Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

映画 『路傍の石』 (1964)

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山本有三さんの代表的な小説『路傍の石』の映画 ( 1964年版 ) を見ました。

路傍の石は、過去4回映画化されていて、1964年版は一番新しいものです。

父親-庄五を佐藤慶、母親-おれんを淡島千景、次野先生を中村嘉葎雄が演じていました。

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映画の筋書は

「主人公の吾一が小学校を卒業した後、父親の借金のカタに伊勢谷に丁稚奉公に出るのだが、
 どうしても進学 ( 旧制中学 ) の夢が諦められず、母親を説得して東京へ行かせてもらう」
というところで終わります。

原作は、母親が生活苦で急死したのをキッカケで、伊勢谷を逃亡。

東京に出てからもひと波乱、ふた波乱あるという話ですが、

1963年版のこの映画は、前半部分の子供の頃の話だけにして、話も随分丸くなっています。

初恋の相手おきぬのエピソードも、

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原作は、吾一を慕っていたおきぬは、吾一が自分の家 ( 伊勢谷 ) の奉公人になった途端に、

手のひらを返したように冷たくなります。

でも映画の方は、吾一の同級生でもあった兄の秋太郎が吾一をゾンザイにするのを、

柱の影で ( 巨人の星の明子姉のように… ) 見ている感じに変更。

 

 

また、頭の悪い秋太郎が中学の宿題を吾一に押し付けるという設定だったのも、

映画の方では、英語の手ほどきをして助ける役に変更されています。


母親のおれんは、原作では死んでしまいますが、映画では、吾一の進学を後押しする為、伊勢谷に掛け合うという美味しい役になっています。

吾一に学資援助を申し出る本屋の黒川も登場しないし、

吾一が同級生に はやし立てられて鉄橋にしがみつく、あの有名なくだりも割愛されています。

全体的に甘いストーリーになっている所に、ちょっと物足りなさを感じつつ、

子供たちの描写が面白く楽しめました。

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尋常小学校の仲良し三人組。

お調子者の作治は、優等生の吾一を兄貴、ガキ大将の京造を親分と慕う。f:id:garadanikki:20180623131200j:plain

 

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しかし、彼等は卒業すると様々な生活が待っている。

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吾一は秋太郎の家の奉公人となり、京造は家の魚屋を継ぎ、作治は床屋の下働きに出ます。

彼等が会えるのは、お盆だけ。

 

再会した三人組は、恩師次野先生を訪ねたり、盆踊りの縁日を楽しんだりする。

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やがて作治が肺をこじらせ急死してしまうのですが、吾一は臨終の席に駈けつけることも出来ません。

明治の頃の親子関係・奉公人と主人との主従関係など、現在では理解しにくい世の中の事情が、

コンパクトにわかりやすく描かれた作品でした。

 

特に、伊勢谷の大番頭役の織田政雄さんが良かったです。

この手の置き方。

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呉服屋の伊勢谷の大番頭がネチネチと女言葉で奉公人をいじめるんですが、

織田さんには演技を超えた存在感があって凄かったです。

唐突ですが、ある人物が頭によぎりました。

中村屋一門の最古参 小山三 ( こさんざ ) さんです。

もちろん小山三さんはネチネチ意地悪な方ではないですが、それ以外は感じが似ていると思いまして。。。(笑)



主役の吾一を演じた池田秀一さんの人となりが知りたくなりました。

現在も声優さんとして活躍されている、、、というか声優界の大重鎮だそうです。

( アニメとか映画の吹き替えにうとくて知りませんでした )

ガンダムも知らない私なので、池田さんの前の奥さんが戸田恵子さんだったというのも、

今回初めて知りました。

所属事務所は俳協。俳協のホームページは、所属俳優のボイスが聴けるようになっていました。

流石、声優さんを多く抱える事務所だけあります。面白いので是非聞いてみてください。⤵

池田 秀一 - 俳協

 


もう1人、仲良し三人組の京造を演じたのは、当時15歳の風間杜夫少年でした。

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どこかに面影はありますわね。