Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

長文 「プリンセストヨトミ」について

万城目 学さんの「プリンセス・トヨトミ」を読みました。

だいぶ前ですが ⵈⵈ 

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そして

鈴木雅之監督の映画「プリンセス・トヨトミ」を観ました。

少し前に ⵈⵈ 

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原作者 万城目さんの作品も、監督 鈴木雅之さんの作品も、私は大好きです。

特に私は鈴木さんの大ファンです。

「王様のレストラン」「ロングバケーション」「総理と呼ばないで」「ショムニ」「HERO」「スタアの恋」「鹿男おをによし」などなどなど。

鈴木さんは、万城目さんの「鹿男あをによし」でも、独特の世界を作り上げていました。

奈良の下宿のセットが素敵でしたし、鹿が走ってくるエンディングの音楽も痺れました。永久保存版としてDVDも買ってしまってほど。

 

その鈴木さんが、万城目さんの「プリンセス・トヨトミ」のメガホンを取ると聞いて、楽しみにしていました。

しかし今回ばかりは、少し残念な気分です。

あまりに荒唐無稽な話すぎて、ご苦労なされたのかな。。。

 

今日は、その「プリンセス・トヨトミ」の本と映画の話です。

延々とします。

原作も映画も大分前のものなので、ネタバレもご容赦いただきます。

多分。いや確実に、読んでない方には退屈な話になります。

辛いと思われたら、どんどんすっ飛ばしてくださいw  m(__)m

 

 

万城目さんの魅力

不勉強な私は、豊臣秀吉のことも大阪城のこともざっくりしか知りませんが、

万城目さんの本で、非常に勉強させてもらってきました。

「プリンセス・トヨトミ」は、大阪夏の陣で敗れた豊臣家の子供 ( 国松か弟か ) が、実は殺されずに逃げおおせていて、大阪の人たちがその子とその末裔たちを、ずっと守り続けてきたという設定です。

 

で。

大阪の男たちは、豊臣秀吉の末裔である「王女」に何かあったら一斉に立ち上がるという話なんです。

「王女」に危機がせまると大阪城が真っ赤に染まる、それを見た男たちは瓢箪をつるして街中の男にそれを知らせる。

男たちは、ゾロゾロと大阪城に集まってくる。

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なんとも壮大なスペクタクルだわ。

 

もうひとつ大切な要素は、大阪は《大阪国》というの独立国家であるという話。

明治政府が出来た時、大阪は日本から独立したんだって。

それを知っているのは大阪の男と、明治政府のごく一部の人間なんだって。

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そして。

大阪の男たちは、「王女」や「大阪国」のことを、ずっと黙って暮らしてきたというのです。

 

「そんなわけないやん。

 お喋りな大阪の人間がそんな大きなことを黙って暮らせるかいな」

  ⤴ 私もそう思いましたよ。

    マミーさんも以前、そんな風におっしゃっていましたしね  ( ´艸`)

 

マミーさんや私がなんと言おうが、大阪の男たちは、内緒で暮らしています。

じゃ、どうやってその話を受け継いできたかというと、

《父親は、自分の死を確信した時に、息子に伝える》のだそうです。

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この廊下は 「OJO ( =王女 ) 」の事務局があるビルと、

大阪城の地下にあるという「大阪国会議事堂」とを結ぶ地下通路です。

 

父親が息子に《大阪国の話》をするのは、この廊下を歩く時だけ。

あとは一切口にしてはダメ、文字にしてもダメなんだそうです。

男は人生で2回、この廊下を歩くんですって。

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一度は父親に連れられて、二度目は息子を連れて。

 

これがプリンセス・トヨトミの大前提。

それで、ここからが物語の流れです。

日本政府の会計検査院の調査員の松平元と、部下の鳥居忠、旭ゲンズブール3人が大阪に調査にやってきます。

松平は通称「鬼の松平」と呼ばれ、妥協を許さない徹底した調査で恐れられています。

 

32歳 小太り童顔の鳥居忠は、おっちょこちょいでミスを連発しますが、たまに自分でもわからないクリーンヒットを打つこともあり「ミラクル鳥居」と呼ばれています。

 

旭ゲーンズブールは、ハーバード卒の29歳、国家公務員一種試験をトップ合格する才女。日本人とフランス人のハーフで、すれ違った男性のほとんどが振り返るほどの美貌の持ち主です。

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その三人が、調査リストの中にある「社団法人OJO」のお金の流れに疑問を持つことから、物語がはじまります。

 

