下高井戸から明大前を通り、住宅街をすすむと大きな敷地にぶつかります。
和田堀給水所 は、老朽化に伴い配水池を建替える工事だそうです。
着工が平成28年4月で、完了予定が平成34年つまり令和4年ということか。
フェンスの先のあの建物は、もうすぐ壊されてしまうらしい。
蔦がからまるレトロな建造物、残念だけれど。。。。
和田堀給水所には、配水池が二つあります。
建替えは配水を停止できないので、古い2号を建替えてから1号の建替えに移る。
右側の茶色い部分が2号配水池があったところです。
昔は、こんなでした⤵
敷地内の自然は豊かで、
桜やつつじの季節にはお花見が出来るように解放していたのだそうです。
大きな敷地でしょう?
ここは、昔から迂回しなくちゃいけなくて、大変だった。
赤線は、井の頭通りです。
井の頭通りは、渋谷駅前付近から武蔵野関前にある境浄水場付近を結ぶ道路の通称です。 ( 「井の頭」を「井ノ頭」と表示することもある )
井の頭通りとは
井の頭道路は昔、水道道路と呼ばれていましたが、後に近衛文麿首相によって「井の頭街道」と命名され、その後東京都によって「井の頭通り」と改められた。
井の頭通りが昔、水道道路という名前だったのは水道管が通っていたから。
地図でもわかるように、真っすぐな道路です。
地下に水道管が敷設された施設用地ですから。
それを道路として転用したのが、水道道路→井の頭街道→井の頭通りになったワケです。
ところがこの道、和田堀給水場まで到達すると、敷地に沿って大きく迂回します。
要するに、道路としては滅茶苦茶不便で、混むのです。
子どもの頃は、この施設 ( 和田堀給水所 ) のことを「邪魔な場所だなあ」と思っていました。
重要な施設だということを知らなかったから。
和田堀給水場は現在、東村山浄水場、境浄水場、三郷浄水場からの送水を
世田谷区、渋谷区、目黒区、港区に排水する重要な拠点だったんです。
コロシアムのような丸い建物は、1号配水池です。
左側の丸いのが1号配水池、
右側の工事中の四角い敷地が2号配水池があった場所 ⤵
「邪魔だ」と思っていたこの広大な敷地のお池は、東京の4区の重要な水がめだったんです。( 2つの配水池の有効容量は合計60,000㎥ )
なんでこんな形なのか
1号配水池がなんで丸いのか、俄然興味がわきました。
1号配水池:1934年 ( 昭和9年 ) 3月竣工
2号配水池:1924年 ( 大正13年 ) 8月竣工
あれっ? 2号が1号より10年も先に出来ている。
2号が四角くて、1号が丸、その形の違いも謎ですが、設計者も違うのでしょうか。
2号がさっさと出来てしまって、1号は凝ってしまったのかな?
面白い資料を見つけました
東京市水道局和田堀浄水池工事の資料です。
工事画報の昭和6年4月号に掲載されたもののようです。⤵
http://library.jsce.or.jp/Image_DB/mag/gaho/kenchikukouji/07-04/07-04-1410.pdf
表紙に書かれた文章を新かな字体にして抜き出してみます。
この工事は、東京府荏原郡松澤村の和田堀給水場において、既成浄水池の西側に隣接して更に一池を増築するもので、共に境浄水場のろ過水を貯留する。付近一帯は標高160尺を有する高地で、その満水位は標高190尺、淀橋浄水池満水位より高いこと約60尺、芝、本郷浄水池の満水位からは100尺高い。配水本管は1,500㎜ 鋳鉄管 2條で、浄水池を発し青山及び淀橋に向かって自然流下し市内に配水される。給水場の敷地面積は18,399,69面坪、浄水池の敷坪は1,723.80面坪で、貯水量150万立法尺 ( 23,385石 ) である。
構造の大要をあげると、浄水池主体は、すべて鉄筋
混疑土 造三十二角形で、外径280尺、内径260尺、水深30尺、地上からの高さは外周部において35尺、中央排気塔部において72尺である。
基礎は鉄金
混疑土 杭 ( 径1尺長11尺5寸及び径1尺1寸長12尺5寸のもの ) 6,877本を打ち込み、抗頭部は厚8寸ないし1尺の混疑土 を打ちたててその表面は標高155尺5寸に仕上げて基礎とした。
底部は下層に1:3:6
混疑土 を厚1尺8寸、中層に1:2:4混疑土 を1尺7寸厚に、上層には1:2:4配合鉄筋混疑土 を厚5寸に打ち、中層と上層の間にアスファルト ( 厚5分 ) を塗って防水した。
周壁は四角形框構 ( ボックスラーメン ) 68個をおいて囲み框構間に壁を設けて水圧を堪えさせる。共に鉄筋
混疑土 構造である。周壁の内面には電弧溶接により鉄板 ( 厚4.5㎜ ) を張り立てて防水に備え、基礎覆として混疑土 厚4寸および漻泥 ( ? ) 1寸を打ち立て、周壁はこれを四等分して4か所に伸縮接手を設ける。覆蓋は周囲框構の内端からこれと無関係に中央に独立している排気塔に向かって充分これ一勾配に配列された縦横の桁に休止する厚5寸の床版で、円形の支柱52本に支えられる。
これら工事費の総額は1180,000圓、工事は大倉土木の請負で、昭和4年12月起工し、現在は6割の工程、今年12月末には全部竣工するはずである。
あらま、昭和初期は尺貫法だったんだ。
面白いから本文はそのままにしましたが、一部直してみる。
この付近の標高が160尺は48m。満水位が190尺だから57m57㎝。
淀橋 ( 西新宿 ) の満水位より約60尺だから18m。
芝・本郷の満水位より100尺だから30m高い。
こんな感じかな。
和田堀が高台だから選ばれたのだということがよくわかります。
その他、興味深い図面や写真もあったので、転載させてもらいました。
世田谷区のホームページに 「和田堀給水所建替えに伴う街づくり誘導指針」 というのがありました。
指針によると将来、和田堀給水所をぐるっとまわるように通っていた道路が、
給水所の南側を回るコースになるようです。
完成はいつになることやら。
参考にさせていただいたサイト
水道のインフラを巡る ( 2 )
和田堀給水場やか砧下浄水所配水池を巡るツァーに参加された方のレポートです。
『水道のインフラを巡る(2)~和田堀給水所と砧下浄水所配水池~』東京の旅行記・ブログ by るびこんさん【フォートラベル】
井之頭道路の渋滞の原因、迂回もそうですが、京王線と交差する踏切が テレビで時々やっている 京王線の あの「開かずの踏切」の一つ?? 新しい道路は高架あるいは地下道にするのかなぁ??
さん<<<
ご存知でしたか、あの『開かずの踏切』を。
あの踏切が渋滞になるもうひとつの要因は〔おまわりさん〕なのです。か
和田堀から甲州街道に向かって踏切を渡ったところの左側の駐車場の物陰に隠れて、一時停止違反をよく見張っています。
地元の人はそれを知っているので、必要以上に時間をかけて踏切を横断。
もう少し重要な交通違反を検挙してほしい。迷惑な話です。