本を読む
江戸近郊道しるべ「代々木村八幡宮 道の枝折」を読み、 新宿から代々木八幡宮までの道をたどってきたが、 最後にいくつか気づきがあったので書き記して終わりにします。 天満宮 ( 天神社 ) の移転について 代々木八幡宮の境内にある「菅公一千年 歌碑」の説…
昨日の散策の続きです 天満宮から四つ辻までは、上下左右にうねった道が続いている。 道がうねっているというのは古道や川であることが多いから、 やはりこの道、嘉陵さんが歩いた道だろう。 少し下りやけば、四五丁にして四辻に制札ある所の前を〔此処即代…
代々木八幡神社とその関連の名所を歩いてみることにした。 キッカケは、村尾嘉陵の「江戸近郊道しるべ」 ところが、8月以来「代々木村八幡宮 道の枝折」に書かれたルートの、 初っ端に出て来る《天満宮》の位置がわからず頓挫していた。 その道、四谷新町 ( …
昨日の《訣別の碑》に関連することを蔵書『郷土渋谷の百年百話』で調べたところ、 後藤力蔵さんという方の談話が掲載されていた。 後藤さんは代々木の原で生まれて、練兵場に買い上げられた時のことをよく覚えていらした。 以下がその談話 代々木の原が買い…
松本清張 著『入江の記憶』読了 初出誌:「小説新潮」1967年 ( 昭和42年 ) 10月 新潮文庫「死の枝」 1974年 ( 昭和49年 ) 12月18日発行に所収 今回 私は、新潮文庫「松本清張傑作選 戦い続けた男の素顔 宮部みゆきセレクション」 2013年 ( 平成25年 ) 03月28…
松本清張 著『恩誼の紐』読了 初出は1972年 ( 昭和47年 ) 3月号『オール讀物』に掲載、 1973年 ( 昭和48年 ) 8月に短編集『火神被殺』に収録。 私は上写真の宮部みゆきセレクション「戦い続けた男の素顔 松本清張傑作選」で読んだ。 【内容】 9歳の辰太は、…
松本清張『月』を読了 歴史学者の伊豆亨とおるは、恩師・谷岡冀山きざん ( 官学の大御所 ) の世話で女子大の教師となるが、冴えない性格から最も目立たない教授として地誌研究を続けていた。 あるとき伊豆は、学生の答案の中から見事な筆蹟を見出す、それが…
2022年7月にアップした記事にコメントをいただいた。 下が私が書いた記事⤵ garadanikki.hatenablog.com 素不徒破人さんのホームページ⤵ seityoudasoku.garyoutensei.com 件の『暗線』は未読だったので、宮部みゆきさんセレクトの文庫を借りてきた。 本著は、…
吉田修一 著『国宝』読了 上演中の映画『国宝』を見る前に是非にと、原作を読んだ。 従来の吉田修一さんとは異なる文体「~でございます」に多少戸惑いながらも、 次第に物語の世界観に引き込まれ、一気に読み終えた。 今回の作品は、歌舞伎界の中心的存在の…
これは備忘録 森銑三氏の「著作集 第九巻」にはこんなことが書いてある。 (所々現代文) 南麻布の西福寺にある寺に村尾氏の墓があった。 場所は、門を入ると墓地が本堂の右手から、裏手右手と三方に取り巻いていて、その右手になるところに側面に「村尾氏」…
森銑三 著作集 第九巻をつらつら読み始めて、 江戸近郊道しるべの著者-村尾嘉陵さんのお墓のことがわかった。 garadanikki.hatenablog.com 森銑三さんは、昭和の歴史学者で江戸学の始祖の一人と言われている。 森さんの書いた『著作集』は、江戸・明治期の風…
「江戸近郊道しるべ」とその現代版を見比べて楽しんでいる。 今日 読んだのき代々木村八幡宮道の枝折の章。 原文でも大体のところはわかるが、現代訳があるとさらに理解が深まる。 これを持って遊山してみるかな。 2025年08月19日 昼ごはん ざるラーメン 辛…
先日に引き続き、村尾嘉稜さんのぶら嘉稜『神明宮』の話。 これは現在の神明宮の境内だが、 199年前の神明宮は、まだ杉の木も若木でまばらに生えていて、うっそうとした感じではなかったという記述がある。 そのことばの如く行ば、杉の丸太の鳥居たてり、向…
面白い本を見つけた。 200年前のお侍さんの散歩日記。 村尾嘉稜という結構偉い役職の人が、仕事休みの日にテクテク歩き廻った紀行文。 村尾嘉陵 1760年 ( 宝暦10年 ) 生れ。名は正靖で、嘉陵と号した。徳川家の御三卿のひとつ、清水家に仕えた幕臣で、御広敷…
桜木紫乃 著『青い絵本』読了 この本は、つるひめさんのブログで知り読んでみたくなったものだが、 図書館の何百人もの借入予約で、代表作が収蔵されている『短編ホテル』だけで済ませ、 諦めかけていたものだった。 tsuruhime-beat.hatenablog.com 主人公は…
