Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

本を読む

八雲 第一輯

八雲の創刊号を入手した。 八雲といっても昨今終了した、朝ドラの「小泉八雲」とは別物で、 昭和17年に小山書店から出版された雑誌である。 表紙には「編輯へんしゅう」としてお歴々の名前が並んでいる。 この集冊の話は前年に持ち上がったようだ。 ことの経…

椹野道流 『ローウェル骨董店の事件簿』

椹野道流 著『ローウェル骨董店の事件簿』読了 第一次世界大戦直後のロンドン。 クールな青年医師デリックは、戦地で傷を負って以来、検死官として働くように。 骨董店を営む兄のデューイとは、ある事情からすっかり疎遠な状態だ。 そんな折、女優を目指す美…

一穂ミチ『ツミデミック』

一穂ミチ 著『ツミデミック』読了 「ツミデミック」はパンデミックに伴う罪(ツミ)との造語なんだそうで、 あの恐ろしい新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の頃に、 人生が狂ってしまった人たちの話が、犯罪にからんだ 6作の短編集になっている。 ササっ…

用賀口の道標

昨日、弦巻あたりを徘徊し、世田谷中央図書館で借りてきたのがこの本だった。 『世田谷の古道』 昭和50年3月25日発行 発行 世田谷区教員委員会 世田谷区郷土資料館 こちらは登戸道と大山道のルートがわかる冊子 昨今 私が あーだこーだ言っているのは、 写真…

水上 勉『越前竹人形』

水上 勉 著『越前竹人形』読了 【内容】 越前武生の山深い里で竹細工師をしていた喜作衛門が急死した。 息子の喜助は、父の跡を継ぎ竹細工師となる。 雪深いある日、かつて父に世話になったという美しい女性・玉枝が墓参りにやってくる。 玉枝を見た村人が玉…

水上 勉『雁の寺』

水上 勉『雁の寺』読了 【内容】 主人公の捨吉は、毎年秋になると村に餅もらいにくる半盲目の乞食女性・お菊が産み落とした子だった。それを寺大工が引き取り育てるが、藩主から奨学金をもらうような優秀な子のため10歳で京都 衣笠山麓の禅寺・孤峯庵に修行…

水上 勉『眼』

水上 勉 著『眼』読了 なんでこれを読もうと思ったかというと、 なんとなく ( ほぼ間違って ) 借りた本だった。 東京、神田岩本町は繊維問屋街。なかの一軒、婦人服問屋「ローヤル商会」は不況の煽りを受け、大量にストックを抱えていた。そこに舞い込んだ絶…

長田弘『本に語らせよ』

世田谷中央図書館で借りてきたのは、この本だった。 借りて来た本を机に置いていたら、 MOURI が「へえ、長田弘読むのか。昔読んだなあ」と言う。 彼と私の読む本が一致することはあまりないので驚いた。 もちろん、勧められて読むことはあるけれど、大抵は…

近藤史恵『薔薇を拒む』

近藤史恵 著『薔薇を拒む』読了 【内容】 身寄りが無く施設暮らしの高校生・博人は、似たような境遇の薫とともに資産家の別荘に住み込みで働くことになった。資産家は「高校を中退し自分の別荘で3年間勤めたら、その後の学費と生活費を援助する」という。好…

西沢保彦『七回死んだ男』

西沢保彦 著『七回死んだ男』読了 【内容】 主人公の久太郎は、地元では超偏差値の高い高校に通っている高校生。 といっても彼は頭が良いわけではなく、ある特異体質のお陰でその高校に入れたのだ。 その体質というのが〈同じ1日が9回 繰り返し訪れる〉とい…

大崎 梢 著『ドアを開けたら』

大崎 梢 著『ドアを開けたら』読了 大崎梢さんの本は、始めて読んだ。 多分、よんばばさんが紹介されなかったら、知らずにいた作家さんだ。 ということで、この本もよんばばさんの書評で読みたくなったものです。 hikikomoriobaba.hatenadiary.com 本のあら…

カポーティ短編集

トルーマン・カポーティ短編集 読了 収録は以下の通り 楽園への小道 ( 1960年 36歳) ★ ヨーロッパへ ( 1948年 24歳 ) イスキア ( 1949年 25歳 ) スペイン縦断の旅 ( 1950年 26歳 ) フォンターナ・ヴェッキア ( 1951年 27歳 ) ローラ ( 1964年 40歳 ) ★ ジョ…

島崎藤村『破戒』

島崎藤村『破戒』を再読 明治後期の信州を舞台に、被差別部落出身であることを隠して小学校教師となった瀬川丑松が、父の「身分を隠せ」という戒めと、尊敬する思想家・猪子蓮太郎の殉死に心を動かされ、ついに隠し通してきた真実を告白(破戒)する葛藤を描…

私が『嵐』を読んだ本

島崎藤村『嵐』を読んだのは、子供むけの全集だった。 古いものです。 今から67年も前、1959年 ( 昭和34年 ) 発行。 学校の図書館におくのにピッタリの本で、 子供が乱暴に扱っても耐えうる丈夫なハードカバー 筆者紹介にも多くのページが割かれていて 作品…

小説『嵐』の背景について考える

先日アップした『嵐』の続きです。 『嵐』という作品を読んで、家族団らんの話のなかになんとなく《違和感》を感じた私だったが、その原因は本が書かれた時期や背景にあるような気がした。 私小説の多い藤村作品 島崎藤村の小説は、私小説がとても多い。 私…

