garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

4つの『A Star Is Born』

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今年の初め、『アリー スター誕生』を観ました。

今頃、感想文というのも何ですし、

過去に公開された3作も全部見ていたので、

比較しながら 4つの『A Star Is Born』のお話しをできたらと思います。

 

スター誕生は、筋がき設定が決まっています

どんな設定か ざっくりいうと ⤵

・スターになりたい無名な女が、大スターの男と出会う。

・女の才能をいち早く認めた男は、彼女を後押しする。

・二人は互いに魅かれ合い結婚する。

・男は人気に翳りがみえ始め、酒におぼれ転落していく。

・女は、スター街道を突き進む。

・大スターとなっても女は、自分を発掘してくれた男への愛を捨てずに尽くす。

・そんな女の足かせになれないと、男は自ら命を絶つ。

 

4つの『A Star Is Born』

スター誕生はアメリカで過去4作作られました。

1作目 1937年 ジャネット・ゲイナー版

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『スタア誕生』監督:ウィリアム・A・ウィルマン

       女 (ヴィッキー・レスター):ジャネット・ゲイナー

       男 (ノーマン・メイン):フレデリック・マーチ

 

2作目 1937年 ジュディ・ガーランド版 

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『スタア誕生』 監督:ジョージ・キューカー

        女 (ヴィッキー・レスター):ジュディ・ガーランド

        男 (ノーマン・メイン):ジェームズ・メイソン

 

3作目 1976年 バーブラ・ストライサンド版

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『スター誕生』 監督:フランク・R・ピアソン

        女 (エスター・ホフマン):バーブラ・ストライサンド

        男 (ジョン・ノーマン・ハワード):クリス・クリストファーソン

 

最新作 2018年 レディー・ガガ版

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『アリー/ スター誕生』監督:ブラッドリー・クーパー

            女 (アリー):レディー・ガガ

            男 (ジャクソン・メイン):ブラッドリー・クーパー

 

あらっ、今気がついたんだけれど、全部女性が右側です。

偶然かしら。

 

4つの作品をおおまかに比較すると、

前期2作は映画業界で、3作目から音楽業界に変更されています。

登場人物の名前も一部変更されました。

男が死ぬキッカケも、前期と後期で違います。

最新作 レディー・ガガ版3作目 バーブラ・ストライサンド版は、

世間の風評や 身近な者 ( マネジャーなど ) からの「彼女のキャリアの邪魔になっている」というバッシングにより自死を選ぶ形ですが、前作2は、女が自分の為に芸能界を引退するという話を聞くのがキッカケです。

  

以下は、1937年 ジャネット・ゲイナー版のシーン、

アルコール中毒の男の世話をしたいと、女はプロデューサーに引退を宣言。

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隣室のベッドでそれを聞いてしまった男は・・・・

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死を決意する

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一方、最新作 レディ・ガガ版は、随分違います。

女 (アリー) をメジャーデビューさせたマネジャーのレズが、男 ( ジャクソン )  の元にやってきて、「君はアリーのキャリアの邪魔になっている」と告げることによって、悲劇的な結末を迎えます。

生き馬の目をぬく芸能界の現実を描くには、そのシビアさがリアルなのはわかります。

しかし《甘い》とわかりながらも私は、《愛する彼女が自分の為に夢をあきらめるというのを知った男が自死を選ぶ》という方が、説得力を感じます。

だからこそ《死んだ夫の意思をしっかり受け止めて、銀幕の世界に彼女は戻っていく》というラストが成立するように思えるのです。

 

個人的にどの作品が好きかと言えば。。。

私は迷うことなく 1作目 1937年 ジャネット・ゲイナー版 をあげます。

ジャネット・ゲイナーは、サイレント映画からトーキー映画に移った時代を、うまく乗り換えられた女優さんです。サイレントに不可欠な顔の表現は素晴らしい。演技力が抜群であるだけでなく、美しいチャーミングな声の持ち主だったからトーキーでもスターで居続けられたのだと思います。

 

ジャネット・ゲイナー版の特徴は、自らもチャンスを求め奮闘する女だということです。

他の作品では、女は、男に見出されるまで深夜のバーで歌っていたりしていて、自分からチャンスをつかもうというアクションは起こしません。

 

しかし、ジャネット・ゲイナーは一生懸命です。

田舎のおばあちゃんに応援されハリウッドにやってくる。

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安宿で知り合った監督志望の友達と一緒に一生懸命売込みを開始します。

映画関係者が多く集まるというパーティーの給仕として、

顔を売ろうと頑張る彼女、これが可愛いのです。

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しかし、彼女が男と知り合う時には打算は見えません。自然に認め合っていくというように見えるのは、ジャネット・ゲイナーが物欲しそうに見えないからなのかなと思いました。

 

男の推薦で映画会社に入れた彼女は、

メイク係に売れる為のメイクアップをほどこされます。

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このシーンは、2作目 1937年 ジュディ・ガーランド版 でもありますが、

ジャネット・ゲイナーの方がコメディタッチに磨きがかかっていました。

 

プロデューサー役のアドルフ・マンジューがまた素敵でした。

この方もサイレントからトーキーに転換できた名優さんです。

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彼が演じるのは、2人の良き理解者であるプロデューサー。

普通、プロデューサーだったら利益も考え、今の男 ( ノーマン ) は厄介者のはず。

しかし彼は、ノーマンが女 ( エスター ) にとって無くてはならない存在であることを、

十分理解し、エスターの為にノーマンの復帰映画を企画します。

 

 

ジャネット・ゲイナー版 では、女が引退宣言をしたことが男の死のキッカケになったとお話ししましたが。

このシーンでもプロデューサー役のアドルフ・マンジューがいいのです。

彼女の話をよく聞いて、無理な留め立てもせず励まして帰っていきます。

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そのやり取りを隣室のベッドで聞いていた男 ( ノーマン ) は死を選ぶのですが。

 

でね、このシーンを見返して思ったのですが、

ノーマンが死を決意したのは、一番には彼女を自分から解放してあげたいという気持ちだと思います。

でも同時に、この、友達のプロデューサーに任せておけば、彼女は大丈夫だという安堵の気持ちも芽生えたのではないでしょうか。

そういう結びつきがあったから、彼女は夫の死を乗り越えて、もう一度女優として頑張っていくことも出来たと思うのです。

 

しかしこれが最新作 レディー・ガガ版の場合はどうでしょう。

自分のマネジャーが、夫を追い込んで死に追いやってしまうんです。

夫の死後、そのマネジャーと一緒に歌手を続けていこうという気になれるだろうか。

レディ・ガガ版で、私がどうしてもひっかかってしまったのが、この設定でした。

 

 

レディー・ガガは可憐で可愛らしく、ブラッドリー・クーパーとの息もぴったりで、

歌も良かったし、十二分に感動的でした。

 

だからこそ、このマネジャーの設定と、

個人的には、受賞会場での失禁。車庫のシャッターを下ろす音。

閉められたシャッターの前にポツンと座った愛犬。

見事な演出だとは思うんですけど、やっぱりちょっとショッキングすぎて辛かったです。

そこまでしなくても、愛や葛藤は十分表現できるのじゃないかなぁと、

あくまで個人の好き嫌いですが、

レディ・ガガ版を見て、ジャネット・ゲイナー版をもう一度観なおしたくなったのは、

そんなところが理由だったのかも知れません。

 

 

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