本を読む
平野啓一郎 著『マチネの終わりに』読了 【内容】 主人公の蒔野は、若くしてクラシックギターの最前線を背負ってきた天才ギタリスト。 ある日、演奏会後の友人との食事会にて、通信社でジャーナリストとして活躍する、記者の洋子と出会う。 出会った時からお…
村松友視 著『鎌倉のおばさん』を読了 鎌倉のおばさんとは、村松友視の祖父・村松梢風の愛人だった絹江のこと。 絹代は梢風死去、鎌倉の家で一人暮らしていたが、梢風の菩提寺である覚園寺先代未亡人宅で倒れて亡くなる。この物語は絹江が亡くなったというと…
原田マハ著『暗幕のゲルニカ』を読了。 原田さんの作品は、『異邦人』と『たゆたえども沈まず』を読んだが、 この本は『たゆたえども~』と同じ路線で、史実と創作が重なった組み立てだった。 読んでいる途中、どれが史実でどれが著者の創作なのだろうと気に…
ドラマ『団地のふたり』を視聴後、原作本を読んだ。 大抵、原作→映画・ドラマの順だが、今回は逆だったので、 出演者の小林聡美さんと小泉今日子さんの顔が浮かんでの読書となった。 だが、いつものように原作を読んでからの映像だったとしても、 多分、この…
北方謙三 著『弔鐘はるかなり』読了。 1981年10月25日発行 集英社版で読む。 本作品は、北方さんのハードボイルド小説でのデビュー作。 大学時代より純文学を執筆し『明るい街へ』が雑誌『新潮』編集者の目にとまり1970年3月号に掲載。実質的のデビュー作は…
原田宗則 著『スメル男』を読了 図書館から借りて来た初版発行 ( 1989年4月20日 ) で読んだ。 1989年というと平成元年、35年も前の本で、著者が30歳の時に書いた作品。 小口の部分が薄茶けてきていて、古書の趣を感じさせる本。 背表紙の底も擦り切れている…
レイチェル・ジョイス 著 『ハロルド・フライの思いもよらない巡礼の旅』読了 391頁の長編で、読み終わるまでかなりの時間を要した。 本を読んでいる間中 《歩く》という行為を愉しんでいる気分になった。 【内 容】 ハロルド・フライ、65歳、長年勤めたビー…
池井戸潤 著『ようこそ、我が家へ』読了 池井戸潤と真山仁は、MOURI のお気に入りで、 自分が読み終わると「読んでみない?」と勧められ、感想を求められる本。( ´艸`) 池井戸さんの本は、サクサク読めるところがいい。 ひどい奴 ( 銀行関係のしととか ) が…
北方謙三 著『君に訣別の時を』読了 1984年 ( 昭和59 ) 発行。 40年も前の本だ。 なぜ今ごろ、こんな古い本を? かというと、先日 情熱大陸に北方さんが出てらしたのがキッカケで「そういえば北方謙三さんの本は読んだことはないなあ」と、どうせなら初期の…
青山美智子 著『月の立つ林で』読了 青山さんの本は随分読んできたが、毎回読後に《あの章でA・Bのキャラクターがすれ違った》という気づきを楽しませてもらっている。 今回も5人のキャラクターがあっちこっちですれ違うけれど、今までとひとつ違うことがあ…
椰月美智子 著『こんぱるいろ、彼方』を読了。 この本は、《私の読書の導き人》のおふたりの紹介で読もうと思ったもの。 あらすじ・解説・感想は、申し分のないおふたりの記事をご覧ください。 tsuruhime-beat.hatenablog.com hikikomoriobaba.hatenadiary.c…
小川糸 著『ライオンのおやつ』を読了 一昨日ドラマを観終わり、すぐ図書館に走った。 原作を借り、いっきに読んだ。 原作には、主人公の心の流れが丁寧に記されていて、面白かった。 瀬戸内海が一望できるホスピスで、マドンナを初めとする優秀なスタッフに…
平野啓一郎 著『ある男』を読了 この本を知ったのは、つるひめさんのサイトだった。 tsuruhime-beat.hatenablog.com つるひめさんの紹介文を読むと、本でも映画でも後追いしてしまうのは常のこと。 いつも100%「読んでよかった」「観てよかった」と思わせて…
青山美智子 著『リカバリーカバヒコ』を読了 新築分譲マンション、アドヴァンス・ヒル。 近くの日の出公園にある古びたカバの遊具・カバヒコには、自分の治したい部分と同じ部分を触ると回復するという都市伝説がある。人呼んで、”リカバリー・カバヒコ”。 ア…
クリス・ハマー著『渇きの地』を読了 図書館の、司書さんが紹介する《ミステリー小説コーナー》にこの本があった。 早川ミステリーの本は、天から小口にかけて黄色に着色されている。 これにグッと惹きつけられる。 内容もわからず、読んでみようと決めたの…
