Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

作家

本は見て選ぶのがいい

図書館の棚を見回っていて、 小躍りするほどファンキーな一冊に出会った。 表紙は若き日の三島由紀夫と石原慎太郎 この本は2000年から2006年『諸君!』に掲載されたありし日の文豪たちの本。 カメラマンの樋口進さんが撮影したモノクロ秘蔵写真と、 川本三郎…

『闘』 著:幸田文

幸田文 著『闘』を読了。 『闘』とは、闘病のことだった。 簡単な内容 病院の待合室で酷い喀血をした嘉助は、次男に連れられてやってきた老人だ。 左官職工の嘉助が物語の主役かと思って読み始めたが、彼はあっけなく死んでしまう。 第12章からなるこの作品…

新潮より「新進時代の島木健作氏」を読んで

「新潮」に掲載されていた森山啓さんの追悼文によって、今まで知らなかった島木健作のことを色々知ることが出来た。 貴重な資料が手に入ったと喜んでいたが、更に思いがけない収穫に小躍りしてしまった。 森山さんは、島木健作と同年代の詩人・小説家である…

昭和20年発行「新潮」と島木健作

貴重なものが手に入った。 1945年 ( 昭和20年 ) 発行の「新潮」 78年前のものなのに、保存状態がとても良い。 明治37年5月5日に創刊された「新潮」は今年で119年になる文芸誌。 日露戦争、第一次世界大戦、日中戦争、太平洋(日米)戦争と、関東大震災をくぐり…

ホーソーンと日本

ホーソーンの履歴に面白い記述を発見した。 1854年、50歳 12月 『日本遠征記』執筆を依頼するため、ペリーがリヴァプールにホーソーンを訪ねるが、辞退される。 ペリーとは、日米和親条約を結んだあの黒船のペリーだ。 もしかしたらホーソーンはペリーと一緒…

ナサニエル・ホーソーン『ラパチーニの娘』

「ラパチーニの娘」を、阿野文朗訳で読了。 ナサニエル・ホーソーンというアメリカの小説家が40歳 ( 1844年 ) に書いた短篇。 【内容】 ラパチーニ博士の庭園に接する古い建物に下宿することになった学生ジョヴァンニ・ガスコンティは、博士の美しい娘ベアト…

ドラマ『グレースの履歴』

ドラマ『グレースの履歴』を大事に少しずつ見ている。 このドラマは、妻が残した愛車-ホンダS800で夫が旅をするロードムービー。 録画しておいた1話を観たら、ドストライクだったので、 じっくり少しずつ大事に観ようと決めてまだ3話目である。 既に終了して…

ドラマ「日曜の夜ぐらいは ⵈⵈ 」

待ちに待ったドラマが始まった! 岡田惠和脚本作品「日曜の夜ぐらいは ⵈⵈ 」 まだ暗い、誰も起きていない早朝の団地 部屋の灯がつく 食事の支度と母・邦子 ( 和久井映見 ) の介助を淡々とこなし、あわただしくアルバイトに出かけていくサチ ( 清野菜名 ) に…

松本清張 著『時間の習俗』

先日の鎌倉で、古本を買った。 光文堂書店は由比ガ浜通りにある、私が一番好きな店tanosii-kamakura.jp 公文堂の包装紙には、高橋幸子さんの木版画が使われていて、 文庫本など2~3冊の購入でも、帯状の包装紙を巻いてくれる。 今回購入したのはこの三冊 幸…

うつくしが丘の不幸の家

町田そのこ著「うつくしが丘の不幸の家」を読了。 内容 築二十五年の三階建ての家を購入し、夫と二人で理美容の店をオープンすることになった美保理。 夢としあわせの象徴だったこの家だったが、朝、店先を通りかかった女性に「ここが『不幸の家』って呼ばれ…

老嬢と女子大生について考えさせられた本

260日経った。 なんのことかというと。 よんばばさんが本を紹介されてから、私がこれを書くに至った日数。 hikikomoriobaba.hatenadiary.com 『古本食堂』 原田ひ香 よんばばさんのブログでこの本を知り、その日のうちに図書館に予約を入れた。 順番待ちは三…

鶏肉の神田染谷

スーパーのパックではなく、肉屋さんの珍しい包み方のこれは、鶏専門店で購入したもの。 なんこつ入り 鶏つくね ゆず風味 食料の買い出しで練馬IMAに行くと、肉は全部日南という店で調達していたのだが、 そのはすっかいに、鶏肉専門店があるのが気になって…

武者小路実篤 著『愛と死』

武者小路実篤 著『愛と死』を再読。 友人野々村の妹-夏子は、逆立ちと宙返りが得意な、活発で、美しい容貌の持主。 小説家の村岡は、野々村の誕生会の余興の席で窮地を救ってもらって以来、彼女に強く惹かれ、二人は彼の巴里への洋行後に結婚を誓う仲となっ…

武者小路実篤記念館に行ってきました。

かぶとむし日記のSmoky さんが「武者小路実篤記念館」に行かれたと聞いて、俄然行きたくなりました。 beatle001.hatenablog.com 7月に訪れた時は、緊急事態宣言下で閉館だったので久しぶり。 宣言解除を待って再訪したかった場所ですが、 特に、今回の目的は…

尾崎翠の世界をたゆたう

ご無沙汰いたして。。。 かけがえのない私の宝、ブログ友の皆さまには、もしかしたらご心配をおかけしたかもです。 体調はすこぶるよろしく、日々機嫌よく暮らしていましたけれども、インプットとアウトプットのバランスがつかめず、パソコンに向かう集中力…

