吉田修一 コレクションから『キャンセルされた街の案内』『長崎乱楽坂』を読んだ。
作品が書かれた順は《キャンセル》が1998年で、《長崎》が2002年なのだが、
《キャンセル》に出てくる主人公の兄が、《長崎》の主人公と重なる。
《長崎》の方は兄目線で物語が進み、まだ小さい弟は周りの環境がわかっていない。
兄弟は父親を仕事場の事故で亡くし、母親の実家に身を寄せる。
実家はいわゆるヤクザの家で、肌に鮮やかな刺青を躍らせた猛々しい男たちが日々酒盛りに明け暮れる家だった。古びた家の離れには夜な夜な男たちが女を連れ込む場所で、主人公の兄・瞬はそこで幽霊の声をきく。
離れは瞬の末伯父が首をくくった場所でもあったから、彼は幽霊と会話をしながら成長する。
瞬はそんな家が嫌いで一生懸命に金を貯め東京に出るつもりでいるが、ある事情で出奔が敵わず、やがて自暴自棄になり廃人になってしまう。
そんな兄の瞬を、最初は赤ん坊に近かった弟が大学生になり、呆れた目で見るところで物語は終わる。
《キャンセル》の方は弟が主役。
働かなくなった兄が、自分のアパートに転がり込んでくるところから物語が始まる。
弟を通してみる兄や祖母の様子が《長崎》と酷似しているので、私が勝手にスピンオフのように思ってしまったのかも知れない。
ダメだな。
分厚いコレクション本を借りたので、一作一作を丁寧に読めていない。
もう一度、最初から読み直さなければ、勿体ないような気がしている。
ということで読書感想はあらためて、いつか。。。
因みに。
《長崎乱楽坂》の文庫本は二冊あるようで、表紙は下のように二つあるが、
私は、左の方が物語の世界を感じられて好きです。
本日の夜ごはん
今日もポトフです
ナンプラーで作ったポトフにすっかりハマっております。