昔 よく テープ起こしのアルバイトをしていた。
雑誌や本のインタビューページの編集のお手伝いの業務だ。
編集者が取材の際、テープで話を録音させて貰って、それを記事を書く時の材料にするのだが、
《テープ起こし》は、録音された内容を文字起こしする作業である。
久しぶりにテープ起こしの依頼があったので、かつての商売道具を出してきた。
懐かしい、カセットテープです。
今は取材に、カセットテープを使う人なんていなくて、ACレコーダーに録音するらしい。
それをPCに取り込み、MP3に変換しメールでやりとりするらしい。
こちらはそれを、PCで再生しながら起こすのが主流らしい。
ACレコーダでは困ることがある
このカセットテープには普通のガッチャンと押す停止ボタンの他に、停止・再生が出来るスライドが付いている。それを片手で操作しながら、話を書き起こしていくんです。
SONY の TCM-47には、再生音質が《音楽⇔会話》に切り替えられたり、テープスピードも変えられるので、テープ起こしには最適。
こんな機能は、テープ起こし以外に使い道ないんじゃないかしら。
ところがACレコーダの場合、巻き戻しのボタンを押すと、一番頭に戻ってしまう。
「出身は松島です」なのか「出身は葛飾です」と言ったのか、ワンセンテンスだけ戻して聞き直したくでも「はじめまして、こんにちは」まで戻ってしまうのでは、とても仕事にならぬ。
ACレコーダだってそれなりに多機能なものもあるだろうが、慣れた道具が使えないのはしんどい。
そういえば。
子供の頃 習っていた日本舞踊のお師匠さんが、レコード盤を使っていたなあ。
当時は邦楽も《カセット》が主流だったが、お稽古にはレコードじゃないとダメだと嘆いていた。
踊りを少し前からさらいたい時、カセットだと、ちょこっと戻したいと思っても上手くいかないらしい。その点レコードなら、盤を筋を目で見て「この辺」っていうところに針を落とせばいい。
師匠も、馴れた道具でないと、と苦労をしていたのだろう。