芥川龍之介「あばばばば」

芥川龍之介全集の第十巻を読みふけっています。 第十巻を勝手に随筆集だと思っていましたが、そういう訳でもなく短篇もちらほら。 友人の久米正雄や、谷崎潤一郎氏のこと、飯田蛇笏さんのことを語っていたり、 「保吉もの」と言われるシリーズもいくつか収録…

芥川龍之介の雑記を読む

先日アップした、両国「小泉町」の記事に、 たまうきさんから、次のコメントをいただきました。 ni-runi-runi-ru此処ら辺り芥川が移転した13年後に震災により大火災が発生した所。で、ふと、芥川が大震雑記で「小泉町」のことについて何か書いてあるか、と思…

林房雄『息子の青春』

林房雄 著「息子の青春」を読了。 主人公は流行作家-越智さん。 越智さんとその家族の話が、コミカルに爽やかに描かれている作品です。 家族構成は、47歳小説家の越智英夫さん、妻の千代子さん、長男の春彦君、次男秋彦君、お婆ちゃん。 舞台は、終戦後まも…

中山義秀 著『厚物咲』

最近続けざまに、中山義秀の本を読んでいます。 キッカケは、島木健作の『扇谷日記』に出て来たことです。 島木健作は里見弴が嫌いらしく、中山義秀が里見弴の『金』を褒めたことをいぶかしく感じています。 昨年に作家等が顔を合した時、中山君が里見氏に「…

島木健作の感想を考える

里見弴著『かね』を再読、 つづけて中山義秀著『厚物咲』も読みました。 愛著『扇谷日記』で筆者の島木健作が、里見弴の『かね』を酷評していたから、 どんなものなのか読み比べてみたくなったのです。 garadanikki.hatenablog.com 島木さんは著書でこう言っ…

本から本へ

現在、併読している本は以下の3冊。 島木健作『扇谷日記』 野田宇太郎『文学散歩 別巻1』 ダーチャ・マライーニ『メアリー・スチュアート』 どれもすぐにピンと跳ね返るようなフレーズには乏しいが、 考えさせられる事柄は満載で、ここから関連して読みたく…

呉越同舟の人

蒲原有明さんの旧居のことを調べるにあたり、この一冊も大変参考になりました。 林 房雄著『文学的回想』 楽しみながらゆっくり読んでいます。 いま 半分まで来たところ。 昔の本は素敵だ。 布の平の出が美しい! 美しいだけでなく、とても良い肌触りです。 …

蒲原有明旧居の謎

コロナが蔓延して、趣味のぶら歩きが出来なくなっています。 大好きな鎌倉はおろか近隣の徘徊も出来ないので、古い写真やブログを見て楽しんでいます。 実際に歩かなくても、昔たどった場所で気になった物事を調べる作業も 結構面白いものです。 今回も、8年…

大豆田とわ子と三人の元夫のエンディングについて

「大豆田とわ子と三人の元夫」が、残すところあと一話になりました。 いや~面白い、このドラマ。 ドラマの魅力は沢山あります。 松たか子さんもいいし、脚本もいいし、ナレーションもいい。 そして音楽もクールです。 ドラマのエンディングは、松たか子さん…

ネタバレ御免、大豆田とわ子~第9話

「大豆田とわ子と三人の元夫」がとうとうラス前になりました。 第9話は、とわ子さんに新しい結婚があるかどうかで、元夫たちがゾワゾワする話。 スケジュールの都合なのか、 二番目の元夫-佐藤鹿太郎 ( 東京02-角田晃広 ) の出番はなかったけれど、 三番目の…

ドラマ「天才柳沢教授の生活」

松本幸四郎主演『天才柳沢教授の生活』を観終わりました。 前々から気になっていたのにリアルタイムで見逃して、19年経って視聴。 まあ、みんな若いこと! 柳沢良則 ( 松本幸四郎 ) という大学教授とその家族を描いた物語です。 良則の妻-正子に松原智恵子、…

横山秀夫『ノースライト』

横山秀夫『ノースライト』を読了。 流石は横山さんだ。無駄なくテンポよくミステリーを展開させています。 ドラマを先に見てしまっていたのでミステリーの結末を知っていたことが悔やまれますが、 それでも大いに楽しめました。 【ざっとあらすじ】 主人公は…

くるねこ大和の 猫さんたちと飼い主さん

Instagram に、毎日毎日楽しみにしているインスタがあります。 「くるねこ大和」さんというアーティストのインスタです。 飼っている猫さんたちの漫画がとても素敵なんです。 いわゆる血統書付きの洋猫や美猫さんではなく、 日本猫の、お年寄りだったり、お…

志賀直哉とその周辺

先日は『志賀直哉の手紙』から、 『或る旅行記 青木と志賀と、及び其周囲』という未完の原稿の話になり、 その決定稿の『廿代一面』の話に転じましたが、この全集で読みました。 流石に有名な文豪だ、全集も分厚い ('◇')ゞ 図書館から借りてきた第一巻ですが…

サマセット・モーム 著『お菓子とビール』

サマセットモーム 著『お菓子とビール』読了。 いやぁ、面白かった! 行方昭夫さんの翻訳も素晴らしく、サクサクと読めました。 冒頭から掴まれてしまいました。 留守をしているときに電話があり、御帰宅後すぐお電話ください、だいじな要件なのでという伝言…