Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

映画『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』

 

ずっと気になっていた映画館に初めて訪問。

下高井戸シネマというんですが、とても素敵な単館映画館でした。

 

今日 ( 1月13日 ) 観たのは『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』でした。

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トルストイの『アンナ・カレーニナ』は読もうを思いながらも ずっと放置していた小説です。

だって長いんだもの。

それに。

ロシア人の名前は馴染がない上 愛称まであって複雑だし。

私はこれで「カラマーゾフの兄弟」挫折しました。(;'∀')

 

で。

映画を先に観れば概要がつかめるかと思ったワケです。

とても美しい映像でした。

帝政ロシアの、良き時代の優美な世界に引き込まれました。

なんてゴージャスなんだろう、当時のロシア貴族の生活は。

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寒~い国なのに、室内ではこんなに薄物のドレス。

 

おうおうおう。

アンナ・カレーニナとヴロンスキーが踊ってますわ。

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この頃のドレスはいいですなぁ、エレガントで美しい。

 

ロシアのオリジナルポスター⤵

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アンナ・カレーニナは、エリザヴェータ・ボヤルスカヤさん

アレクセイ・ヴロンスキーは、マクシム・マトヴェーエフさん

お二人はプライベートにおいても夫婦だそうです。

 

アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語

映画は原作とは違い、アンナの死後から物語が展開します。

成長したアンナの息子セルゲイと、アンナの愛人ヴロンスキーとが戦争中の満州で出会うという設定。

いきなり日露戦争のシーンから始まったので驚きました。

 

息子のセルゲイは、母の醜聞しか知らないで育ちました。

従軍医師として兵士を治療するセルゲイの前に、母のかつての愛人ヴロンスキーが運び込まれる。

ヴロンスキーはアンナを失い、死に場所を求めてでもいるかのように自堕落な生活をしていました。

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「この男のために母は幼い自分と父を捨て、果ては自ら命を絶ったのだ」

セルゲイにとって、ヴロンスキーは殺意を抱くほど憎んでいた相手でした。

軍医と負傷兵

しかし、年齢を重ねたセルゲイは、母の真実が知りたくなりました。

「なぜ母は命を絶ったのか」

セルゲイの問いに答えて、ヴロンスキーは言います。

「人は記憶をねつ造する。愛の真実は無数にある」と。

そして、彼にとっての真実を語り始めます。

 

それからストーリーは、原作に沿っていくのですが、

1904年の満州 と1872年のロシアと、行ったり来たりします。

 

原作のあらすじ

アンナ・カレーニナのあらすじをざっくりと。

政府高官のカレーニンの妻であるアンナ・カレーニナは、何の不自由もない生活をおくっている。

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ある日アンナは貴族のアレクセイ・ヴロンスキーと出会う。

二人は互いに魅かれ、深い関係となる。

噂は夫カレーニンの耳にも入るが、体面を気にした夫はアンナとの離婚に応じない。

アンナはヴロンスキーとの子を妊娠。

そんなアンナに社交界の風当たりは強く、友人のほとんどが去っていく。

アンナは娘を出産するが、夫とは別れられないでいる。

すったもんだした挙句、アンナとヴロンスキーは出奔。

 

しかしアンナとヴロンスキーとの生活は穏やかには続ず、ぎくしゃくしてくる。

次第に気持ちがすれ違い、アンナはヴロンスキーの愛が他の女性に移ったのではないかと疑う。

絶望したアンナは列車に身を投げる。

生きる目的を見失ったヴロンスキーは、私費を投じて義勇軍を編成し、戦争に赴く。

以上が大筋ですが、

原作にはアンナたちの対比として、善良な地主リョーヴィンとキティの幸せな家庭が描かれています。

でも今回の映画には、リョーヴィンたちは出てきません。

ヴロンスキーの想いを中心に描かれているからです。

そうか、それで「ヴロンスキーの物語」なんだ

アンナ・カレーニナは、今までにも多くの国々で映画化されています。

有名なところでは

1927年 製作:アメリカ 監督:エドマンド・グールディング 主演:グレタ・ガルボ

1935年 製作:アメリカ 監督:クラレンス・ブラウン 主演:グレタ・ガルボ

1948年 製作:イギリス 監督:ジュリアン・デュヴィヴィエ 主演:ヴィヴィアン・リー

1967年 製作:ソ連 監督:アレクサンドル・ザルヒ 主演:タチアナ・サモイロワ

1975年 製作:ソ連 監督:マルガリータ・ピリヒナ 主演:マイヤ・ミハイロヴナ・プリセツカヤ

1997年 製作:イギリス・アメリカ合作 監督:バーナード・ローズ 主演:ソフィー・マルソー

2012年 製作:イギリス 監督:ジョー・ライト 主演:キーラ・ナイトレイ

 

