ビブリア古書堂の新刊を読んでから第三話に登場する『雪の断章』を読みました。
そして雪の断章を読了した後、もう一度ビブリアの第三話を読み直してみました。
以前からそうなんですが、ビブリア古書堂は、登場する本を読みたくなります。
そして本を読んでからもう一度ビブリアを読み直すのが面白い。
初めに読んだ時と味わいが変わってくるからです。
二度読みすると、事件を解決するためのポイントも更に興味深くなるし、
作者の三上さんの読書量と目のつけどころに驚きます。
今回何故三話をポイントにしたかというと「人のすすめたい本」がキーワードでした。
ビブリアに登場するホームレスのせどり屋志田は、大好きなキャラクターです。
初めて登場した時に小山清の『落穂拾ひ・聖アンデルセン』岩波文庫を愛読していました。
金銭トラブルで一家離散、家庭を離れてホームレスとなった志田 ( ほんとうの名前は違うらしい ) が、家から唯一持ち出したのが『落穂拾ひ』でした。
ホームレスになって、せどり屋として生計を立てながら、ねぐらの橋の下に戻ると、
落穂拾ひを読み返す。
それほど彼にとっては特別の文庫本でした。
その志田が、最新作「扉子と奇妙な客人たち」の第三話で、
人に薦めたい本として『雪の断章』をあげたという。
『落穂拾ひ』と『雪の断章』をこよなく愛す孤高の人志田。
私は二冊の共通点が何なのかとても興味をひかれたんです。
結論から言うと、何故志田がこの二冊を愛したのか、謎のままでした。
好きな本に共通点を求めること自体無謀なのかも知れません。
でも自分に置き換えた時、作者の物の考え方やテンポや世界観に好みがあります。
例えば私の場合、さっぱりとした文体で、観察眼の鋭く、人に対する優しい目を持った作家が好き。
志賀直哉とか、幸田文とか、里見弴とか、島木健作とか。。。。
あと芥川さんも好きです。
文章はこ難しくなく、端的だけれど深みがある、そして世界観が感じられるような作品に惹かれます。
なので、志田の好みにも何か特徴や共通点のようなものがあるのではないかと思ったのです。
残念ながら私の感受性読解力の未熟ゆえ、解明できませんでした。
しかし、作者なりに意図したものがあったはず。
まさか志田は光源氏資質? 少女フェチだなんてオチではないですよね。
二冊の共通点が、少女好きという点でそんな下世話な想像をしてしまいました。_(_^_)_
そんなことも、何年かして読み直した時に、ふと気づいたりするかも知れない。
読みたい本は沢山あり、本に追いかけられるような 本を追いかけまわすような生活を送っている私ですが、
一冊読むと、そこに関連した本が読みたくなるという癖は何とかしないとなぁ。
志田の好みの話、尻切れトンボになってしまってごめんなさい。
折角なので、ビブリア新刊 第三作のお話を少し。
第三話の主人公は、小菅奈緒でした。
作品の主人公-篠川栞子とはあまり関わりが深くないといってよい人物です。
小菅奈緒は、原作では栞子の妹の同級生ですが、
妹や栞子との関わりよりもせどり屋の志田との交流が深い人物です。
本書においても「ビブリアの店主 ( 栞子さん ) は、ちょっと苦手」と言っています。
そんな小菅奈緒が主役で話を回すのだから、栞子さんは登場しません。
いつもなら謎を解き明かすのは栞子さんなのに、今回は誰が解き明かすのか。。。
そんなことが前作までとちょっと違った展開ですが、
まあこういう話の流れもないことはないなあと思いながら、読了しました。
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