ドラマ『一億円のさようなら』を観ました。
結論からいうと、「白石一文さんの原作の方が断然良い」と思いました。
ドラマは、原作のもつ《棘》が一本残らず抜かれてしまった感があります。
物語は、
つつましく平凡に暮らしてきた鉄平が、妻が48億円の遺産を相続していたことを知り、
何故妻はそれを隠していたのかという疑問から、妻への信頼を失うことから始まります。
原作では、
妻は遺産のことを鉄平には黙っていたのに、昔の恋人 ( 不倫相手の医師 ) の起業にはその遺産から投資していたことで、鉄平は裏切られた気持ちになります。
息子や娘の問題も、自分に相談なしに妻が勝手に進めていることに、鉄平は疎外感を抱きます。
社会においても、祖父が創設した会社を、無能な従弟 ( 社長 ) の嫉妬により、はじかれてしまいます。
誰のことも信じられなくなった鉄平は出奔、縁もゆかりもない金沢に向かいます。
妻から貰った ( ? ) 《一億円》を元手に、のり巻きの店を起業し、大当たり。
金沢での人脈も広がり商売も軌道に乗ったところに、妻からの《帰ってきてコール》に合う、という話でした。←ざっくりし過ぎ (;^ω^)
つまり、原作の鉄平は、何もかもが向かい風だったんですね。
原作を読んだ時、私は妻の身勝手さに唖然とし、読了後なんともいえぬ後味の悪さを感じました。
しかし実は、その要素が物語にとって重要だったのかも知れません。
ドラマはどう変更されたか
原作とドラマでどう違うかというと、、、
昔の恋人に妻が投資をしたのは ⇒ その男に脅迫めいたことをされ不承不承だった。
会社を追われたのは ⇒ その男が立場を利用して会社に圧力をかけた。
金沢で旗揚げする ⇒ 自分の故郷で旗揚げする。
息子・娘の相談 ⇒ 鉄平も相談に乗っている。
挙句に、娘が妻の日記までもってきて「お父さん、ママは悪くなんかないよ」みたいなことまでする。
要するに。。。
妻はひとつも悪くないのです。
全ては、妻の元恋人が悪人という設定になったので、
鉄平が家庭や会社に受けた疎外感も薄らぎ、信頼喪失感が失われてしまいました。
ここまで《毒気》や《棘》が取られてしまうと、鉄平の苦悩が見えない。
いったい何がそうさせたのだろう。
主役級のキャラクターを良いイメージにしたいのだとしたら、お粗末だし、陳腐というしかありません。
ドラマは、鉄平と夏子の現在 ( 上川隆也・安田成美 ) と若い頃 ( 松村北斗・森田望智 ) をダブルキャストで仕上げています。
過去に戻ったり、時には若い二人と今の夫婦がすれ違うような交錯シーンを設けたりして、
とにかく夏代という女が、いかに鉄平を愛していたのかを印象づける描き方になっています。
大好きな岡田惠和さんが脚本監修という耳慣れないポジションにいることも気になります。
なんだか、ひさしぶりに悶々とする気分になりました。
NHKにしては珍しく、骨抜き 腰砕けのドラマだなぁと思ってしまいました。
本日の夜ごはん
マシュルーム、ハム、キュウリ、春雨。
この組み合わせ、好きです。
白もつがあったので、煮込みました。
味噌が残り少なだったので、醤油も足してなんとか。。。
〆のプリン、最高でした❤