一年に二度くらい、清水から飛び降りる思いで、古書を買ってしまうことがあります。
<流れる>おぼえがき
発行部数も少なかったであろうし、大衆向けではない売り方であろうし、、
綺麗に保存されたものはなかなか少ないらしい。
幸田文さんが「流れる」を書いて、それがラジオになって、映画になって、
その後、賞を取った記念に作られた本です。
当時のパンフレットのために執筆された文章や、
出演者との座談会なども掲載されている。
私にとっては、貴重な興味深い資料です。
冒頭の「雪」というコラムは、「流れる」を書くまえの唯一のエチュードと見られるもので、
「三越」のパンフレット ( 昭和27年11月発行第十二号 ) に掲載されたもの。
3ページほどの短編。
用足しに出た帰りの柳橋の、雪の中を歩く作者と、もう退 ( ひ ) いているお姐さんの会話が、
とてもいい。
読んだらふいに、柳橋をぶらついてみたくなりました。
暖かくして、ちょっと出かけてこようかな。