『舟を編む』の原作を読み、ドラマの脚本がいかに素晴らしいかに感動した。 今回のNHKのドラマ化『舟を編む~私、辞書つくります』は、 原作の後半に出て来る岸辺みどりをフィーチャリングしている。 副題に「私、辞書つくつります」とあるように、岸辺みど…
三浦しをん 著『舟を編む』読了 【辞書】言葉という大海原を航海するための船。 【辞書編集部】言葉の海を照らす灯台の明かり。 【辞書編集者】普通の人間。食べて、泣いて、笑って、恋をして。 ただ少し人より言葉の海で遊ぶのがすきなだけ。 玄武書房に勤…
柚月裕子 著『朽ちないサクラ』読了 BOOKOFFで購入した表紙カバーは上のもの やけに厚いなと思ったら、カバーが二重になっていた。 映画化の宣伝でカバーを足したのだろうが、これから読む人にとっては、 イメージが固定されてしまうので見たくないかも。 元…
『短編 ホテル』ど平山夢明さんを知り、代表作を読んでみようと手に取った本がある。 garadanikki.hatenablog.com 『ダイナー』 駄目です。 残酷な拷問シーンからスタートして、気分が悪くなってくる。 読めないこともないが、どんどんエスカレートしていく…
夏川草介 著『スピノザの診察室』読了 夏川さんのご本は代表作『神様のカルテ』をはじめ全部読んだと思っていたが、 これは知らなかった。 ※ この本は、よんばばさんのブログで知りました。 hikikomoriobaba.hatenadiary.com よんばばさんの記事に掲載されて…
藤崎翔 著『お梅は呪いたい』読了 古民家の解体中に発見された謎の日本人形。 それはかつて戦国大名を滅亡させた呪いの人形お梅だった! 興味本位の底辺ユーチューバーに引き取られたお梅は、早速彼を呪い殺そうとするが、 500年のブランクは長すぎた!? 呪…
大石英司 著『神はサイコロを振らない』読了 初版本:2004年12月20日 中央公論新社刊 文庫本:2005月12月20日 中央文庫 底 本:2018年10月20日 中央文庫 9版 《神はサイコロを振らない》なんと素晴らしいタイトルだろう 最初にこのタイトルを知ったのは、こ…
下村敦史 著『ヴィクトリアン・ホテル』読了 この本を読もうと思ったキッカケは、さきに読んだアンソロジーに、 著者が同じヴィクトリアン・ホテルで短編を書いていたからだった。 garadanikki.hatenablog.com 【内容】 超高級ホテル「ヴィクトリアン・ホテ…
超大作『宝島』を読了 物語のさわりは、5/8に書いたが それ以上、あらすじを付け加えるべきではないと判断。 garadanikki.hatenablog.com ということで感想と、ネタバレにならない程度の内容を とにかく心に刺さった。 主人公の若者たちのたくましさに心をわ…
町田そのこ 著『ぎょらん』読了 人が死ぬ際に残す珠「ぎょらん」。 噛み潰せば、死者の最期の願いがわかるのだという。 地方都市の葬儀会社に勤める元引きこもり青年・朱鷺(とき)は、ある理由から都市伝説めいたこの珠の真相を調べ続けていた。「ぎょらん」…
『短編 ホテル』読了 ホテルを題材にした7人の作家のアンソロジー 桜木紫乃さんの『青い絵本』目当てで手に取った本。 ドラマ性のあるものやコミカルなもの、スリリングなもの、ホラー的なものなど多種多様。 〈ホテル〉というテーマでこんなに沢山の切口が…
桜木紫乃さんの短編『青い絵本』を読んだ。 本当はこちらを借りて読みたかったのだが、予約待ちの為 表題の「青い絵本」という作品だけ収監されているアンソロジー本にて読了。 「短編 ホテル」はまだ全部読み終えていないので、またの機会にして 今日は『青…
小川洋子著『ことり』読了 【あらすじ】 ある日、〈小鳥の小父さん〉が、自宅で亡くなっているのが、新聞の集金人によって発見される。遺体は横向きになっており、背中を丸め、両足を軽く曲げた状態で、両腕で竹製の鳥かごを抱いていた。鳥かごの中の止まり…
宮下奈都 著『羊と鋼の森』読了 高校生の時、学校のピアノの調律に来た調律師-板鳥さんの音に魅せられ、調律の世界に飛び込んだ外村青年。ピアノを愛する姉妹や先輩、恩師との交流を通じて、成長していくひとりの調律師の姿を、暖かく静謐な筆致で綴った感動…
佐藤正午 著『永遠の1/2』読了 【内容】 失業したとたんにツキがまわってきた。 年の暮れに会社をやめた。 大晦日の朝 婚約者から速達が届き、結婚の話は御破算にしたいといわれた。 年が明けると競輪は負け知らずで、失業保険も手付かずのまま懐の心配はな…