東尋坊の絶景を見たら、ここに寄りたい。そう決めていました。
漁師茶屋 魚志楼
ここも太田和彦さんの番組で知った店。
昔、料亭だったようで母屋から廊下をぬうようにしてお座敷に行けるんだそうです。
違うお座敷の客と会わないように入り組んだ造りになっているんだそうです。
魚志楼もお酒が楽しめる店で、かえすがえす三国に一泊出来ないのが悔しいが、
ランチだけでも堪能したいと来てみたわけ。
狭い道、雰囲気のある建物が連なっています。
このあたりは昔、花街だったそうです。
こんなところに?
そう。ここは北前船でお金を手にした人たちで賑わった場所。
素敵な建物。ワクワクします。
のれんをくぐって木戸を開けると、
その先にもうひとつ引き戸が。。。
ここは土間床になっていて、左手に造り井戸と砂が張ってある。
贅沢な空間。
内側の引き戸を開け店内に入ると、突き当りに10畳ほどの座敷、右手前にカウンター。
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カウンターに通されました 嬉しい。
国貞の浮世絵、 道具もみな、いい味わい。 |
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さて注文。
私は甘海老茶屋御膳。
MOURI は昼のメニューにはなかったのですが、お造りをお願いしました。
呑む気だなコヤツ w
店内はそんなに混みいった様子はありません。
古い家屋が喧騒を吸い取ってしまうように思われます。
お隣に男性が1人、お膳が出来るまで本を読んでいます。
料理が出来るまでにちょっと はばかりに。。。。
わぁ凄い。
この廊下が離れの座敷に繋がっているのかな。
壁には古い写真が沢山。
カウンターの美しい女将さんは今 配膳に忙しそうですが、ホールは2人の女性が接客を担当。
そのお2人が凄いんです。
もしも目の前の女将さんがいなかったら、間違いなくこの2人を女将と見紛うほどの接客技と貫録も具えている。
MOURI の酒の相談に乗ってくれてた女性 ( ナンバー2 女将 w ) の説明も見事でした。
常山をお願いすることにしたみたい。
はは。ここは興味のないことにしたいのだ、悔しいから。
もうお一方 ( ナンバー3女将としておきましょう) 。
隣にいた男性客がひと足先にお帰りになったんですが、見たらその方の食べ散らかし方が笑えるさま。
大きな煮付のようなものの真中をほじっただけで、殆ど残っています。
MOURI が、それを片づけるナンバー3女将と目が合った。
咄嗟にMOURI、口に合わなかったと思わせたくなかったんでしょう
「魚、嫌いだったんでしょうかね」と言いました。
そしたらナンバー3、ホホホと笑って「猫が喜びます~」
凄い。間髪入れずにですよ。
「魚、嫌いだったんでしょうかね」と言われて「そうですね」と言ったんじゃ、
お客を否定したことにもなり兼ねない。
それを「喜ぶ」という言葉に言い換えたのです。
あっぱれじゃないですか、負を幸に変えたんだから。
彼女たちのそんな接客のひとつひとつが、店の第三の宝なのかと思った次第。
さて、第一の宝が到着しました。
お造り
スマホであまりよく撮れんかった。
甘海老茶屋御前
甘海老造里、香物
季節のサラダ、赤だし
デザート
そしてこれが 甘海老天丼
凄く面白い作り方ですね。
ご飯に海苔がかかっていて、その上に甘海老の天ぷらを乗せ、その上から出汁をきかせたとじ卵をソースのように乗せています。
要するに 天ぷらをとじていないんです。なるほどこれならサクサクです。
そしてこれなら甘海老の甘さと、とじた卵の出汁味が時間差で口に広がる。
よく考えましたね。いや~おいしいおいしい。
この旅行中、私は昼でも白飯を食らい、MOURI は酒を食らっています。
暑い中、お造りだけなんてちょっと食が細くて心配。
大丈夫か、もう一本日本酒を飲むっていうから (笑)
彼がお酒を注文している内に私は じゃん❤
魚志楼パフェなるものを注文。
これ、すごーーーくウマい。
パイナップルも、メロンも、生クリームも、
そしてこのアイスのウマいこと。
女将さん曰く、
この辺りは丘陵地なので美味しい果物が沢山出来るんですって。
「旦那さまもお食べになりたいでしょ?」
女将さんはスプーンをもうひとつ持ってきてくれました。
「お暑い時の甘いものは、お体にしみわたって、いいものですよ」
MOURI ニコニコして私のパフェ―を横取りし始めました(笑)
店内のお客様が一段落、座敷の写真も一枚撮らせてもらいました。
凄いわねぇ、この黒光りした床材。
美しく磨きこまれてます。
食後「煙草を吸ってもいいですか?」と聞きましたら。
どうぞどうぞと手渡されたのが、骨董の素晴らしいお小皿でした。
カウンターの、てっきり左の灰皿だと思ったら右側の小皿を灰皿に使っているんだそうな。
「えええっ、なんか勿体ないようだな」
「古いものですし、使わないのはかえって勿体ないので」
その小皿、絵付けも今風のものではなく明治大正の素晴らしいものでした。
魚志楼は明治初期の建物で、登録有形文化財にもなっているそうです。
この建造物「かぐら建て」というらしいのですが、この地域 (三国) でしか見られない形なんだそうです。どう珍しいかというと、熊川宿の時に図を書きましたが、
表から見ると一見、平入りの建物にみえますが、
妻入りの母屋に、平入りの下谷 ( 玄関 ) が付いているんです。
なるほど。
表の木戸を入り土間床だった所が、妻入りの母屋に足された平入部分だったんですね。
明治初期の素晴らしい建物、これが魚志楼の第二の宝と思います。
でもね。メニューの左端にこんなことが書いてありました。
お願い
明治大正時代の建物ですので、お客様にはご不便をおかけ致しますが、
何卒ご理解とお許しをいただきたくお願い申し上げます。
どうよ「凄いでしょう」と威張っても罰は当たらなそうなものを、なんという慎ましさ。小気味いい。
女将さん、ご店主、ナンバー2さん、3さん。
とてもいい時間を過ごさせていただきました。
もちろんお料理も美味しかった。ごちそうさまでした。

〒:福井県坂井市三国町神明3-7-23
TEL:0776-82-0141
定休日:不定休(日曜日の夜の営業のみ予約営業)
営業時間:18:00~22:00 日曜の夜は要予約
ランチ 11:30~14:00