持ちに決着を付けるべくDVDを購入して、再鑑賞。
おおおお、こんな感じだったのか。。。

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平凡だけれど、満ち足りた日々を子供たちと共に過ごす夫 フランソワ ( ジャン=クロード・ドルオー ) と 妻 テレーズ ( クレール・ドルオー ) 。

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彼等は実生活でも夫婦で、夫はテレビ俳優で、奥さんは素人さんなんだって。

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ジズー ( 上の娘 ) とピエロ ( 下の男の子 ) も、ドルオー夫妻の実子らしい。

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映画には、何回もピクニックシーンが出て来る。

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夫のフランソワは、伯父のところで働く大工さん。 妻は自宅でお針子さんをしている。

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ある時、夫はエミリという女性に会う。

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互いに魅かれていく2人。

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こうしてフランソワの不倫が始まるんだけど…

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家庭では良き夫、良き父親。

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フランソワは、愛人にこんなことをぬかす。

「妻は植物で君は自由な動物だ。僕は両方愛する」

 

愛人

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フランソワは、妻-テレーズに愛人のことを打ち明けるの「僕は嘘がつけない」って。

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テレーズは、夫の告白を静かに受け入れる…

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だが、昼寝から目覚めると夫のかたわらに妻の姿はなく…

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水死してしまった。

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悲しみにくれる夫だったが…

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エミリへの愛を諦められず求婚。

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そして秋。
フランソワとエミリと子供たちの生活が始まる。

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ううう。。。なんか、やっぱり釈然としない。
大人になったらわかると思ったけど、やっぱりわかんない。
こんな男のどこがいいのよねえ、一体。
夫が、妻に不倫を告白するセリフはこんな感じ。

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妻「最近なんだかたのしそうね」
夫「わかる」
妻「ええ 夏だから? 何がうれしいの?」
夫「幸せなんだ わかるかな 説明しにくい」
妻「フランソワ 話して 私もバカじゃないわ」
夫「僕は 嘘をつけないから…」
妻「話を続けて」
夫「悲しむことじゃないさ
  僕たちは 区切られたリンゴ畑の中にいる
  でも畑の外にもリンゴはある その木も同じように実を作り増えて一緒になる
  話が分かるかい?」
妻「別の女性に愛されたのね」
夫「そうだ」
妻「愛してるの?」
夫「そうなってしまったんだ それに 楽しかったし…」
妻「そうなって長いの?」
夫「一か月だ 責めないで 僕は変った?」
妻「いいえ」
夫「愛が薄れた?」
妻「いいえ でも妻は私よ」
夫「愛してる 僕を見て
  例えて言うなら 僕にはお前を抱く腕がある
  でも別の腕が別の女を抱く」
妻「その人焼きもちは?」
夫「焼くもんか」
妻「結婚したがってる?」
夫「まさか お前がいるのに」
妻「分からない こんなこと」
夫「悲しむなら 関係はやめる 言うとおりにするよ
  お前には 幸せでいてほしいんだ 子供たちも
  ただ愛を禁じるのはバカげてるだろ
  お前が今まで以上に僕を愛してくれるなら」
妻「ええ できると思うわ」
夫「いいんだね!!」

映画では 妻の死が事故か自殺か描かれてないけど、、こんなこと言われたら、世を儚むんじゃない?
「お前が今まで以上に愛してくれるなら」って、どういう口が言わせるんだ、この男は!!
そんなフランソワは、愛人にもこんなことを。
男 「君がよければ 結婚しよう」
愛人「奥さんの代わりは嫌よ」
男 「両方 愛した 妻は死に 君を愛してる
  そして 子どもを愛してほしい」
愛人「顔は知ってるわ」
男 「結婚は嫌かい?」
愛人「いいえ あなたが幸せならいいのよ」
男 「ありがとう」


妻にも愛人にも「僕を愛してくれるかい?」なんて言っちゃってさ。
あくまでも判断を相手に選択させるのよ。
セリフだけ抜き出すと狡猾な男に見えるけど、映像の夫は純粋な目をしている。

巨匠アニエス・ヴァルダは、どういう意図を以てこの作品を作ったんだろう。
幸福と銘打ってね。
この男はいつでも幸せだけど、愛した女を幸せにしたかどうかはワカラナイっていう話なのかしら。

40年前にも思ったんだけど、高校生でこの映画を観たいといっていたイトーさん。
当時の彼女が、この映画を観てどんな風に思ったか、ちゃんと聞いておくんだったなあ。

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面白いなあと思ったシーンをいくつか。。。
彼の家で営まれる 妻と愛人の生活を手で対比させてるの。
 
妻のカット 愛人のカット

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そして圧巻が。。。
妻とのピクニックで始まり、愛人とのピクニックで終わる。 

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わああ、静かなだけに、ゾクッとする映画でございました。