この年になると、人との別れに触れることも増えてきます。
通夜では、故人の人となりやエピソードを聞く機会も多くなる。
先日亡くなられたマダムの通夜席で、大変驚いたことがありました。
マダムに対する形容詞が同じだったんです。
「明るい人だった」「何でも面白がる人だった」「気遣いのある人だった」
親交の厚かった人の中のごく数人がまじる密葬でしたが、
どんなエピソードから生れる形容も、最後は全員同じなのです。
人には色々な顔があるでしょう?
どんな人でも、仕事仲間や利害関係のある人に見せる顔、プライベートで気を許せる相手に見せる顔は違うんじゃないかと思います。
全部が全部に同じような印象を与えることは、出来るようで出来ないんじゃないかしら。
でもマダムは、誰に対しても同じ顔だったんです。
人に垣根を作らない。偉ぶらない。媚を売らない。
だれにでも笑顔で接する内に、相手は鎧を脱ぎ捨てます。
苦虫をかみつぶしたような顔のオジサンも、自然に笑顔で優しくなる。
旦那の友だちだった人が、いつしか旦那を通りこしてマダムと1時間も長電話をするようになる。
「怒った顔は見たことがない」というのも全員の言葉でした。
争い事や、人が声を荒げるのも「嫌なの~」とよく言っていたもの。
そういう人を、下界におりた天使 だというのかも知れません。
野に咲く花が好きだったマダムの棺に、ムシトリナデシコをそっと入れました。
「ご主人をこよなく愛しておられたね」これも全員一致。
「〇〇 のような男 のどこが良かったのかな」
ひとりが言うと、全員「うんうん」と大きく首を縦にふる。
「こんな出来た女房 ( こんな素敵な女性 ) の心を射止めたのは、彼の何だったのか」
ふたりを知る人すべての「永遠の七不思議」なのかも。。。
許してね、旦那しゃま (;^ω^)