上之橋あたりには、興味深い所が沢山ある。
平賀源内電気実験の地だって。
へぇ?なにそれ。
ここが、『大川端』著:小山内薫に出てきたセメント工場か。
実際にあるのか、見たかったんだ。
正雄 ( おそらく小山内自身 ) が、お酌の君太郎に会いたいがため入り浸った新布袋家 (料理屋)から見た景色として、セメント工場が出てくるんだけど、こんな描写。
セメントの煙突も忘れられない。あの白い砂のやうな色をした太く圓 ( まる ) く丈の高い怪物は、昼間は眼に痛い烟 ( けむり ) を深川に靡 ( なび ) けたり、中洲河岸に靡けたりしたい、夜は怪しい火を縦に吹いて、正雄さ君太郎とを恐れさせた。
暗の夜は煙突がまるで見えないで、赤とも紫ともつかぬ火の色が、唯中天に浮いて見えるのである。正雄も君太郎も承知でゐながら、それには幾度か新しい驚きを味ふのであつた。
暗の夜は煙突がまるで見えないで、赤とも紫ともつかぬ火の色が、唯中天に浮いて見えるのである。正雄も君太郎も承知でゐながら、それには幾度か新しい驚きを味ふのであつた。
小学館『大川端』48ページより

さて。
上之橋があった所が何になっているかというと、清澄排水機場。
この地域は、隅田川と荒川に挟まれて、ゼロメートル地帯と言われてるんだって。
満潮時には大部分が水面下となって、過去に多くの大水害になっているんだそうです。
昭和33年 台風11号の時には、亀戸地帯がこんなことになりました。
京葉道路 ( 亀戸付近 ) 亀戸丁目
その為に作られたのが排水機場。
排水機場っていうのは、どういうものかというとポンプ施設です。
江東三角地帯には、小名木川、大横川など堀状の内部河川が縦横に流れていて、その入口に水門が設けられているのね。
普段は開いていますが、台風や津波など高潮のおそれのある時には閉鎖します。
水門が閉められると、内側の河川の氾濫を防止するため、このポンプで外側の河川に水をくみ出すんだそうで、その排水能力は、毎分 2,880㎥。
2,880㎥って。。例えばお風呂何杯分なのかしらねぇ。
水門や排水機場に守られて、堀端はなかなかの景色です。