一方、空堀商店街のお好み焼き屋の息子・真田大輔は、なぜかセーラー服を着て学校に登校しており、やくざの息子である先輩・蜂須賀勝から嫌がらせを受けています。

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それを見た幼馴染の橋場茶子は、蜂須賀たちに蹴りをお見舞い。

怒った蜂須賀は茶子までも狙うようになります。

大輔は蜂須賀が茶子に手を出さないという約束と引き換えに、

蜂須賀の事務所にある代紋を取ってくるという無理難題を押し付けられます。

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OJOとなかなか面談ができない松平は、一旦部下を東京に返し、ひとり大阪に残ります。

週が明け、松平はOJOの実地調査ができることを知り現地へと向かい、お好み焼き屋の主人・真田幸一と出会います。

 

大輔の方も担任教師から早退を命じられ、父親・幸一とともにある場所に向かいます。

松平と大輔のふたりが見たものは、地下に眠る「大阪国」であり、

幸一から「自分が大阪国の総理大臣である」と告げられます。

大輔は更に「王女」が幼馴染の橋場茶子であることも告げられます。

 

 

荒唐無稽な設定に、とまどう

ここまででも相当ぶっ飛んでいますが、大阪国の男たちは豊臣家の危機を知ると立ち上がるのだそうです。

映画で大阪中が無人になるのは、そういうことだったんです。⤵

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調査員の松平は、実は大阪出身者。

小さい時 ( 35年前 ) 大阪城が赤く染まるのを見たことがありました。

翌日テレビを見てもそんな事実は報道されず、母親に聞いてもそんなことはないと言われ、4歳の 松平少年は、夢だったのだと思って育ちます。

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ところが本当だった。

不思議な因縁ですが、35年前に彼が見た赤く染まる大阪城は、後に自分が所属する会計検査院の調査がキッカケでした。

 

 

ここから先、話がちょっと混乱してきます。

大阪の男たち立ち上がるのは《王女に何かあった時》という話だったはずなのに、

35年前の王女に何が起きたのか、書かれていないのです。

 

当時の王女は、恐らく橋場茶子の母親だったのでしょう。

母親が亡くなったのは13年前で茶子が2歳の時、その時は男たちは集結していません。

死因は突然の交通事故ですから、駆けつけようもなかったんでしょうけれど、、、

《大阪城が赤く染まり、大阪の男が立ち上がる》ことの理由が、

《王女の危機》なのか《大阪国の危機》によるものなのか、あいまいなところがあるのです。

 

今回、大阪城に集結した理由な何?

橋場茶子が誘拐されたことが原因なのか、会計検査院が大阪国を暴こうとしたことに対する抗議なのかが、読んでいてわからなくなりました。

物語が終盤になると、そんな収拾のつかなくなったところも感じられ残念に思いました。

 

次に作品を読んで、私が矛盾に感じたところや不明に思ったことをあげてみます。 

 

父親が子に伝えるという話の難しさ

男たちが、大阪城の通路以外で《大阪国》の話をしてはならないという設定も、

少しばかり無理があったかも知れません。

例えば、父が息子に伝えるには二つのルールがあります。

《息子は元服の年に達している》ということがひとつ目。

でも、子供がまだ小さい時に父親が死んでしまったら、その子は父親から《その話》を聞くことは出来ません。

もうひとつのルールは《父親が息子に伝承できるのは、自分の死期を確信した時》というものですが、仮に父親が突然死の場合も、伝えられないことになります。

大阪の男の何割かは《大阪国のこと》を父親から知らされずに終わる人もいたということになります。

実は松平元もそうだった

彼は父親と不仲でした。

父が死ぬ直前「大事な話があるから逢いたい」と言われましたが、それを拒絶したため《大阪国のこと》を知らず育ったひとりです。

 

 

「王女」のことは誰も知らないという話

もうひとつ、難しいことがあります。

豊臣家の末裔は、自分が末裔だと知らされずに育ちます。

大阪の人たちも「あの子が末裔だ」と知らずに過ごします。

どうやら、末裔が誰であるのか知っているのは、真田家の末裔だけらしく、

茶子の母親が王女であったことを知っていたのも、幼馴染の真田幸一であり、

茶子が王女だということも、大輔は父の幸一から聞きます。

その辺が、なんだかちょっと出来過ぎの感がしました。

 

 

真田幸一は何故、7歳の時に大阪国を知ったのか?

