Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

グレゴリーの大脱走

 

知人の入院見舞いに出かけようと思ったらLINEが入った。

病気療養中の猫・グレゴリーが動物病院から脱走したらしい。

 

にゃんこの集会場にいる頃のグレゴリー

 

第一報、Aさんから伝え聞いた話では

「となかさんが下痢と嘔吐が止まらないグレゴリーを病院に連れて行き、

 待合室でキャリーケースに敷いてあるマットを交換しようとしたところ、

 たまたま病院の入口が開き、グレゴリーが飛び出した」とのこの。

 

病院前の通りは、二車線の交通量の多い道で、

グレゴリーはその道をつっ切って向いの民家の奥に逃げ去ったらしい。

 

 

とりあえずカリカリと鈴と洗濯ネットを車に入れ、

用事が済んだら、グレゴリー探しに向かうことにした。

 

グレゴリーのこと

グレゴリーは集会場に暮らす12歳の雄猫。

おっとりしたチョイトの息子で、さつま・とんとん・ミーシャの従兄にあたる。

ミーシャに背負い投げをされるような気弱な子だから、集会場から一歩に出たら怖くて動けないはず。

 

グレゴリーの病気

グレゴリーは、今夏にご飯を食べずにヤブの中で動かない状況から、

病院に連れて行かれ、どの猫よりも重症な腎臓病であることが判明した。

週に一度の点滴を一生続けなければならないという。

 

これは後から知らされたことだが、

グレゴリーはここ二ヶ月、となかさんのお宅のゲージの中で過していたらしい。

ずっと泣き通しでいたらしい。

下痢嘔吐というのはストレスがたまった結果なのではないかと、私は思った。

世話をしてくれている となかさんには申し訳ないが、相当 嫌だったのではないだろうか。

 

グレゴリーは臆病だから、そう遠くには行かれないハズ

用事が終わり、18時ごろ件の病院の向いの民家を捜索。

私の付けている鈴の音を聞き「グレゴリー」という呼びかけにきっと反応してくれるとふんだ。

鈴を鳴らし、声掛けしながら、軒下や 家と家の隙間を覗き込んでひとまわりしたら、

表通りから少し引っ込んだ家と その奥の家との間の塀の上に、見たことのある猫がいた。

香箱座りをしているではないか。

「グレゴリー」

「にゃー」

私が声をかけるのと、グレゴリーがにゃーと言ったのは同時だった。

キラリンとした目で私を見たグレゴリーは、辺りを気にしながら塀の上を伝って走ってきた。

塀の上でカリカリを食べさせながら、地面に洗濯ネットを広げ、降りてくるよう誘う。

 

怖がりのグレゴリーはあたりをキョロキョロしながらも、

お腹が空いたのと、知った顔に安心したのとで塀から降りた。

 

捕獲成功!

洗濯ネットにカリカリを置き、誘い込んだ途端に、ネットで捕獲成功!

びっくりして暴れたが、洗濯ネットごし抱きしめてやったら大人しくなった。

ネットで包んで逃げられないようにしたはいいが、さてこれからが大変。

捕獲場所は病院の真向かいなので、病院に電話をし、キャリーバックをお借り出来ないか交渉。

しばらくして病院から先生がキャリーバックを手に顔を出された。

 

「よく捕まえたね」

「幼ともだちなので。キャリーバック一日お借りできますか」

 

洗濯ネットに入れたままキャリーバックに入れ、声をかけながら車に乗り込む。

車の中でも過呼吸になったグレゴリーに声をかけながら集会場に向かう。

「グレゴリー、集会場に帰ろうね」

 

 

本来は、となかさんの家に運ばなければならないのかも知れないが、

私はどうしても、となかさんに渡す気にはなれなかった。

となかさんの グレゴリーの扱いに疑問を感じたからだ。

 

グレゴリーを点滴のたびに捕獲するのも大変だし、

酷暑で体調を狂わせることを、となかさんは心配してのことだろうが、

怖がりの猫が大脱走するくらい嫌だったのは、ストレスのせいだと思う。

 

となかさんは、二か月も鳴きやまない猫に、声をかけたり、撫でてやったり抱きしめて安心させたりしてくれただろうか。

 

 

もうひとつあとから聞いた話がある。

集会場に戻さなかったのには、もうひとつ別の理由があったらしい。

夏になるとグレゴリーは蚊の餌食になる体質で、耳やら鼻やら血だらけになる子だった。

蚊のアレルギーはほっておくとフィラリアにもなるくらい怖いもので治療が必要だけれど、

アレルギーの薬がステロイドで腎臓の悪い猫には使用できないため、

病院の先生からは「蚊のいる時期だけは外に戻さないように」と言われていたという。

 

余命わずかな猫への選択肢

腎臓の状態はかなり重篤らしく、余命も宣告されているらしい。

だがそんな猫が、狭い檻の中でのストレスをかかえ余命を延ばすのと、

大好きな野原を駆けずり回り余命を縮めることと、どちらが幸せなのか、、、

これは世話人の考えがわかれる難しい問題だ。

 

となかさんはかつて、集会場の猫の性格で、二つに線引きしていた。

彼女が一番可愛がっていた老猫チャビに関しては

「捕獲するだけでストレスで死んでしまうような猫だから、集会場でできる治療にとどめて余生を自然のまま送らせてやりたい」と言っていた。

私も同感だった。

ならば、グレゴリーも、コタヌも同じなのではないかと私は思った。

 

現在、グレゴリーはとなかさん、コタヌはRさんの家に保護されている。

皆に相談することもなしに。。。

お二人は「閉じ込めている」のではなく、医療上必要な行為として「保護している」と思っているようだが、はなはだ微妙だ。

 

世話人の考え方は一枚岩ではない

今回、カイさんがとても理解のある方に貰われていったケースもあるし、

今いる老猫が全て、カイさんのようにキチンと世話をしてくださる方の家猫になることを世話人全員が願っている。

だがそれとは別に、医療行為を目的に捕獲し、一生飼えない環境なのにゲージに入れておくというのは、私にはどうにも抵抗がある。

一生キチンと面倒をみられないのであれば、猫の方もその家に懐けるような環境でないのであれば、野良猫として余生を送らせてやるほうが猫にとっては幸せなのではないだろうか。

 

となかさんと私の考えは違えた

今回グレゴリーの件で、となかさんと私の考えは大きく分かれた。

グレゴリーを車で搬送する間じゅう、

私は彼に「グレゴリー、集会場に帰ろうね」と声掛けをし、約束した。

だから、となかさんの思いを違えて、私は集会場にグレゴリーを放した。

 

グレゴリーのおしっこの匂いがついたゲージを、

さつまがパトロールしている写真⤵

 

Aさんにグレゴリーを預けて一足先に帰宅したら、AさんからLINEをいただいた。

グレゴリーは、集会場で元気に駆け回り、Aさんの脚の周りをぐるぐるし、

他の猫に挨拶をして、留守中の様子をパトロールしているという。

 

水飲み場で、美味しそうに水を飲み

 

お気に入りの大木で爪をカリカリ研いで大はしゃぎだったそうだ。

 

それから2日後

グレゴリーは再度、となかさんに捕獲をされ病院へ。

これから数か月 蚊がいなくなるまで、となかさんの家で隠遁生活を送るらしい。