深沢先生 ( 仮名 ) は、小学校高学年の時の担任です。
今なら思いっきりまずい言いぐさですが、( 本人が言っているので良しとさせてもらいますが )
先生はオールドミスでした。
「結婚したい」というのが口癖でしたが、もうひとつの口癖は、
「なんですか女の子が」というものでした。
細くとんがったメガネの中の目は、メガネよりもっと細くてとんがっていて。
声はドラ声、女らしいという表現から一番遠いところにいるような才女でした。
怒ると、それはそれは怖いのです。
凄く、すごーく、轟くような大声で、どなるのだから。
どこに怒りの地雷が埋まっているのか、生徒はビクビクものでした。
ある日の給食で、ポテトサラダの味付けが薄くてマズかったことがありました。
薄いなんていうものじゃない、全然味がしなくて、、、、
多分マヨネーズも手作りだったんでしょうが、マヨネーズ作りの段階で塩を入れ忘れた感じ。
隣に座っていた由香ちゃんが、「塩 貰ってくる」と言った途端、教室から飛び出しました。
私達の教室は校舎の3階の端っこ、給食室は地下1階の逆側の端っこにあります。
先生の目が「キラリ」と光ったのを見た生徒は、私だけではないと思います。
怒られる
皆 瞬間そう思って身を縮めました。
セブルス・スネイプ先生 (アラン・リックマン)
「 ハリー・ポッター」より
先生が「我儘を言うんじゃありませんっ!!!」と怒り出すと思ったからです。
ところが、先生の口から出た言葉は意外なものでした。
「偉いですね」
「ご飯を美味しく食べるために、面倒を惜しまない由香さんの行動は。
女は、そうであって欲しいです」
あれ~? そうきたか。 本当に怒られると思ったんだもの。
「キラリ」と光る先生の目とその言葉は、今でもときたま思い出すことがあります。