ウマい日本酒-黒帯に、丁寧な仕事の美味しい料理の数々と、
気持ちの良いもてなしを受けて「やっぱり金沢に来て良かった~」とご機嫌な2人。
しかしこのままでは帰れない。
もう一軒行きたいところがある。
Bar spoonです。
一昨年来店し、たちまち細田バーテンダーのファンになり、
去年も楽しみに来たのですが定休日、泣く泣く帰りました。
そして、今年こそはと再来。
よかった。あいてる。
一昨年と同じ、入ってすぐの席に座りました。
先客は3組ほど。
ところがバーテンダーが、細田さんひとりです。
あれ? 一昨年いた若いバーテンさんは卒業?
それとも独立? もしかしてクビ? ←なことないか
細田さんはバーテンダー協会の重鎮ですから、彼を慕って門をたたく修行者が多いときく。
案の定、来月から1人面倒をみることになるのだそうな。
「おひとりじゃ大変でしょうし、よかったですね。」
ところが、一概にそうでもないらしい。
かえって骨が折れるんですと。
「なかなかどうして、しんどいんですよ。
1人なら忙しくてもお客様のことだけに専念できるんですが、
人が来れば、一から教えなければならない。かえって仕事増えるんです」
とほほという顔で、細田さんは笑います。
なるほど、そういうものなのか。
Bar spoonの場合の求人は《助っ人》ではなく《育成》の要素が強いから、複雑なんですね。
ところで。
私たちは細田さんのことは知っていますが、向うにしてみたら私たちは一度きりのお客です。
話はしました、一応。
● 一昨年、アマレットでカクテルを作ってもらって忘れられなかった話
● 去年は定休日にあたり、仕方なく探したバーが細田さんのお弟子さんの店だった話
「そうでしたか、それはどうも。
で、弟子の店というと、コハクですか? なんと偶然。ありがとうございます」
コハクで「アマレットでカクテルを作ってほしい」とlリクエストして話は割愛シマシタケド ww
今回は是非とも、またあのアマレットのカクテルを作ってもらおうと思っていたんですが、、、
お客さんが立て込んで、なかなか落ち着かない。
細田さん、なんせ一人ですから。
私たちの隣に女性の一人客がいるんですが、どうしても彼女の話し相手になる時間が必要だし。
しかも彼女は細田さんのお嬢さんの友達らしく、内内の話とかもされているわけです。
聞くともなしに聞こえてしまう訳です彼女の話が。
でもまさかそんなことはここには書けません。
となると話は限られる。
ブラッディマリー、うめーーー
Bar spoonのカウンターは13席。
まだ空席があるけれど、細田さん来客を断り始めました、丁寧に。
「大変に申し訳ございません。お席はあるんですが、
今日はわたくし一人でして、充分なサービスが出来ない状態でございます。
まことに申し訳ございませんが、またのご来店をお願いできないでしょうか」
こうなれば、席が空いているとウキウキ入ってきた人も仕方ない。
私たちだって、あと30分も遅ければ、そういう立場になっていたのです。
大変だわ、やっぱり1人では
でも、、プロですね
「万全のサービスが出来かねないのでご容赦を」と言われてしまえば、
「そうか」とあきらめて帰るしかないけれど、みな納得顔です。
日頃満足した対応を受けているからこそ、細田さんの「ゴメンナサイ」がきくんでしょうね。
やっと落ち着いて細田さんがやってきました。
「それでは、アマレット、お作りしましょうか」
「いえ、お願いしようかと思ったんですが、今日はやめて帰ります。
アマレットは来年の楽しみにしようと思います」
細田さんはちょっと驚いたような、少しほっとしたような微妙な表情でしたが、
私、思ったの。
私たちが引き揚げれば、新しいお客さんも何組か受け入れられるでしょう?
それで楽しみは来年にとっておこうと。
会計の際、何故かラーメンの話になって、隣の彼女もウマいというお店を教えて貰いました。
「凄いラーメン屋というのじゃないんですよ、普通のラーメン屋ですからね」
細田さんにそう念を押されたお店はここです。
何が美味しいか聞いたら、
隣の彼女と細田さんが、口をそろえて言いました。
「断然、塩です」
食べるかなぁ、あんなに食べたのにぃ。
うまい、本当にうまいぞ。
なんということはないのに、何故だ、うまい。
餃子も、色んなことしてなくて、ウマい。
石川に乾杯という、ビールで乾杯。
いやあ。
いいお店を教えてもろた。
隣の彼女も「金沢に出張で来たら、必ず食べて帰る」と言っていたし、
来年からは私たちもそうなるのかな。
美味しかった、ごちそうさまでした。
あとは交差点を渡った先に見える、あのホテルに帰って寝るだけです。