A・デュマ著『巌窟王』読了
すごーい簡単なあらすじ
エドモンド・ダンテスは、友だちに裏切られて、牢に閉じ込められる。
14年の後に脱獄に成功。宝を得て世に出て、復讐する。
もう少し詳しいあらすじ というか言の起こり
ダンテスは19歳でファラオン号の一等航海士だったが、航海中に船長が亡くなった後、船長代理として船をマルセイユ港に帰還させる。
船主モレルはダンテスを高く評価して、次の船長にしようとする。
それに嫉妬したファラオン号の会計士・ダングラールはモレルに告げ口する。
「ダンテスは船長が亡くなると、さっそく船長きどりで、だれにも相談しないでエルバ島へ立ち寄ったんです。そのおかげで、一日半も航海が無駄になりました」
モレルはダンテスに理由を訪ねると、彼はこう答えた。
「エルバ島に寄ったのは、お亡くなりになった船長の命令を果たすためです。船長はエルバ島へ寄って、ベルトラン元帥に包みを一つお預けするように言われました」
モレルはそっと聞いた。
「陛下 ( ナポレオン ) は、どうしていらっしゃる」
「しごくお元気でした。僕が元帥にお目にかかっている時に、ひょっこり、入っていらして、僕に言葉をかけられました」
「なんと、おっしゃったんだ?」
「陛下は船のことを、どうやら船をお求めになりたいご様子で。僕がモレル商会の一等航海士ですと申しますと、とても懐かしそうにおっしゃいました。『その商会なら知っている、モレル家のひとりに衛兵時代に同じ連隊にいた男がある』と」
「その通りだ、それはわしの叔父のポリカル・モレルだ」
モレルは嬉しそうに叫んだ。
「ダンテス、良いことをしてくれた。今度叔父に会ったらその話をしよう、伯父は涙を流して喜ぶだろう」
だがモレルはすぐ冷静になって言った。
「だがなダンテス。船をエルバ島にとめ元帥や陛下にお会いしたことを、人に悟られてはならない。もしそれが知れたら、きみはどんな恐ろしい目にあうか・・・」
ダンテスは純粋なうえ世事に疎かったので、モレルの言葉の意味がわからなかった。
以上は、物語の始まりの部分で、この話から、当時のフランスの事情がよくわかった。
【ナポレオンの栄枯盛衰と世界情勢】
ナポレオンは1769年にコルシカ島で生まれ砲兵士官から身を起こし、35歳でフランスの全政治をにぎる第一執政官となり皇帝になった。全盛期はイタリア、ドイツ、エジプトのカイロ、スペイン、ポルトガル、ロシアのレニングラードからモスクワまで征服したものの、その後の戦争の大敗からヨーロッパ諸国の連合軍によりエルバ島まで流されてしまう。
巌窟王のダンテスがエルバ島に寄ったのは、まさにこのナポレオンが流されていた時のことで、ベルトラン元帥というのはナポレオンの腹心。
失脚したとはいえナポレオンに対する民衆の憧れと郷愁は、フランスにおいてまだまだ強かった。その為、ナポレオンの再起を恐れた政府は厳しい警戒を怠らず、ナポレオンに好意を寄せる民衆を手あたり次第 重刑に処した。
そんな情勢がこの物語に根底に流れていて、ダンテスが無実の罪で牢に閉じ込められ原因にもなっている。
ダンテスが復讐を誓う 裏切者 は、3人いる。
1人はダングラール。モレルが自分よりダンテスを高く買っていることを恨んで密告する。
2人目は検事のビルフォール。父親がナポレオン贔屓の活動をしていることが出世の妨げになるという理由から、無実のダンテスに罪をなすりつける。
3人目はフェルナン。ダンテスの恋人メルセデスの従兄で、メルセデスを妻にしたい為に、ダングラールと組んでダンテスを密告する。
ダンテスが投獄されたシャトー・ディフ島
ダンテスは、なぜ自分が投獄されたかわからなかったが、牢屋で知り合い彼に学問を授けるファリア司祭から「君は3人にはめられたんだ」と教わり、復讐を決意する。
司祭から財宝が隠されていると教えられた場所 モンテクリスト島
彼は脱獄し、モンテクリスト島で財宝を掘り出し、金持ちになって名前を変え本国にもどり、1人また1人と復讐を果たしていく。
途中、ダンテスが名前がコロコロと変えたり、相手も地位により名前が変わるものだから少し混乱はするが、壮大なる復讐劇はハラハラドキドキして読みごたえ満点だった。
原作はフランスの新聞に連載され、1844~1846年かけて全18巻の本なのだそうだ。
今回の文庫は、西條八十さんが18巻の作品を、児童書として311頁にまとめている。
その為に割愛された場面もあり、急に登場人物が増えたりもするけれど、全体的にはわかりやすく、よくまとまっていると感じた。
人気作だから日本でも沢山の人が翻訳していて、映画やテレビドラマにもなっている。
とても面白いストーリーだったので機会があれば他の翻訳本も読んでみたいと思った。
因みに私は、西條八十さんを「歌謡曲や童謡を沢山作詞した人」として認識していたので、詩人で仏文学者でもあったことに驚いた。小学館名作文庫は、先の『紅はこべ』同様、面白い翻訳者を起用するなと感心した。乱歩さんも八十さんも子供の心をくすぐる名訳だと思った。
※ 『紅はこべ』の翻訳は江戸川乱歩。
こちらは備忘録
ダンテスの関係者 いい人たち
メルセデス……ダンテスの恋人だったが、フェルナンの妻になる
ファリア司祭……ダンテスが牢の中で知りあった学問と知識豊かな司祭、ダンテスに門テクリフト島に宝があることを教えてくれる。一緒に脱獄をしようとしていたが志半ばで病死する。
モレル……ファラオン号の船主、ダンテスに親切な恩人。時化で船を失い窮地に立つ時にでも船乗りの命や生活を案ずる。ダンテスが後にモレルに恩返しをする。
エデ……奴隷として売られる所を、モンテ・クリスト ( ダンテス ) に助けられる。
裏切者
ダングラール……ファラオン号の会計係。ダンテスをおとしいれる密告上を書く。のちに銀行家になる。
ビルフォール……ダンテスを調べ、牢に送る検事。のちに検事総長となる。
フェルナン……ダンテスの恋人メルセデスを奪い、密告状を投書する。のちに軍人として出世しモンセール伯爵となる。
昼ごはん 2024年12月16日
あごだしうどん
揚げ玉を沢山いれて、いただきまーーー
夜ごはん 2024年12月16日
これは鳥忠から取り寄せた「さつま知覧どりの炭火黒焼き」
パンフレットの写真よりも黒光りしている。
コリコリと食感もよくとても美味しかったです。
今日はメニューが少ない。
〆にカップヌードル、ひとつを半分こして食べました。