北村 薫 著『秋の花』を読了。
いやぁ、傑作。
本当に面白かったです。
今日は一日暇だったので、温いお風呂に浸りながら ( 3時間 ) 読んで読んで読みまくり、
お風呂からあがってから更に読んで読んで、一日で読み終えてしまいました。
「円紫さんと私」シリーズ、これが第3弾。
前2作の短篇集と違って、この本は1作の長編でした。
【内容】
大学3年になった「私」は、近所の女子高校生の転落死事件に巻き込まれます。
亡くなった高校生の津田真理子ちゃんとその友人-和泉利恵ちゃんと、「私」は、
中学高校の後輩・先輩の仲。
この二人は『夜の蝉』で、お隣のトコちゃんを祭に連れて行ってあげる際にもチラっと登場してました。←そんなところに伏線があったとは。
で。その、仲良し二人組のひとり、津田真理子ちゃんが高校の屋上から転落死するという事件が起こります。
仲の良かった和泉利恵ちゃんはショックを受けてしまいます。
不登校になった利恵ちゃんが暗い顔をして佇んでいるところを偶然見た「私」が、
相談に乗るところから、「私」は事件解明に巻き込まれていきます。
《偶然出会った》と書きましたが、実は違う。
利恵ちゃんが「私」に《助けを求めて近づいてきた》というのが正しいのです。
「私」の中に、この人なら、、、と思う何かを見たのでしょう。
台風の日、家の前でずぶ濡れで立っている利恵ちゃんを見つけた「私」は、家に連れてきて、服を脱がせて、風呂に入れてやります。
そして「私」は、転落死の謎をつきとめるべく奔走します。
普通ならここで《円紫さん登場》になりますが、円紫さんが出てくるのは最後の45ページでした。
それまでは「私」ひとりで奮闘するのです。
こういう展開も面白かった。
結局、円紫さんが事件を解決してくれるんですが、そこにいきつくまでに「私」の頑張りが素敵でした。
利恵ちゃんや、真理子ちゃんのお母さんに寄り添ってあげます。
その心根の優しさや、感受性の豊かさに胸をうたれました。
例えばこんなこと。
「私」がずぶ濡れの利恵ちゃんを着換えさせてやったという話は、前述しましたが、
利恵ちゃんは物語の終盤でも、再度ずぶ濡れになります。
その時に彼女の世話をするのは、真理子ちゃんのお母さんなんですが、「私」はお母さんを、こんな風にとらえています。⤵
お母さんは黙ったまま、立っている和泉さん ( 利恵ちゃん ) の後ろからジャンバースカートの肩紐を左右にはずした。和泉さんは、びくりとした。若草色のそれを滑らせ脱がせると、汚れのひどい部分を上にして軽くたたんで置いた。クリーム色のソックスも水を吸っていた。手がかかると和泉さんは、口をきけぬまま、しゃがみ足を浮かせた。
有無をいわせぬ年の差を感じた。
台風の日、濡れた衣服は和泉さんに自分で脱いでもらった。こんなことは勿論、私には出来ないことだ。そして無防備になるにつれ、和泉さんの何かが違っていく気がした。
ずぶ濡れの利恵ちゃんを彼女自身の家に連れ帰るのではなく、まず津田 ( 真理子ちゃん ) さんの家に連れて行ったのは円紫さんの考えでした。
そこには「一人の年若い女の子の死」を、母親や友だちがどう受け止めたらいいかを救う手立てがありました。
「私」の感受性に感動し、円紫さんの物の見方の深さに感心した素晴らしいエピソードでした。
「円紫さんと私」シリーズは、本当に深い!と思いました。
巻末の解説で、北村暁子さんがこう書いています。
まずお勧めしたいのは、『空飛ぶ馬』から順に読むこと。そして『六の宮の姫君』まで読んで、もう一度、初めから。また、《私》と同じ本を読んでみて、もう一度。気に入ったフレーズがどこにあったか探しながら⸺繰り返し読んでみてください。もう一度、ぜひ。
このシリーズにハマってしまった私は、4冊を一気に読んでしまうのが勿体なくて、ちびちびと読んでいました。
でも北村暁子さんのこのコメントを読んで思い直しました。
『六の宮~』まで読み切ってしまったら、もう一度読めばいいんだ、と。
本日の朝ごはん
何食べたい?と聞いたら「マルちゃん正麺」という返答が。
そうだね、寒いからミューズリーは食べたくないね。
キャベツ、にんじん、きくらげ、玉ねぎの野菜増し増し❤
チラリと映っているのは、昨日の鮭の残りで作ったおにぎり、これも平らげました。
本日の夜ごはん
まずはこの3品
するめいかとセロリのにんにくオイスターソース炒め
くらげの酢の物
鶏のから揚げときゅうりと春雨のサラダ
追加2品
するめいかのエンペラは、飾り包丁をして酒を振って焼きました。
日本酒のつまみに悶絶するほどの美味しさでした。
麻婆豆腐
いつもと色が違うのは、麻婆ソースの商品を変えたからです。
これはヤオコーブランド《YES!》の麻婆豆腐のたれ。
これもまたなかなかの出来でした。ヤオコーブランド恐るべし。
〆 デザートは、ドロキア・オシライタの「黄金ブリュレチーズプリン」
いやぁ、これ、本当に美味しいです! ・・・・高いケド (;^ω^)