横溝正史自選集にて『八つ墓村』を読了。
『八つ墓村』は、金田一耕助シリーズの第四弾。
主人公は寺田 ( 多治見 ) 辰弥で、彼の一人称で物語ははじまります。
前半までのあらすじ 長くてすみません_(_^_)_
戦国時代、とある山中の寒村に、尼子氏の家臣だった落武者たちが財宝とともに逃げ延びてくるが、村人たちは毛利氏の捜索が厳しくなるにつれ災いの種になることを怖れ、また財宝と褒賞に目がくらみ、武者たちを皆殺しにしてしまう。武者大将し死に際に「七生までこの村を祟ってみせる」という言葉を残す。その後、祟りを怖れた村人たちは犬猫の死骸同然に埋めてあった武者たちの痛いを手厚く葬るとともに、村の守り神とした。これが「八つ墓明神」となり、村は「八つ墓村」と呼ばれるようになった。
大正時代。
落武者たちを皆殺しにした際の首謀者の子孫で多治見家の当主・要蔵は、粗暴かつ残虐性を持った男であった。
要蔵は妻子がありながら井川鶴子を暴力をもって犯し、自宅の土蔵に閉じ込めて情欲の限りを尽くした。そのうち鶴子は辰弥という男児を出産したが、鶴子には昔から深く言い交した亀井陽一という男がおり、要蔵の目を盗んで逢引をしていた。
《辰弥は亀井の子ではないか》という噂を耳にした要蔵は、烈火のごとく怒り鶴子を虐待。辰弥の体にも火箸を押し付けるなどの折檻をした。身の危険を感じた鶴子は、辰弥を連れて出奔。狂気を爆発させた要蔵は、異様な姿で手にした日本刀と猟銃で計32人もの村人たちを次々と殺戮し、山へ消えた。
20数年後。
神戸で再婚し寺田姓となった鶴子の息子・辰弥は、終戦後の翌年復員すると天涯孤独の身となっていた。ある日、辰弥はラジオで自分のことを捜しているという諏訪法律事務所を訪ねる。辰弥の身寄りが彼を探しているというだ。数日後、辰弥の元に「八つ墓村へ帰ってはならぬ。おまえが村へ帰ってきたら、26年前の大惨事がふたたび繰り返されて八つ墓村は血の海と化すだろう」との匿名の手紙が届く。その後、多治見家の使者で、母方の祖父・井川丑松に引き合わせられるが、丑松は辰弥の目の前で血を吐いて死に、何者かが丑松の喘息の薬のカプセルに毒を混入したことが判明する。その後、辰弥の大叔母たち ( 多治見小梅・小竹 ) から依頼を受けたという森美也子が辰弥を迎えに現れる。
多治見家には辰弥の異母兄弟にあたる久弥と春代がいるが2人とも病弱であること、里村慎太郎とその妹・典子といういとこがいて、久弥と春代が死ねば慎太郎が多治見家を継ぐこと、美也子は多治見家と並ぶ分限者 ( =資産家 ) の野村家の当主・壮吉の義妹で未亡人であることなどの予備知識を携えて辰弥は八つ墓村に入る。
村に到着すると「濃茶の尼」と呼ばれる少し気の狂った尼から「八つ墓明神はお怒りじゃ。おまえが来ると村はまた血で汚れるぞ。いまに8人の死者が出るのじゃ」と罵声を浴びせられる。
翌日、辰弥と対面中の久弥が目の前悶絶死する。辰弥は毒殺を疑うが、医者の久野は病死で片付けてしまう。丑松と久弥の葬儀後、辰弥は野村家に逗留中の金田一耕助から、怪しいことがあったら率直に披露するようにと忠告される。3日後、久弥の死体が解剖された結果、久弥は丑松と同様毒殺であったことが判明する。
さらに久弥の初七日の法要で連光寺の洪禅が毒殺され、辰弥は麻呂尾寺の英泉から「貴様が毒を盛ったのだ。貴様は自分のじじいを殺し、それから兄を殺し、今度はおれを殺そうとして、間違って洪禅君を殺したのだ!」と糾弾される。
法要の前に慶勝院の尼・梅幸から「私と麻呂尾寺の住持が知っている大変大事な話があります」と言われていたことから、翌日、慶勝院を訪問すると梅幸尼が毒殺されていた。
そこには「双子杉」「博労」「分限者」「坊主」「尼」とそれぞれの対となる2組の名前が記された紙片が残されており、雷に打たれて倒れたお竹様の杉と毒殺された4人の名前に赤インキで棒が引いてあった。
Wikipedia『八つ墓村』あらすじより
このあと、辰弥の周りではさらに何人もの人が死にます。
辰弥が犯人だと憤る村人から多治見家は襲撃されますが、春代の機転で辰弥は鍾乳洞に逃げ込みます。
八つ墓村一体の地下には蜘蛛の巣のように入り組んだ鍾乳洞があります。
それが作品のロケーションの目玉です。
辰弥 逃げる→ 村人 追う→ 春代と典子 辰弥をかくまうの逃走劇が鍾乳洞で繰り広げられます。
鍾乳洞では、更に3人の人が死に、あれよあれよとラス前まで一気読みできます。
この作品は、「本陣連続殺人事件」「獄門島」と同様、岡山を舞台としたもので、
村の名家 ( 分限者 ) の財産をめぐって殺人事件が起こるという踏襲しています。
前二作と違うのは、物語に昔の「祟り」を絡ませていることと、鍾乳洞の謎です。
祟りじゃ~っのCM
今から40年以上前、私がまだ20代の頃にテレビで「祟りじゃ~っ! 八つ墓村の祟りじゃ~っ!」という松竹映画のCMが流れ話題になったものです。
鉢巻きに蝋燭を鬼の角のように二本つけた男が日本刀を持って走り回るシーンでしたが、あれは蝋燭じゃなくて懐中電灯だったみたいで、 これは実際に岡山で起きた津山事件 - Wikipediaという連続殺傷事件の犯人の当時のいでたちをモチーフにしたものだそうです。
こんな狂人が迫ってきたら恐怖だ
当時、私はこの映画観ませんでしたが、今回、小説を読んだ後に観てみました。
出演は豪華です!
