Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

「文士の時代」 著・写真:林忠彦

 

f:id:garadanikki:20141018163256j:plain「はい、おみや」
MOURI が買ってきてくれたのが、この文庫本。
銀座のバー「ルパン」のカウンターで撮られた太宰治の写真で有名な林忠彦さんの写真集です。
表紙の作家は坂口安吾。

 

昭和の文士たち、煙草をくゆらせながら原稿用紙に向かってる写真の多いこと。
この本に載せられた作家は105名。
その顔ぶれの見事なことといったら、
MOURI は「文庫で1,300円とは高い本」と言ったが、肖像権の問題なのかしらね。

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この本で、特に興味深かったのが、里見弴、久米正雄。

里見弴さんの写真っていうと、最も晩年の写真と30代の写真が主で、この本に写っている里見さんは70代と思われます。珍しい写真が見られてラッキー。

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でも。写真集を見て思ったこと、ひとつ。

この写真集は、撮影年が全くわからないの。文士たちのポートレートが、果たしていくつの時のものかがわかると、もっと面白いんだけれど…。

 

もうひとつ、面白かったのが久米正雄さんの写真。

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左ページに一緒に写っているのは夏目伸六夫人と書いてある。

夏目伸六といえば、夏目漱石の息子さんだよね。

久米正雄といえば、「破船」で、夏目筆子 ( 漱石の娘 ) と破談になったことを書いて、

夏目家とドロドロの闘いをしたのに…。

普通だったら、あれだけの騒ぎを起こしてしまったら、

夏目家には一切関われないと思うのに、久米正雄さん愛すべきチャッカリさんですね。

この写真が気になって、夏目伸六さんと久米正雄の関係を調べてみたところ、

著作権とか、本の印税に関して、夏目家と岩波書店がモメたことがあって、

それを夏目漱石全集事件というらしいんだけれど、

久米さんは、夏目家を擁護する側にまわって活躍されたらしい。

幻の夏目漱石賞を作ったのも久米さんだったって、初めて知りました。

一枚の写真で、またまた好奇心が広がってしまい、まるさん、また泥沼です。