青山美智子 著『ただいま神様当番』を読了 ある朝、目を覚ますと腕に大きく「神様当番」という文字が! 突如目の前に現れた「神様」のお願いを叶えないと、その文字は消えないようで・・・? 各章の主人公たちは「坂下」というバス停の土台に置いてある《落…
このところ絵画にまつわることに多く接している。 原田マハさんの書いた『異邦人』と『たゆたえども沈まず』に読み、 上野でデ・キリコ展を鑑賞し、その後に読んだこの本も《絵画》に関連した内容だった。 生活していく中で、こんなにも立て続けに絵画に関連…
「原田マハさん、次は何を読もうかな」と思っていたら、 テレビ 『博士ちゃん~幻の葛飾北斎 大捜査スペシャル』 で 芦田愛菜ちゃんがこんな話をしていた。 「林忠正さんは、浮世絵を海外に大量に売りさばいたことから、日本ではずっと国賊扱いされていたみ…
このところ、吉田修一さんの本をかなり読んできた。 最新で読んだのはこの二冊。 あまりピンとこなかった。 けなすでもほめるでもない、私的にピンとこないだけ。 世之介さんが一番面白かったなあ。ああいう作品は他にないのでしょうかしら。 吉田さんの代表…
原田マハ 著『でーれーガールズ』を読了 ガハハと笑えて、じーんと涙する青春物語、これは面白い! 特に岡山弁が最高!! 【あらすじ】 40代半ばの秋の日、漫画家「小日向アユコ」として多忙の日々を過ごす佐々岡鮎子の元に、自身の出身校である岡山白鷺女子…
吉田修一 著『7月24日通り』を読了 表紙の写真は、畠山直哉 Slow Glass #095 吉田修一さんの作品は「最後に手にしたいもの」に始まり、「横道世之介」シリーズにドハマりし、 「湖の女たち」にちょっと辟易し、「路」で頭に少し?マークがつき、 吉田コレク…
原田マハ 著『異邦人 ( いりびと ) 』を読了 この作品は先月視聴したドラマ『異邦人』WOWOWが面白かったので、読んでみたくなった一冊。 原田マハさんの本は初めてだった。 garadanikki.hatenablog.com 京都に、夜、到着したのはこれが初めてだった。春の宵…
吉田修一 著『flowers』を読了。 本作は、吉田修一コレクションⅣ「長崎」に収録 また文春文庫「最後の息子」に収録 自由な発想の女と、ルーティンを守る男の話 主人公の僕 ( 石田 ) は、妻の鞠子が東京で喜劇役者をやりたいというので九州から上京する。 東…
吉田修一 著『破片』を読了 本作は、吉田修一コレクションⅣ「長崎」に収録 また文春文庫「最後の息子」に収録 一年ぶりに東京から長崎に帰郷した兄・大海と、実家の酒屋を継いだ弟・岳志は、父親・昭三とともに磯遊びに出かける。三人が向かう磯は昔から家族…
吉田修一 コレクションから『キャンセルされた街の案内』『長崎乱楽坂』を読んだ。 作品が書かれた順は《キャンセル》が1998年で、《長崎》が2002年なのだが、 《キャンセル》に出てくる主人公の兄が、《長崎》の主人公と重なる。 《長崎》の方は兄目線で物…
三田 完 著『モーニングサービス』を読了。 浅草は観音裏、昭和の香りを色濃く残す喫茶店「カサブランカ」。美味しいコーヒーと亭主夫妻の人柄に惹かれ、今日もまた、風変わりな客たちがやってくる。芸者の大姐さん、吉原の泡姫、秘密を抱えた医大生・・・そ…
図書館から借りた吉田修一さんの本が驚くほど厚いので超大作なのかと頁をめくると、 長編小説ではなく、全集の4巻目だった。 昭和の作家のものはあるが、昨今の流行作家の全集は珍しい。 第四巻「長崎」 吉田修一さんの出身が長崎なので、長崎にまつわる小説…
吉田修一 著『路 ( ルウ ) 』を読了。 1999年、台北~高雄間の台湾高速鉄道を日本の新幹線が走ることになった。 入社4年目の商社員、多田春香は現地への出向が決まった。 春香には大学時代に初めて台湾を訪れた6年前の夏、エリックという英語名の台湾人青年…
このところ青山美智子さんの本を立て続けに楽しんでいる。 読んだ順番に並べるとこんな感じ 『お探し物は図書室まで』 『鎌倉うずまき案内所』 『月曜日の抹茶カフェ』 『木曜日にはココアを』 『猫のお告げは樹の下で』 目についたものから手あたり次第 読…
林真理子 著『小説8050』を読了 人間性と経済問題について深く考えさせられた小説だった 私は林真理子さんがあまり得意ではない。 インタビューなどを拝見して「この人とは肌が合わないな」と思うこともあった。 林さんの小説はとても売れているというのは知…