念願の映画『Perfect Days』を観た。
渋い映画だった。
渋いが、心の奥底にまで静かな感動が染みわたる映画だった。
主人公-平山の生きる世界観が素晴らしい。
こういう暮らしに憧れる。
好きな場所ばかり出てきたし。
【どんなお話か】
木造安アパートに住む平山 ( 役所広司 ) は、
表の通りを掃く「シャッ シャッ シャッ」という竹箒の音で目覚める。
歯を磨き、髭を整え、植物に霧吹きし、家を出ると、自動販売機で缶コーヒーを買う。
車に乗り込み、カセットテープを選び音楽を聴きながら、首都高を走る。
向かうのは渋谷区にあるトイレ。
平山は、清掃システム会社に勤めるトイレ清掃員である。
平山が掃除するトイレは、TTTプロジェクトという名建築家 ( クリエイター ) が手がけた渋谷区にある公共トイレで、彼は4~5か所を担当している。
平山の仕事ぶりは丁寧で、トイレの裏側まで鏡でチェックする念の入ったもの。「どうせ汚れるんだから適当にやればいいんですよ」という同僚・タカシ ( 柄本時生 ) の言葉を軽くいなし黙々と作業する。
昼は、お気に入りのベンチでサンドイッチを食べる。
木々がつくる木洩れ日に目を細め、お気に入りの木の写真を撮る。
仕事が終わると押上のアパートに戻り、自転車で銭湯に向かう。
行きつけの居酒屋の店主 ( 甲本雅裕 ) は、平山が注文せずとも酎ハイとつまみを運んでくる。
平山は店のテレビを見ながらそれを平らげ、さっと引き上げる。
家に帰ると布団を敷きランプをつけ、文庫本の続きを読みながら寝落ちする。
次の日も次の日も、その繰り返し。
休日はコインランドリーに行き、古本屋をのぞき、馴染のスナックで一杯やるのがルーティン。
平山はママ ( 石川さゆり ) に恋心をいだいているのか、ママの方も平山へのもてなしが厚いものだから常連たちは2人をからかう。
そんな常連たちとママの歌を聞くのが、平山のなによりの楽しみだった。
「毎日は 同じことの繰り返しに見えるかも知れないが、同じ日は一日としてなく、
男は毎日を新しい日として生きていた」
上記は『Perfect Days』のホームページにあった一文だが、まさにそれを強く感じた。
平山の日常は単調なようで、日々発見と出会いに満ちている。
- 公共トイレの隅に二つ折りになっている紙をみつける、そこには「〇✖」が縦横斜めに3つ揃ったら勝ちというゲームが、平山はどこの誰ともわからない人と交互に繰り返してゲームを楽しむ。
- いつものベンチで昼食をとっていると、大樹の根元に新芽 ( イチョウの苗 ) を見つけ、丁寧に掘り起こし持ち帰る。
- 自転車で走っていると、空き地に佇む老人に「ここになんの建物があったか知ってるか?思い出せん」と言われ、老人と一緒に首をひねる。
同じ日はひとつもないことを平山は知っていて、それに喜びを感じて生きている。
家出した娘を連れ戻す為、平山のもとにやって来る妹 ( 麻生祐未 ) は、平山の過去を一気に連れてくる。妹の「本当にトイレ掃除してるの?」という言葉に兄妹の生活レベルの差と、消し難いわだかまりが伺える。
言葉を多用せず、淡々と日常を描いている中で、色々なことが見えてくるのが素晴らしい。
監督のヴィム・ヴェンダースのとてつもないセンスに脱帽した。
この映画を観たかったわけ
私がこの映画を観たいと思ったひとつに《ロケ現場に遭遇した》ということがある。
役所広司さんもヴィム・ヴェンダース監督も、すさまじいオーラを放っていた。
監督をかこむ日本人スタッフには、張りつめた緊張感を感じた。
監督への畏敬の念と、この仕事に参加できた自分を誇らしく思う気持ちが、スタッフのひとつひとつの迅速な動きに現れていたように思う。
そして。
私が好きな場所が、映画に使われたことも嬉しかった。
映画館から大音量で聞こえてきたのは、カラスの「カアカア」 おん鶏の「コココッコーー」の鬨の声で、あの場所の、あの時間の、あの音を、そのまま忠実に使ってくれたことが嬉しかった。
友人から「猫が出てくるらしい、誰が抱っこしているのかしら、見てきて教えてね」と
頼まれていたので凝視したら、三毛猫を抱いたおばあさんが遠くに映っていた。
ほんの一瞬、チラりとしか映っていなかったけれど、、、有名なシンガーだった。
予告編だけでも、是非観てみてください。
使われている曲もしびれます!
本日の昼ごはん
ツナマヨパスタ
ブロッコリーを和えて、しその実の佃煮もトッピング
半分、食べたところで山形のだしをトッピング
本日の夜ごはん
かに玉を追加
まとめ買いをしている冷凍ズワイガニのほぐし身を使って、ネギも少しいれて、
ほわっと出来ました