映画『あなたのために』
Where The Heat Is 2000年作
ストーリー展開“甘すぎる”と言ってしまえば、それまでだけど
のんびりアメリカ-田舎町の暮らしぶりを楽しむには実によい。
難しく考えないで観たらよいと思える1本です。
★★★☆☆
≪ STORY ≫
『あなたのために』公式HPより
17歳にして出産を間近に控えたノヴァリー(ナタリー・ポートマン)は、家庭の温かみを知らずに育った。彼女にとって家族らしき者はミュージシャン志望の身勝手なボーイフレンド、ウィリー・ジャックだけ。二人はオンボロ車に乗ってテネシーからカリフォルニアを目指して旅立った。けれど、オクラホマでノヴァリーがトイレ休憩のために立ち寄ったウォルマートから出てきたとき、ウィリー・ジャックは車もろとも消えていた……。独りぼっちになったノヴァリーは内緒でウォルマートの店内に住みつき、数週間後にフロアで出産のときを迎える。一躍有名人になったノヴァリーと“ウォルマート・ベビー”。ノヴァリーはそれから、少々エキセントリックだけれど素晴らしい人々と出会い、彼らとの温かくいたわりに満ちた関係の中に“家族”を見出していく。彼女はもうホームレスのティーンエイジャーではない。ノヴァリーは運命が彼女を放り出したオクラホマの小さな町に、自分の居場所を見つけたのだ――。
≪ どこに住まうか ≫
巨大スーパーに住む。
衣類から寝具から食品まで、何でも揃っている“ウォール・マート”
その気(生活する)になれば“出来そう”と思える設定が面白い。
どんなに快適(?)な暮らしが出来るか試してみたくなった。
図書館に住む。
主人公に好意をいだく青年フィーニーは図書館の住人。
こんな感じの図書館の二階に、司書官(Librarians)フィーニーの住まいがある。
一日中本に囲まれて暮らす環境。ちょっと羨ましくなった。
修道院…じゃないところに住む。
シスター・ハズバンドは普通の家に、普通の格好で住んでいる。
シスターには免許とか制度とかあるのだろうか。
アメリカでの聖職者事情、いちど調べてみようと思う。
≪ ユニークな脇役たち ≫
Sister Husband
シスターといっても修道院にいるようなシスターとは ちょっと違う。
普通の格好して普通(?)に男とも同棲をしている。
食前のお祈りの時も こんな風。
「主よ、わたくしたちのからだを養うこの食物に祝福をたまわれんことを。そして主よ、今日また、このテーブルでMr.スプロックとわたくしは 姦淫の罪をおかしてしまいました。お赦しくださいアーメン。」
Stockard Channing
おっかない母親から、セクシーな独身女までこなす個性派女優。
最新作『理想の恋人.com』でも、恋を謳歌するイケイケの中年女性役を好演し、作品に厚みを出している。
私生活では飲酒運転で捕まって更正施設に入れられたりヤンチャな一面もある。
エリザベス・テーラー似と言われた彼女の離婚暦も4回というから凄いものだ。
頑張れ!! リズ(離婚8回)をめざしてもう一歩。
Lexie Coop
“父親になってくれる男を探すとなぜか子供だけが残る”
という面白いエピソードの持ち主。
父親の違う4人の子供を抱えてたくましく生きている。
ノヴァリーにとって彼女はシングルマザーの大先輩であり大切な友人である。
Ashley Judd
『ノーマ・ジーンとマリリン』(マリリン役)での彼女も良かった。
ポッチャリとした唇、どことなくシャーリーズ・セロンに似ているが、セロンより庶民的な魅力がある。
Mama Lil
娘がマスコミで話題になり金持ちになったと知って現れる母親。
かつて娘を捨て駆け落ちした身勝手なこの母親の登場に
「気をつけろ。金渡すな。持ち逃げされっぞ~」と叫んだのはワタシだけではないだろう。
Sally Feild
93年『ミセス・ダウト』でロビン・ウィリアムズの妻役。94年『フォレスト・ガンプ』の母親役。『マグノリアの花』ジュリア・ロバーツの母親役。近年は流石に主演ということはなくなった彼女だが、脇に回ってもその存在感は素晴らしい。ワケありの母親役をやらせたら彼女の右に出るものはないだろう。 現在(2006年10月)再放送中のER9にも、アビー・ロックハートの母・マギー役として出演し、見事エミー賞を獲得した。
≪ ここまでステレオタイプじゃ…笑うしかない ≫
映画は、ノヴァリーの人生と同時進行の形で、 彼女を捨てた男ジャックの人生も描いていく。
男に捨てられた女は「周りに恵まれすぎじゃない?」という位、成功者の道を歩む。 女を捨てた男は「何もここまで不運が続かなくても…」と気の毒になる位、落ちぶれていく。
ノヴァリーの出産は町中の話題になり、マスコミは赤ちゃんを『ウォルマート・ベビー』と書き立てる。 一躍有名人になった親子の病室にはアメリカ中から花や、手紙や、寄付金が届く。
「好きだろうなアメリカ人。こういう話が」と笑った。