Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

人を敬う心

昨日に続き、連続テレビドラマ「まんぷく」の一場面です。

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写真は、昭和33年頃。

主人公の橘福子 ( 安藤さくら ) が学校に行く子どもを送り出すシーンです。

福子は「先生のおっしゃることをよくきいて、お勉強するんですよ」と言います。

 

そうそう、昔のお母さんは必ずそういったものだった。

「先生のおっしゃることを良くきいて」と。

 

母親がそれを言わなくなったのは、いつ頃からだろうか

先だって、高校教師が生徒に暴行する動画がネットで拡散され騒ぎになりましたが、

教師が暴力に至る前段として、生徒とそのグループによるネット上での炎上を狙った挑発行為もあり、動画の撮影者と思われる仲間の生徒が「ツイッターで炎上させようぜ!」と話している音声も残されていたことがわかりました。

 

一連の騒動に各局が飛びつき、タレントやコメンテイター、教育評論家から様々な意見が上がりました。

多くが「暴力をふるった教師は悪い」としながらも、

教師を必要以上にからかい、ワナにハメた被害生徒とそのグループを批判しました。

 

その中で、安藤加津さんの話が心に刺さりました。

正確ではないですが、安藤さんがおっしゃっていたのはこんな趣旨でした。

「最近の子どもは学校の先生に対しての尊敬の気持ちがない。

 それは子どもたちの親に、教師に対する尊敬の念がないからだ」

全く同感です。

「あの教師、ちょっと生意気だから絞めてやろうぜ」

これは尊敬どころではない、教師を自分よりも下にみた言い方です。

 

先生は尊く怖い存在だった

信じられないでしょうが、学校の先生は怖い存在でした。

誰よりも尊敬される立場でした。

 

私が子どものころはまだ先生に権威というものがありました。

中学になると、友達同士は先生をあだ名で呼びましたが、

ご本人を前にしてあだ名で呼ぶ人はいませんでした。

家で両親が先生の悪口を言うことはなかったと思います。

少なくとも子どもの目の前では、絶対に。

親同士で先生の悪口はあったでしょうが、子どもの前ではなかったです。

 

しかし昨今では

これは、ドラマ『3年A組』のワンシーンです。 

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生徒たちは、担任の柊一颯(ひいらぎいぶき) (菅田将暉) のことを「ブッキー」と呼び、ため口は当たり前。

殴る、蹴るも、当たり前の世界です。

これが普通なんですかね、今では。。。

 

子どもが教師を敬わなくなったのは大人のせい

それは絶対に大人のせいだと思います。

30代の親が、大学出たての新米教師を頼りなく思うのは当然です。

私が子どものころだって、親はおそらくそう思っていたはず。

しかし今と絶対違うのは、子どもの前で教師を批判しなかった。

 

親が子どもの前で平気で担任教師の悪口を言う。

「あの先生が頼りない」とか「もう少しましな教師はいないものか」とか。

そう言う親をみて、子どもは先生を尊敬できるでしょうか。

いい気になった子どもは先生を呼び捨てし、対等の立場だと錯覚する。

そんなことが許されて育った子どもが、やがて親になり、

その親に育てられた子どもたちが、先生を敬わないのは当たり前じゃないかしら。

 

昔の親は先生を敬ったのか?

では昔の大人は、みな教師を敬ったかというと、そうでない場合もあるでしょう。

井上靖の「しろばんば」でも、師範学校を卒業した教師と代用教員に対する世間の評価は違いました。

主人公の洪作は、わけあって血のつながらないおぬい婆さんに育てられます。

おぬい婆さんは、洪作の曾祖父のおめかけさんでした。

「洪ちゃは、村で一番偉くなる子だ」

「村で袴を穿いていいのは洪ちゃだけじゃ」というのが口癖。

そんなおぬい婆さんにかかれば、師範学校出ではない代用教員はぼろくそです。

「とんだ先生に洪ちゃを預けたもんだ」

「あの若い先生は、ひとの子をなんと思っているずら」となる。

 

これはひとつのレアケース、

世間全体でみたら、今の教師より昔の教師の方が地位は高かったでしょう。

今より高学歴者が少なかったから余計です。

ただ学歴云々という話だけでもないかも知れません。

自分にないものを相手に見出して、リスペクトする精神

これがどんどん欠けてきた結果ではないでしょうか。

敬意を払う相手は、教師に対してだけでなくもっと大勢いたと思います。

 

リスペクトは、アーティストだけにすることじゃない

人をこきおろしたり、ディスることがカッコいいことじゃない。

本当にカッコいい人は、隣の人の素敵なところを見つけて、それを見習おうとか、

そうなれるように努力しようとか、そういう精神を持つ人だと思います。

ディスるよりリスペクトだと思うんだがなあ、誰に対しても。