島崎藤村『嵐』

島崎藤村「嵐」を読了 『嵐』は、妻を亡くした男が4人の遺児と暮らすほのぼのとした話。 《ほのぼのと》とあえて書いたが、実はこの父親 ( 主人公 ) は妻亡きあと幼い四人の子供を方々に預けて外国に行っていた時期がある。物語はその父が帰国して子どもたち…

伴名 練『百年文通』

伴名 練 著『百年文通』読了 140ページ弱の短い話なのでサクサクと読めてしまった。 伴名 練という作家の本は初めて。 ネットサーフィンでふと目についたタイトルに魅かれ読みだしたが、 主人公が机を見つけるまでの冒頭の数行にちょっと困惑。 詩的な雰囲気…

食い物の話は難しい

嵐山光三郎 著『文人悪食』読了 年末にMOURI が、私の為にと取寄せてた本 「明治・大正・昭和の文豪37人の食生活を集めた本だから、ツボかなと思って」 確かにスゴいラインナップ、里見弴が入っていないのがちと寂しいが。 この本は、嵐山光三郎さんが実際に…

島木健作『或る作家の手記』

島木健作 著『或る作家の手記』を再読 風邪っぴきで熱に浮かされてフワフワと寝ている時に、何故だか小難しいものや逆に軟弱 ( 失礼 ) なものは読みたくなくて、ベッド脇のこの本を再読した。 転向作家である島木健作の代表作は『癩』『赤蛙』『生活の探求』…

久米民之助さんと権九郎さんの話

久米民之助さんとご子息で建築家の権九郎さんのことを調べていたら、 おあつらえ向きの本に巡り合った。 この本は日本建築界の大家たちの人となりや作品を、弟子が紹介する形になっている。 久米権九郎氏のページは、久米設計会長だった櫻井清氏(後に相談役…

川端康成『散りぬるを』

川端康成 著『散りぬるを』読了 【あらすじ】 物語は、5年前の殺人事件を回想する小説家「私」の視点から始まる。 被害者は「私」の女弟子だった滝子と蔦子。 二人は「私」が借りてやった一軒家に住んでいたが、彼女らと冗談を言い合う仲だった元乗合自動車…

川端康成『死体紹介人』

川端康成『死体紹介人』読了 新潮社 川端康成選集 第三巻「雪国」から 【あらすじ】 主人公の朝木新八は苦学生で、下宿代がないので歯科医院に居候している。 その歯科医師が帽子修繕屋に、安い勉強部屋はないかと聞いてくれた。 修繕屋の爺さんは、家の二階…

川端康成『イタリアの歌』

川端康成 著『イタリアの歌』読了 「川端康成さんの小説は苦手」と言ったばかりだが、 この短編を読んで私の偏った概念は覆された。撤回します。 この作品の世界観は好き。テンポが心地よくたちまち魅了されました。 【あらすじ】 実験中の出火で火だるまに…

最近読んだ本

最近、ブログに読書感想をアップしていなかった。 読書をしていなかったワケではないが《心に沁みる》というか、 感想を書ける本に出会わなかったのだ。 いや、違うな、私の感受性と理解不足の問題だ。 読み終えた本はこんなところ 『素顔の大建築家たち』は…

江戸近郊道しるべ 代々木八幡まとめというか気づき

江戸近郊道しるべ「代々木村八幡宮 道の枝折」を読み、 新宿から代々木八幡宮までの道をたどってきたが、 最後にいくつか気づきがあったので書き記して終わりにします。 天満宮 ( 天神社 ) の移転について 代々木八幡宮の境内にある「菅公一千年 歌碑」の説…

江戸近郊道しるべ「代々木八幡宮」後半

昨日の散策の続きです 天満宮から四つ辻までは、上下左右にうねった道が続いている。 道がうねっているというのは古道や川であることが多いから、 やはりこの道、嘉陵さんが歩いた道だろう。 少し下りやけば、四五丁にして四辻に制札ある所の前を〔此処即代…

江戸近郊道しるべ「代々木八幡宮」前半

代々木八幡神社とその関連の名所を歩いてみることにした。 キッカケは、村尾嘉陵の「江戸近郊道しるべ」 ところが、8月以来「代々木村八幡宮 道の枝折」に書かれたルートの、 初っ端に出て来る《天満宮》の位置がわからず頓挫していた。 その道、四谷新町 ( …

陸軍練兵場の買い上げについて

昨日の《訣別の碑》に関連することを蔵書『郷土渋谷の百年百話』で調べたところ、 後藤力蔵さんという方の談話が掲載されていた。 後藤さんは代々木の原で生まれて、練兵場に買い上げられた時のことをよく覚えていらした。 以下がその談話 代々木の原が買い…

松本清張『入江の記憶』『流れの中に』

松本清張 著『入江の記憶』読了 初出誌:「小説新潮」1967年 ( 昭和42年 ) 10月 新潮文庫「死の枝」 1974年 ( 昭和49年 ) 12月18日発行に所収 今回 私は、新潮文庫「松本清張傑作選 戦い続けた男の素顔 宮部みゆきセレクション」 2013年 ( 平成25年 ) 03月28…

松本清張『恩誼の紐』

松本清張 著『恩誼の紐』読了 初出は1972年 ( 昭和47年 ) 3月号『オール讀物』に掲載、 1973年 ( 昭和48年 ) 8月に短編集『火神被殺』に収録。 私は上写真の宮部みゆきセレクション「戦い続けた男の素顔 松本清張傑作選」で読んだ。 【内容】 9歳の辰太は、…