原作を読んでいて、混乱したことがもうひとつあります。

真田幸一が、父親の死の、もっと前に《大阪国のこと》を知らさせていたことです。

大前提では「大阪の男は、人生で二度、この廊下を歩く」となっています。

一度目は、死を確信した父親に連れられて、

二度目は、自分が死を確信した時に息子を連れて。

 

だけど、真田幸一の場合は違いました。

父親が死んだ7年前よりもっと以前、35年前に来ているのです。

その記述がこれです。 209ページから⤵ 

「お父ちゃんは、おじいちゃんに連れられて、ここに来たんやろ?」

「そうや。もう35年も前のことやな。まだ7歳やった。ここが遊園地みたいに見えて、この回廊をグルグル走り回っとった」

「子どものときから、何べんもここに来てたってこと?」

「いや、次にここに来たんは、じいさんが死ぬちょっと前のときやったから ⵈⵈ 7年前やな」

          ~中略~

「そのときも、おじいちゃんと一緒?」

そうや、と幸一はうなずいた。

「何で、そのとき、僕も連れてってくれへんかったん?」

「そういう決まりなんや」

幸一は端的に理由を告げた。

「おじいちゃんも、その ⵈⵈ 総理大臣やったん?」

「いや、じいさんはただの隠居じいさんや」

「じゃあ、お父ちゃんはいつから総理大臣なんかしてたん?」

去年からやら」

「そんなん ⵈⵈ 全然、知らんかった」

「まあ、選ばれたのも順番やったし、わざわざここまで来んでも、店の定休日にさっきのビルに顔を出したら、だいたいの用事は済むしな」

 

大阪国の総理大臣に、父親は順番で選ばれたといいます。

一般の男が《大阪国のこと》を地下通路でしか話ししてはいけないというのに、

幸一は更にこんなことを言います。

《総理大臣は、大阪国の話を 外でしてもいいんや》と。

まあ、OJOの関係者ですから特権なのかも知れませんが、ちょっと都合の良い設定に感じました w

 

大輔も特別扱い

幸一は自分が死ぬ前でもないのに大輔を、大阪国に連れてきたのは何故なんでしょう。

⤴ どこかに書いてあったのかな。私が読み落としているのだろうか。。。

一般の男は、元服が過ぎてから、父親の死期がわかった時にということなのに、

大輔は何故、父親と同行したのかが不明でした。

そんな親子の会話がこちらです。ねっ、どこにも書いてないでしょう?⤵ 

「それにしても、お前、ずいぶん落ち着いてるな」

もはや、何を訊いたらこの頭のもやもやが晴れるのかわからず、大輔が静かに混乱の海の底へ沈んでいると、幸一がずいぶん呑気な言葉を発した。

おこれには大輔もムッときて、

「別に落ち着いてなんかない。意味のわからん話ばっか聞かされて、何か何だかわからんようになっとるんや。さっきから、お父ちゃんは何の説明もしてくれへんし。今の部屋でも、ずっと黙っとるし」と口を尖らせた。

「わしは口下手やから」

「下手でもええから、説明して」

口下手で総理大臣はアカンやろ、と言いたいところをグッと堪えて、大輔はなるべく声を抑え問いかけた。

「そうやなあ」

幸一はあごを手のひらで摩りながら、手すりに腰を預けた。その口ぶりは、「モダン焼きはないのか?」と店でお客に聞かれたとき、幸一が見せる様子にどこか似ていた。

         ~中略~

「すぐに理解するのは、難しいなあ」

幸一は天井を見上げ、やはりどこか鈍い口調で言葉を発した。

「だいたいみんなが三十年か四十年をかけて、ゆっくり理解することやから、一時間や二時間で、っていうのは、さすがにちょっと難しいな」

みんな?

大輔は思わず問い返した。

「みんなって ⵈⵈ 誰?」

「そら、大阪の男や」

「大阪の男って言われても、いっぱいおるやん」

「だから、大阪の男、全員や

「ハァ?」

大輔は素っ頓狂な声をあげた。おもいのほか大きかったせいで、広間にうっすらこだました。

んな阿保な、と大輔は真面目な顔でつぶやいた。

「別に阿保やない。ホンマの話や」

「だって、そんなん何百万人と、大阪の男はおるやんか」

「そうや、だから全員や」

幸一はいともあっさりうなづいた。

「まあ、確かに全員が全員というわけやないな。現に、お前も今日まで知らんかったわけやから」

「じゃあ、そこらへんを歩いてる人も知ってるってこと? 大阪国のこと知ってますか? って訊いたら、ハイて答える人がいっぱいいるってこと?」

「いや、それはない」

幸一は即座に否定した。

ここを言葉にすることは禁じられてる。それだけは絶対や。だから、一歩ここから外に出たら、誰もその質問には答えへん。そもそも、その質問自体が存在せえへん。だから、お前も絶対に口にしたらしかん。文字にしてもいかん。ええな」

思いがけず強い調子の幸一の声に、

「う、うん、わかった」

と気圧された様子で大輔はうなづいた。

そういう決まりなんや。ずっと昔からのな

「じゃあ、それも今もみんなして守ってるってこと?

