「水戸であんこう鍋を食べよう」と、やってきた旅行だったが、あてにしていた店が月曜定休みだったり、前日までに予約を入れなければ駄目だったりして全滅だった。行き当たりばったりであんこう鍋を食べようというのが強引だったのだろう。
仕方なく居酒屋を探すことにした。

ホテルの周りを歩いていると、古くてモダンな造りの建物を沢山ある。
大工町交番も可愛らしい正八角形の二階建

泉町の交差点にもレトロな建物があった。

ふたつの建物を見て奇妙なことに気が付いた。
両方の建物の脇の一方通行の標識が共通してオカシなことになっている。
標識板が二か所とも丸まっているのだ。
左が交番のもの。右は泉町会館のもの。

誰かが悪戯したのだろうか。。。
さて、あんこう鍋のことだが、
あんこう鍋には二種類あって、どぶ汁と呼ばれる料理は、生のあん肝を大量に使うので、事前の入荷が必要なのだそうだ。
それでどこの店でも当日来店ではどぶ汁は作れないらしい。
環翠 環翠 - 水戸/日本料理 | 食べログ という店に当日電話をして「当日は無理」と言われたのもそういうことだった。
「あんこう鍋はあきらめるか」と言いながら歩いていると、
「元祖 あんこう鍋」という店先で、年配のご婦人が開店を待っておられた。

予約していたらここで食べられたんだなあ、と思いながら店頭のメニュー表を見ていたら、そのご婦人と目が合った。するとその方が 今日 来店を決めたというじゃないか。
「当日でも食べられるんですか? しかも予約しないで入れるんでしょうか?」
「大丈夫みたいですよ。(入口にある) あの機械で整理券を取れれば入れるんですって」
その方に教えていただいて、整理券を入手
その方となんでそんな話が出来たのか、、、たぶん私たちが物欲しそうに佇んていたから声をかけてくださったのだろう。
この方は、東京からご夫婦でいらしたそうだ。
今日は東国三社を廻って、夜はあんこう鍋を食べ、明日はアウトレットに行く予定だとのこと。
「東国三社って?」
「鹿島神宮と香取神宮と息栖神社でね、それがトライアングルの形の場所にあって、三つの神社をお参りすると、伊勢神宮にお参りしたのと同じご利益なんですってよ」
口に福がある
私はホント口に福があるみたいだ。
色々な方から美味しいものをいただいたり、グルメ情報をいただくことが人生に数限りなくある。今日は美味しいものの話のみならず、東国三社なんていう興味深い話までお聞きできた。
5時になると予約済み客から順番に案内が始まり、そのご夫婦に続き私たちも席に通された。
ラッキーなことに私たちはカウンター。そのご夫婦は私たちの後ろのテーブル席だった。

さあて何にしますかな?

あんこうのフルコース?
でもさ、あんこうの柳焼きは いらんで ww
写真の上の⤵ あんこうの頭が大皿に乗ってるのが「柳焼き」

萩コースがいいんじゃない?
茨城の郷土料理を愉しむ 一人前 7,150円
・あんこう鍋
・先付
・あんこう供酢
・奥久慈しゃも山椒焼き
・納豆てんぷら
・雑炊又はうどん
柳焼きの代わりに、納豆の天ぷらと、しゃも山椒焼きが食べられるもの。
プラスで、あん肝を注文することにした。
お酒はまず生ビールのグラスで乾杯して、それから濁り酒にしましょう!

お通しは、とろこんにゃくの刺身

ぬるりとしていて美味しい

こちらが先付 あらら あん肝かぶった💦

被ったあん肝は、先付のと一品料理のと味が違う。

胆の部位が違うんだな、私も作っているからなんとなく想像できる。
一品料理の方は塊の部分で、先付の方が端の方でそれを整形すると黄色い感じのあん肝になる。
私は先付の方が好みの味です。
大皿が配膳されました

若い男性の給仕さん、大皿をMOURI の方に置く ( ´艸`)
普通は女の人の側に持ってくるんじゃないかと思うんですが、彼はためらいもなくMOURI の方に置いた。
「鍋奉行はこっちのおじさんだな、と勘でわかったんだろう」
「うんうん」
ということでいつものように、MOURI が甲斐甲斐しく ww

私は隣でおりこうさんに待つ
奥久慈しゃも山椒焼き

これはふつうでした
鍋の作り方は、あらかじめ説明してくれましたが、わからなくなったら呼んでくださいと言って、こんな栞もくれました。

なになに?
まず焼き味噌を半分煮溶かす。
だしが煮立ったら、あんこうの身、ひれ、皮、卵巣、胃袋、えらを各半分入れて、
それから野菜を入れて半分ほど蓋をして中火で煮込む。
最後にあん肝を入れてネギが柔らかくなったら食べられる。

言いつけを守らず、蓋を完全にしたら給仕さんが飛んできた。
「蓋は、半分だけです!」
叱られちゃったね。
こんにゃくも入っている

納豆の天ぷらがやってきました

天つゆにつけて食べる

美味しい!
これ家でもできるかな、やってみたい
給仕さんに慌てられたり、板場の板前さんに笑われたりしながら、わちゃわちゃ食べ終わり。
じゃ、〆は雑炊に

板前さんは私たちの話をなんとなく聞いていた様子で
「明日は那珂湊に行くんですか? ぼく 那珂湊から通ってるんですよ」
「そうなんですか。水戸からどのくらいかかるの?」
「40分くらいかな、抜け道 通って」
板前さんは混んでる時に抜けられるルートを教えてくれたんですけど、私たちが来たのは20年も前だから「〇〇の通りを右に迂回して」と言われても、すっかり道を忘れていました。
「おさかなセンターはどこがおススメ?」
「うーーーーーん。地元の人間は買わないからな、むしろスーパーの方が安いし物もよかったりもするし」
場内の寿司屋さんではなく、周りにどこか美味しい所ないかって聞いたんだけど、
それもジモティーにはピンとくることないみたいで、代わりに何故かアイスクリーム屋さんを勧められました。
「そこの店、出店してるのが軽井沢と銀座と那珂湊なんですよ。なんで軽井沢と銀座の次に那珂湊なんでしょうね」
それが地元では謎で興味深くて大盛り上がりの話題らしい。
[公式] リビスコ|L'ibisco|オンラインストア・銀座店・軽井沢店
美味しい料理と、板前さんやご夫婦とも楽しいお話が出来て店を出る。

良いご縁があって、あんこう鍋を堪能した夜でした

「もう一軒どこかで飲もう」
いつもならそういう会話で、どこかに引っかかるんだけれど、
今日は雑炊まで食べてしまって、お腹パンパン。
ホテルまで歩けば腹もこなれるでしょうから、ゆっくり散歩。
近代的なビル、ここは水戸市民会館

こちらは京成百貨店

近代的なビルも美しいけれど、やはり私はこの建物に釘付け

「會館」の文字もいい

昭和30年に建てられたこの建物は、耐震補強をされワインバーになっているそうだ。

「お腹が一杯でなければ寄れるんだけど。
キュイジーヌと書いてあるからちゃんと食べないといけないだろうしなあ」

いいのいいの、こうやって見ているだけで満足だから
この通りには、他にも興味深いお店がある。
ポップが可愛い喫茶店や、

コアなファンが来そうなミニカー屋さん

それにしても、あの一方通行の丸めた標識はなんだったんだろうなあ、
と首をかしげながら、ホテル一階にあるセブンイレブンでつまみを調達。
お酒は、昼に寄った酒屋さんで購入した「来福の祝酒」の一升瓶があるから、
さあ、部屋飲み開始です!
水戸の夜に乾杯!!