※ 日本演劇界では、古くは俳優座が、近年では宝塚で上演されていたりします。

前述のように、今回の映画は《ヴロンスキー視点》でしたが、

数多い映画化のなかでも、これほど思い切った設定変更は初めてとのこと。

 

特に印象的だったシーン

アンナの死から30年、ヴロンスキーが戦場のベッドから遠くを見つめるシーンが印象的でした。

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視線の先には中国人の少女。

どうやら孤児らしく、少女は野戦病院の軒先で寝起きしています。

ヴロンスキーは少女に優しく声をかけ、可愛がります。

ラストでは自分の為に用意された馬車に少女を乗せて逃がす算段を。

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ヴロンスキーは、少女に幼くして死んだ娘 ( アンナが生んだ不義の子 ) を重ね合わせたのかも知れない。

 

蛇足ながら、中国少女の声が意外に野太いのにリアリティーを感じました。

野戦病院に進撃してくるのが日本軍というのも複雑な気分でした。

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主役のアンナは、とてもエレガントでかつ非常に強いイメージでした。

一言に奔放というだけではすまない強い自我の持ち主の彼女は、

子どもに対してもハッキリとした態度を取ります。

 

カレーニンとの間に生まれた長男 ( セルゲイ ) には深い愛を示すくせに、

ヴロンスキーとの間に生まれた娘を愛することはできずにいます。

娘に淡泊なのは何故なのか、そのワケを映画で汲み取ることは出来ませんでした。

こういう細かい心理状態は、原作を読めばわかるのかも知れません。

 

 

アンナ役のエリザヴェータ・ボヤルスカヤさんは、確かに美しい。

でも私は、従妹?役か何かで出てきた女優さんの方に目を奪われました。

アシュレイ・ジャッド似のその女優さんのなんとコケティッシュなことか。

写真は『あなたのために』のアシュレイ・ジャッド⤵

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日本の映画サイトを調べたましが情報が少なく、

公のパンフレットでさえキャスト紹介は以下の3人だけ。

 アンナ = エリザヴェータ・ボヤルスカヤ

 ヴロンスキー = マクシム・マトヴェーエフ

 カレーニン = ヴィタリー・キシュチェンコ

 

本国ロシアの『アンナ・カレーニナ ヴロンスキーの物語』のWikipediaと、

アンナカレーニナのキャストから、やっと判明しました。

 

こちらがベッツィー役のアナスタシア・マケエバさん。

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美しいでしょ?

アナスタシア・マケエバ (Vasilevna Makeeva) さんは、

ロシア本国で、劇場・映画の女優、歌手、モデル、テレビの司会者などマルチの活躍をしている方でした。


あ~あ、疑問が解決して嬉しい。

それにしても日本サイト ( アンナカレーニナ ヴロンスキーの物語 ) の情報の乏しいこと。

結局、中国少女の名前には、いきつきませんでした。

 

 

映画鑑賞のあと 

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下高井戸のコーヒー&ロースター2-3でまったりくつろぐ。

COFFEE & ROASTER two-three

 

今月のコーヒー、うーん何ブレンドだったかな、とにかく美味しい。

ここのコーヒーは本当にどれも美味しいです。

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手作りメープルチーズケーキ

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映画のパンフレットや本を読んだりしながら、ケーキを食べて、

2杯目のコーヒーを飲んで、ゆっくり1時間ほど過ごしました。

ああ、なんて至福の時なんだ。

 

 

 

このお店は、コーヒーが美味しいのは勿論ですが居心地の良さでも有名です。

コーヒーを煎れるのは、ご主人。

配膳は、奥様とおばあ様 ( 勝手にご家族だと決めつけてしまってる、すみません ) が担当しています。

三人ともとても感じよく丁寧に接客してくださいます。

 

私は、お店の真ん中の、食器棚の脇の席が定位置になりました。

何故かそこが空いていることが多い、というだけの話ですが、とても落ち着く席なんです。

残念なのは、その席からだとカウンターのご主人が見えないの。

 

ある時、コーヒーが配膳されたと同時に、何気に体を前に倒したことがありました。

棚越しにご主人が見えました。

ご主人は、こちらに向かって「おまたせしました」と言っていました。

 

コーヒーを煎れるのに忙しくカウンターから出てくることのないご主人です。

そのご主人が、配膳する奥様と一緒にお客さんに挨拶をされていたのです。

「おまたせしました」「お味いかがですか?」という感じで。

そんなことがわかってから、

私も体を乗り出してご主人に「どうも」と会釈をするようになりました。

 

 

参考に