そうや、と実に自然な声色で、幸一は簡単に認めた。

まったくどこまでも信じがたい話である。だが、そのいちいちに反駁するよりも、

何で── 誰も破らへんの?

という率直な疑問を大輔は優先した。

「そうやなあ」

ふたたび、例の「モダン焼き」のの調子で、幸一は手のひらをあてた。

みんなで、“守ろう”としているからやろな──

回廊の天井を仰ぎ、幸一はつぶやいた。

「守る?」

そうや、と幸一は深い声色とともに、すっかり古びて、細く長くひびが渡る天井に視線を走らせた。

「それって── さっきの調査官のひとと話してた、“王女”とか何とかってやつ?

「それもある」

「あれは、ホンマの話なん?」

「なあ大輔」

天井に目を向けたまま、幸一は息子の名を呼んだ。

わしは、守れへんかった男や

どこか沈んだ、聞き慣れぬ声の調子に、大輔は思わず幸一の横顔を見つめた。

「だから、お前には最後まで守ってほしい」

「守るって ⵈⵈ 何を?」

彼女を

大輔の顔に視線を落とし、幸一はポツリとつぶやいた。

これまでにあまり見たことがない、さびしげな目を父親はしていた。 

茶子の死んだ母親と幸一は幼馴染でした。

幸一は、茶子の母親が交通事故に遭って亡くなってしまったことを「守れなかった」と、悔やんでいるようで、息子には茶子を守っていって欲しいと頼むのでした。

 

 

 

何故35年前、男たちは終結したのか

35年前に大阪の男たちが大阪城に集結したのも、会計検査院の調査がキッカケだったようですが、幸一と大輔の会話では、その理由が割愛されています。

「真田家の男の務めは、何ら特別なもんやない。大阪国の誰もが “ 王女 ” を守ることを務めにしてる。だから、もしも “ 王女 ” の身に何かあったとき、合図が発せられる」

「合図?」

「それを見たら立ち上がる、というサインや。お前にはまだ用意されていないけれども」

 

冒頭でも話したように、本作では

大阪城に男たちが集結するという理由が、ちょっと説明不足です。

35年前もそうだけど、今回の集結も、

大輔へのいじめを端に、茶子にも危険が及んだからなのか、

会計検査院が大阪国を暴こうとしたからなのか、ハッキリしません。

誰が発令するのかも謎なのです。←大阪城は勝手に赤くなるのかな?

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映画の学者のシーンがいい

映画には、ひとりの学者が出てきます。

江守徹さんが好演していまして、とても印象的なセリフがありました。

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会計検査院の松平が学者のところにやってきて質問をするシーンが印象的でした。

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「わからんね、そんなことは」

「真実を知る手立てはないということですか」

「書物に書かれた歴史というのはあくまで氷山の一角に過ぎない。

 しかもその時々で権力を持った者が、好き放題手を加えている可能性も大いにある。

 そう考えると真実なんてどこにあるのかわからなくなる。

 世の中には人目に触れずに消えていく隠された歴史が死ぬほどある。」

これぞ真髄です。

 

 

キャスティングについて

原作と映画では、鳥居とゲンズブールの性別が逆になっています。

原作では鳥居は男性、ゲンズブールは女性ですが、

映画の方は、鳥居を綾瀬はるかが、ゲンズブールを岡田将生が演じています。

ハーフで長身の美女、しかも才女というキャスティングに難航したからなのかも知れません。

鈴木監督にとって「困った時の綾瀬はるか」なのかも知れません。

※ 鹿男あをによしも、綾瀬はるかの役は原作は男。

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しかし、この性別変更は如何なものかと思いました。

鳥居も旭も、男であり女である意味が、原作にあったからです。

鳥居が小太りで童顔なことから、大輔の同級生と勘違いされ一緒に留置されてしまう。

旭は「女として大阪の男たちが集結するのを見たかったから策略を練った」と告白しています。

映画で性別を逆転させることにより、原作のこの2点を描けなくなりました。

 

