青山美智子 著『ただいま神様当番』を読了
ある朝、目を覚ますと腕に大きく「神様当番」という文字が!
突如目の前に現れた「神様」のお願いを叶えないと、その文字は消えないようで・・・?
各章の主人公たちは「坂下」というバス停の土台に置いてある《落とし物と書かれた品物》を着服する。
すると翌日、神様が現れてお当番を任命される。
神様は、それぞれの主人公が《なりたい自分》をミッションとして与える。
主人公たちは、神様からのミッションをクリアするために奮闘し、
自分自身で自分を《なりたい自分》に、変えていく。
本日の記事は備忘録のような感じです、ごめんなさい。
各章の主人公は次の通り
水原咲良……幸せになる順番を待つのに疲れたOL
松坂千帆……理解不能な弟にうんざりしている小学生の女の子
新島直樹……SNSでつながった女子にリア充と思われたい男子高校生
リチャード・ブランソン……学生の乱れた日本語に悩まされる外国人教師
福永武志……部下が気に入らないワンマン社長
第一番 咲良
咲良が拾うもの「キュービックのニューアルバム初回限定版」
神様からのミッション「わしのこと、楽しませて」
因みに咲良の拾う「キュービックのCD」は、どこかで読んだと思ったら、
青山さんが書いた『猫のお告げは樹の下で』にも出てくるエピソードだった。
『猫のお告げ~』では、二枚目「チケット」の中で、主人公・耕介の娘さつきが夢中になっているアイドルグループ。
さつきの押しも、咲良の押しも同じ「たっちん」という子だった。
※ キュービック6人メンバー、葛原達彦「たっちん」八重歯の子。
第二番 千帆
千帆が拾うもの「ピンクのエナメルバンドのついた時計」
神様からのミッション「わし、最高の弟がほしいな」
内容メモ……うさぎの世話とピアノのレッスン。
千帆には、三歳年下の弟・勝を疎ましく思っている。
バカで汚くて、まったくしょうもないことばかり言うからだ。
ピアノ教室で会った広田耀真くんというカワイイ少年を見て、こんな弟だったらいいのに思っている。
気になったセリフ……
バス停で仲良く話をするようになったOLの咲良が、怖い者知らずの話でこんなことを言う。
「私、最近思うんだよね。怖い者なんてないという人より、本当は怖いのに立ち向かってく人のほうが、何倍も強いよ。それを勇気って言うんだと思う」p.97
第三番 直樹
直樹が拾うもの「ワイヤレスホン」
神様からのミッション「わしのこと、リア充して」
直樹はYouTubeで聞く雨音だけの画像が好き
直樹のSNSには、いつもどこのだれか顔を見たこともないアザミが「いいね」をつけてくれる。
そんなアザミの写真がアップされた、とても美少女だ。
直樹の友達の中田くんは、とてもカッコいい。
わかりやすいイケメンというタイプではなく、顔立ち自体はごく普通、それがまた、いい。よくよく観察してみると、内面からにじみ出てくる聡明さというか、ブレない芯みたいなものを感じる。それに気づいてしまったら最期、中田がやることなすことかっこよく見えてしまう。
四番 リチャード
リチャードが拾うもの「黒い折りたたみ傘」
神様からのミッション「わし、美しい言葉でお話がしたいの」
日本が好きで、美しい日本の言葉を一生懸命に学んで日本にやってきたリチャードは、
英会話の臨時教師として働いているが、講義にはやる気のない学生ばかり。
中でもハヤトという問題児がいる。
笑ってしまったハヤトの回答……
Actually,It is a vary difficult problem for me. を日本語にしなさい。
正解は「実際のところ、私にとってそれは大変難しい問題である」
ハヤトの答え「ぶっちゃけマジ無理」
他の主人公たちが腕に書かれた「神様当番」を見て、キャーと驚くのに、リチャードの反応が愉快だった。
神様当番の字を見て思わず声が洩れた。
「……So cool……」
かっこいい、歴史を感じさせる重厚な文字、漆喰のかっちりとしたレタリング。なんと麗しい。私はその四つの文字をうっとりと見つめた。
第5番 武志
武志の拾うもの「一万円」
神様からのミッション「わし えらくなりたいの」
零細企業の社長・武志は、いつも従業員をどなり散らしているものだから、
ある日、5人の社員が辞めてしまう。残ったのは喜多川という女性社員と妻の八重子だった。
喜多川は武志のことを「ぷんぷくちゃん」というあだ名をつけていた。
あれ? 「ぷんぶくちゃん」もどこかで聞いたような気がするが思い出せない。
青山さんの別の本のキャラクターの友達だったかが、自分の会社の社長に「ぷんぷくちゃん」というあだ名をつけていたような気がするのだが・・・・。
前にも書いたが、青山さんの本は色々なエピソードや人物がリンクしている。
一冊の本の中でもそうだけれど、違う本にもリンクしていることがあるので、
それに気づく面白さもも、青山作品の魅力のひとつだ。
神様ってこんな人?
「お当番さん、みーつけた!」とはしゃぐ神様のくだりを読んで、私の中でどんどんイメージが膨らんでいく。
様相はどんなかというと、咲良はこんな風に表現している。⤵
ハッと振り返ると、ニヤニヤした見知らぬお爺さんが床にちょこんと正座している。
お爺さんは小柄で痩せていて、額からてっぺんに向かってつるつるで、頭の両脇に白い毛がもわもわと生えていた。どこかの中学生みたいな、白ラインの入ったえんじ色の長袖ジャージを上下で着ている。皺のいっぱい刻まれた顔でへろへろ笑っていて、ひ弱そうではないけど決して強そうでもない。お調子もののおじいちゃんって感じだ。
裏表紙にある田中達也さんのミニチュアはこんな感じ
因みに、宝島社から刊行されている青山美智子さんの本は全て、
ミニチュア作家の田中達也さんが手がけている。
作品のイメージを忠実に再現しつつ、イメージを限定しすぎない丁度良いミニチュアには、いつも温かさとセンスに満ちている。
神様のセリフを少し抜き出してみた。
「わし? わし、神様」
「お願いごと、きいて」
「わしのこと、楽しませて」
「楽しませてくれないと、お当番が終わらないよぉ」
私はこの神様のセリフを読むと、どうしてもこの人の声が浮かんでしまう。
小日向文世さん
小日向文世(C)日刊ゲンダイ
一度小日向さんの声が頭に響いてしまったもので、私の中での神様は小日向さんだ。
困った。
もう小日向さんの声にしか聞こえない。
本日の昼ごはん
金ちゃんラーメン
本日の夜ごはん
酢の物リクエストされました。
そういえば最近、作っていなかったな。
本日のおやつ
きのこの山のジク
スーパーで見つけて「ジク?」と二度見してしまいました。
ほんのりココア味で美味しかった。また買って来よう!