Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

松本清張『暗線』

 

2022年7月にアップした記事にコメントをいただいた。

 

下が私が書いた記事⤵

garadanikki.hatenablog.com

素不徒破人さんのホームページ⤵

seityoudasoku.garyoutensei.com

 

 

件の『暗線』は未読だったので、宮部みゆきさんセレクトの文庫を借りてきた。

本著は、宮部みゆきさんがセレクトした12本の短編傑作集で、

《自身を素材に小説を書くことがなかった》という松本清張さんの作品の中から、

数少ない私小説的 味わいのものが選ばれているらしい。

※「夜がこわい」「暗線」の両方収録。

 

 

【相違点について】

確かに両作品には、父の出自にまつわるエピソードが書かれており、

その内容は酷似している。

 

共通する点

  • 父の生まれは山陰地方 ( 島根県 ) の山間部で、砂鉄がとれる村
  • 裕福な家の長男として生を受けたにも関わらず、里子にだされている
  • 父は故郷を懐かしがるが、生い立ちについてはあまり語りたがらない
  • 本家には父の弟が産まれ、その子 ( 次男 ) が継いだ
  • 父の妻 ( 主人公の母 ) は父のことを「あんたの耳は薄い、貧乏性な耳だ」とけなす
  • 父は10代後半で養家から出奔する

 

異なる点

  • 名前を変えている
    「夜がこわい」父の名前-原口平吉、本家 ( 父の父・慶太郎 )-木下家、母方実家 ( 父の母・ユキ ) -高井家、養家-原田家
    「暗線」父の名前-黒井利一、本家 ( 父の父・綾造 ) -須地家、母方実家 ( 父の母・国子 ) -安積あさか家、養家-黒井家
  • 実家、生家及び養家の場所を変えている
     「夜がこわい」本家及び生誕地・木下家-島根県邑智おおち群 矢上村、母方実家・高井家-川戸村、養家・原田家-川本村字因原
     「暗線」本家・須地家-仁多にた屋神やがみ村、母方実家及び生誕地・安積あさか家-島根県能義のぎ布部ふべ村、養家・黒井家-能義のぎ広瀬町
  • 主人公の職業、年齢、今おかれた立場が違う
  • 嫌悪する対象が違う

 

主人公について

「夜がこわい」の主人公は、75歳の男で胃潰瘍 ( 実は癌だと知っている ) で入院中。

小企業を経営し今は息子に代を譲っているが、入院している個室の費用くらいは出せる身分。

父の話は入院中のベッドで眠れない時に思い出した話として出て来る。

父のこと、父の故郷の人々のことは割と坦々と語っている。

 

「暗線」の主人公は、新聞社の文化部次長という肩書を持っている男で、人生に達成感はあまり持っていない。

父親の出生の謎を調べていく内に、故 三浦健亮 ( 大学教授で古代刀剣の研究者 ) と父との関りをつきとめ、故人の孫を訪ねる。父の話は孫の三浦氏宛ての書状の形で出て来る。

父のことを不憫に思い、そうなった原因 ( 三浦氏とその子孫 ) を羨む。

 

 

【読後感】

二つの作品を読み比べて、父のルーツに強い関心を抱いている点に注目した。

二つには《主人公が小さい時、父が手枕で故郷の話を懐かしそうに話していた》という共通シーンがあるが、もしかしたら著者の実体験なのかも知れない。

重複して父の話を書くのは、著者本人が実父の出自を気にしているのかも知れないし、人間のルーツや闇の部分に対して、執着とか好奇心を持っているのだろう。

 

仮にもし父が生い立ちを明らかにしていたら、息子も固執しなかったかも知れないが、父が故郷に強い思慕を抱きながらも、出自を隠し語りたがらなかったとしたら、

息子は余計に固執する。

 

実はこのテーマは「父係の指」でも使われている。

繰り返しになるが、こんなに沢山 内容を重複させるのは、松本清張という人間を形成する上で極めて根幹をなす要素なのだろうと思う。

 

素不徒破人さん始め 多くの読者から〈瓜ふたつ〉〈二番煎じ〉と言われることを十分承知の上、著者は書いているのだろうと思う。そこには書かずにいられない何かがあるのだと感じる。

 

二つを読み比べて面白かったのは、

「夜~」は主人公が成功者で、父の人生を自分から切り離しておいているのに対し、

「暗線」は主人公は父を引きずって敗者であることだった。

 

私は「暗線」の主人公に軽い憤りを感じた。

それは〈新聞記者〉という自分の立場を利用して個人的欲求を満たした点にある。

父親のことを調べるのに取材と偽り故郷の人を集め情報収集をしたり、肩書を利用して三浦家に接触したりする、更にはそうして得た出自の謎を恨みがましく相手にぶつけている。これは明らかに敗者の遠吠えであるところが興味深い。

 

私は同じテーマを使いながら、主人公の立場や人生観を変えることで、

両作から違った読後感を与えられたことに驚いた。

これこそ松本清張の力量だと痛感した次第。

 

 

2025年09月26日 昼ごはん

釜玉うどん

この製品のパッケージには「麺をレンジで1分し、そこに付属のつゆをかける」という表示があるが、

MOURI はあえて鍋で4分と長めに麺を茹で、博多風のやわらか麺にしている。

うん、いいです。もっちもちで柔らかい麺にした方が美味しいと私も思います。

 

 

 

2025年09月26日 夜ごはん

野菜中心のおかずが並ぶ

コリンキーのポン酢和えと、おくらのマヨネーズ和えの上は、

キュウリとみょうがを刻み昆布茶をまぶした浅漬け

こちらはカボチャをニンニクでバター炒めして、パセリをまぶしたもの

バターの塩味だけで充分

一品追加

真空パックの筍の水煮があったので、

出汁醤油 ( 我が家の出汁+醤油+みりん ) で炊いて鰹節をまぶしたもの 

 

電子レンジでぷくーーと膨れているのは、焼きそばの麺です

〆にこんな感じのものを食べました。