またしてキャスティングごっこ

鳥居は、間違いなく濱田岳さんがバッチリでしょう。

    童顔で背が低いので、中学生と間違えて留置されるという設定も出来るはず。

ゲンズブールは、ちょっと難しいな、やっぱり ⵈⵈ 

    栗山千明とか、広瀬アリスじゃ駄目かしら。

松平元は「鬼の松平」と言わせるところも演じて欲しいので、堤真一でいいけれど、

    もう少しキレて欲しかった。

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堤真一は、真田真一役にまわっても良かったかも。。。

 

真田幸一演じる中井貴一は、大阪のお好み焼き屋のおっちゃんには見えませんでした。

やはりどうみても東京臭がある。

それを除いては、親子としても、総理大臣としても説得力がありました。

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終盤の集結シーンの長台詞は、圧巻です。

物語の大事なメッセージがキチンと伝わってきました⤵

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「私達が守ってるのは、豊臣家の末裔だけじゃない。

 もっと大切なものを守るために、ここにこうして集まってるんです。」

「もっと大切なもの?」

「松平さん、あなたはお気づきですか? ここに大阪国の男たちが集まってはいるが、

 見てのとおり、若いものは少ない。

 20代30代はほんの一部で、ほとんどが40を超えているでしょう?

 どうして若い者がいないのか、それは彼らにはまだ資格がないからだ。

 大阪国の人間として認められるには、二つの条件を満たさなければならない。

 ひとつは14歳、つまり元服の年を越えていること。

 ひとつは、父親がこの世を去っていること。

 先日あなたが歩いた議事堂まで続く長い廊下、大阪国の人間があの廊下を歩くのは、

 人生でたったの二度しかない。

 一度目は自分の父親に連れてこられた時、二度目は自分の息子を連れて行く時。

 あの廊下を父と共に歩きながら、子は初めて大阪国の歴史と豊臣家の末裔のことを知らされるんです。

 ここからは大阪国総理大臣としてではなく、1人の大阪で生まれた男の話として聞いてほしい。

 会計検査員に認めてもらえず、世間に公表されることになったら、大阪国は滅びてしまう。

 壊すのはとても簡単だ。だが一度壊れたら、二度と元に戻すことは出来ない。

 どうか考え直してください。」

優秀な役者同士は化学変化が起こるものなのでしょう。

堤真一さんの松平も素敵でした。⤵

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「何故信じる。あなたがたは誰もが、おかしいほど強く、大阪国の存在を信じている。

 今も王女を守ろうとして滑稽なまでに必死になっている。

 あの地下の議事堂を一度訪れただけで、たったそれだけで、

 なぜこんなおとぎ話のようなことを信じることが出来る。

 私には、とても信じる気にはなれない。」

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「それは、父の言葉だからだ。

 松平さん。あなたは大人になってから、

 ほんの一時間でも父親と二人だけで語りあったことはありますか?

 男は普通、そんな時間は持たない。だから父と共に歩む廊下は、

 二度と持つことは出来ない二人だけの記憶になる。

 そこで託される言葉は、二度と聞くことは出来ない二人だけの約束になる。」

 

「いつ、父は子に、いつ大阪国の存在を伝える?」

 

「自分に死が訪れることを確信した時だ。子は父に尋ねる。

 いつ自分の子供たちに大阪国のことを告げたらいいのか。

 答えを告げられた時、子は目の前に立つ父の覚悟を知る。

 父の残りの生を、未来とともに自分に託されたことを知る。

 その重みは一生忘れられないものになる。

 父から子へ大阪国の真実を伝える。我々が400年間守り続けてきたことは、

 たったこれだけだ。

 あなたはこれを無駄なことだと言うかも知れない。

 だがそこには、かけがえのない想いが詰まっている。

 我々はこれからも王女を守る。沢山の大切なものと一緒に、大阪国を守り続ける。

 これが全ての問いに対する私の答えだ。

 松平さん、あなたのお父さんもあなたに何かを伝えようとしていたんではないですか?」

このシーンは凄かった。

途中、色々ありましたが、本作のテーマが十分に伝わりました。

 

おまけの話 鈴木監督の遊び心

映画では随所に「鹿男」メンバーがでてきます。

すわ、大阪国の危機と立ち上がる男としてこの人

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「鹿男」の大阪校の難波先生を演じた  宅間孝行さんでした。 

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こちらはわかりやすい。

大阪城前のたこ焼き屋のおっちゃん

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「鹿男」お馴染みコンビ

  玉木宏と、綾瀬はるかの掛け合いでした。

 

やっぱり、なんだかんだいって鈴木監督は凄い。万城目さんも凄い。

以上の感想文は、私が読み落としていることもあるやもしれず、

もう一度読みなおし、観なおしてみたいと思わせるのも両氏の素晴らしさが所以です。