タカキベーカリーとアンデルセンの創業者=高木さんについてのお話をすこし。
そもそも、広島のパン屋さんだった人が、何故『アンデルセン』を作ったかというと、1959年にデンマークで食べたデニッシュペストリーに感銘を受けたからだそうです。だから屋号も、デンマークの童話作家ハンス・アンデルセンに因んで付けられたし、リトルマーメイドも、アンデルセンの代表作『人魚姫』から取ったものです。
開店当初は、デンマークから職人さんを呼んで作ってもらったんですって。
ワタシがバイトしていた当時のボーラの調理長も、デンマークでパン作りを修行した人でした。
今ではお馴染みの「お客さんがトングとお盆を持って、好きなパンを自分で取る」というセルフピックのシステムも、アンデルセンが最初です。
代々木八幡駅から線路を渡った先に、
『イエンセン』という老舗パン屋さんがあります。
イエンセンの魅力は、多くの方が語られているので、
さておいて。。。
デンマークのパンについて、イエンセンの奥様にお聞きした話があります。
デンマークのパンには、二種類あります。
ひとつは朝食で食べる油分の少ないパン。
もうひとつは軽食用のデニッシュ・ペストリー。
左が、朝食パンの代表で『ギフラ』と言います。
ちょっと見、ロールパンみたいだけと、これが曲者(笑)、噛むとカフっと音がする堅めのパンなんです。じゃ、中身もカサカサかというと、中はふっくらしていて、外側の食感とのギャップがたまらなく美味しい。
デンマークは乳製品が豊富で、朝食には美味しいチーズが並ぶので、パンは敢えて油分のないものにして美味しさのバランスを取っています。
右が、デニッシュペストリー。
デンマークではバターの含有量が60%以上でなければ、ペストリーとは言っちゃいけないんですって。
このブルーベリーのデニッシュと同じものを、アンデルセンでも作ってました。
味も形も全く同じ。
奥さま曰く、イエンセンのデニッシュは、デンマークの定番のものを何一つ変えないで作っているのだそうです。
アンデルセンも創業当初、デンマークの職人さんが作ったものを踏襲してきたものだから、ふたつが似ているのは当たり前だったんですね。
30年前、初めて成城ボーラでこれを食べた時には、世の中に、こんな旨いパンがあるのかと感動したものです。
アンデルセンの高木さんや、イエンセンの御主人が、感銘を受けたというのも、こういうことだったのかしらと思いながら楽しんでいます。