先日、コレット著『ジジ』をアップした折、
たまうきさんから、こんなコメントをいただきました。
ni-runi-runi-ru 映画Gigiの副題にA new fair lady とありますが、My fair lady もヘップバーンだったような、、。
そうなんです。
『ジジ』と『マイフェアレディ』は、主役 ( ヘップバーン ) と脚本 ( アンジェイ・ラーナー ) が同じということもあり、共通点がかなりあります。『ジジ』が『マイフェアレディ』のパリ版と言われたりすることもあったようです。
「お転婆娘が教育され、エレガントなレディになり、男を射止める」という大筋も同じです。
しかしこの二つは違います。
『ジジ』は小説、『マイフェアレディ』は「ピグマリオン」という戯曲として世に出ました。
発表されたのも、フランスとイギリスです。
ジジを教育するのは、叔母であり社交界デビューが目的だったみたいですが、
イライザを教育するのは、言語学者の研究が目的でした。
それを同一視させたのは、アメリカの映画界なのだと私は思っています。
因縁はあります
全く別の形で生まれた作品ですが、因縁は沢山あります。
それをご説明したいので、まず時系列にまとめた下表をご覧ください。
ジ ジ | マイフェアレディ |
原作者 ガブリエル・コレット | 原作者 バーナード・ショー |
初演1913年 戯曲『ピグマリオン』ロンドン | |
初版1933年 小品『Gigi』フランス | |
初演1951年 舞台『Gigi』ブロードウェー 主演:オードリー・ヘップバーン |
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初演1956年 『マイフェアレディ』ブロードウェー 主演:ジュリー・アンドリュース |
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公開1958年 映画『恋の手ほどき』 主演:レスリー・キャロン |
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公開1964年 映画『マイフェアレディ』 主演:オードリー・へップバーン |
注目すべきは主役のオードリー・ヘップバーンです。
ヘップバーンは『Gigi』の舞台で主役を射止めていますが、
映画化では、レスリー・キャロンに主役を譲っています。
一説には映画の主役を取られ、ヘプバーンはとても悔しがったといいます。
ところがそのヘップバーン、
『マイフェアレディ』の映画化の時、主役をジュリー・アンドリュースから奪い取っています。
当時、ブロードウェーで3年ロングランを続けてきた『マイフェアレディー』の主役交代はちょっとした騒動になりました。
ジュリー・アンドリュースのイライザは抜群で人気を博していたからです。
落胆したジュリー・アンドリュースに舞い込んだ仕事が、
ディズニー映画『メリー・ポピンズ』でした。
皮肉なことに、
翌年のアカデミー賞でオスカーを受賞したのはジュリー・アンドリュース ( メリーポピンズ ) で、
ヘップバーン ( マイフェアレディ ) はノミネートもされませんでした。
「ワーナーの横暴な主役交代と歌の吹き替えがマイナスだったのか」
とも思いましたが、それは違いました。
何故なら当時、ミュージカル映画の歌の吹替えはよくあることでしたが、
トップシークレットとされていたため、世の中の人は知らなかったんです。
マーニ・ニクソン
『マイフェアレディ』のオードリー・ヘップバーンの吹き替えをしたのは、
マーニ・ニクソンという女性です。
彼女は、他にも1956年『王様と私』のデボラ・カーの吹き替え、1961年『ウエスト・サイド物語』のナタリー・ウッドの吹き替えをしていました。
しかし、先ほども言ったように《吹き替えは業界のトップシークレット》
彼女の存在は、長年にわたり知らされませんでした。
ところが。
デボラ・カーが、インタビューで自分の吹き替えを彼女がしていることを暴露。
1965年の『サウンド・オブ・ミュージック』では、ファンの声がスタジオを動かし、
ニクソンは初めて修道女役の1人にキャスティングされ、晴れて銀幕にその歌声を本人の姿とともに披露することになりました。
『サウンド・オブ・ミュージック』のマリアというナンバー
シスター・ソフィア役で、一番透き通った声で歌っているのが、マーニ・ニクソン。
声を聞けば「家庭教師アンナの声だ」「マリアの声だ」「イライザの声だ」とすぐわかります、今なら。
以上、私が知る限りのことを書き散らしましたが、
私なんかより、わかりやすくまとめているサイトさんがありました。
ご興味のある方は是非 ⤵
こちらはオードリー・ヘップバーンさんの貴重な写真をアップしているサイトさんです。
へ
おまけのけ
ジュリーアンドリュースが歌う『マイフェアレディ』の"loverly"を聞いていたら、
映画『マイフェアレディ』の吹き替え版 ( マーニ・ニクソン ) と、
ヘップバーンが歌うデモ版を聞き比べてみたくなりました。
まず、吹き替え版
そしてこちらが、ヘプバーン本人の声です。
個人的には、ヘップバーン本人の方が好きです。
レディーになる前のイライザの感じは、ヘップバーンの方が出ていると思うから。
本人も、吹き替えにされることをずっと抵抗していたとのこと。
考えてみれば、ヘップバーンも可哀そうだな。