辰弥…萩原健一
金田一耕助…渥美清
森美也子…小川真由美
多治見久弥・要蔵…山崎努
多治見春代…山本陽子
多治見小竹…市原悦子
井川鶴子…中野良子
尼子義孝…夏八木勲
落武者…田中邦衛
亀井陽一役の風間杜夫は写真だけだったと思います。
多治見おきさ役の島田陽子も、要蔵に切られるシーンだけだったかな。
村人3くらいで、加藤健一も「そうだそうだー」と言ってるくらいのちょい役だったし、辰弥の少年時代は吉岡秀隆だったみたいです。
松竹映画「八つ墓村」1977年野村芳太郎監督作品の話をする前に、
小説の感想を先にしておきます。
原作「八つ墓村」の登場人物が半端じゃありません。
寺関係だけでも、5人も出てきますが、それにも意味がある。
坊さんは、麻呂尾寺・長英、蓮光寺・洪禅が対に。
尼さんは、濃茶の尼・妙連、姥ヶ市の尼・梅幸が対に。
医者は、村医者・久野恒実、疎開医者・新居修平が対に。
分限者は、東屋・多治見久弥、西屋・野村壮吉が対に。
博労は、井川丑松、片岡吉蔵が対に。
双生児杉は、お梅さま、お竹さまが対に。
双生児は、小竹様、小梅様が対に。
未亡人?は、春代、美和子が対になっていて、
以上の様に対になっている人のどちらか片方が殺されていくんですが、
これがアトランダムだったりするので余計に厄介です。
本なら、わからなくなったら時点で、読み直すことも出来ますが、
映像だったら混乱するでしょう。
「あれよあれよとラス前まで一気読み」と書きましたが、ラスト10ページくらいがきつかった。
金田一さんが、辰哉をはじめとする関係者に種明かしするんですが、その説明がまどろっこしいのです。
でね、今回の金田一さんの役目は酷いんです。
ひとつも殺人事件を防いでいないのです!
事件を未然に防がない、という点では「本陣」「獄門島」「犬神家」も同じですが。
本作の彼は、連続殺人事件の外周をウロウロしているだけで、次の殺人を予期することも防ぐこともしていません。
物語は辰弥の一人称で進んでいき、金田一さんは、途中で何回かウロウロと出て来て
「隠していることがあったら言ってください」とか「一人で解決しないように」とか助言するくらいです。
最後の最後に「こんな事件だったんです」と時系列に整理整頓して解説するのでは、
推理小説とはいえないのではないかしら。
そんな訳で本作は《金田一不在の金田一シリーズ》でしたが、それはそれで面白く読みました。
しかしこれを映像化するとしたら、大変だろうなあと思います。
1977年版 野村監督作品「八つ墓村」を観ました
「なるほどこう来たか」 映画を観て、なるほどと思いました。
とても分かりやすく作ってありました。
でもトリックや、原作者が言いたいことは、かなりバッサリ無くなってます。
横溝さんは本当に懐が大きい方ですね。苦心し考えてたであろう「対になっている」トリックも、「祟り」のロジックも全て割愛されても怒らないんだもの。
渥美清演ずる金田一さんは、原作より活躍してました
映画の金田一さんも事件を未然に防ぐことはしませんが、京都、大阪、和歌山、山口に飛んで情報収集をしたりの仕事はしてます。
原作が《祟りに見せかけた犯罪》だったところが《本当の祟り》として描いたことも、
苦肉の策かも知れません。
首がぴょーーんと飛ぶシーンが多すぎたり、血が真っ赤じゃなくて朱色なのが好きじゃないけれど、これだけ多くのスターを集めて交通整理する監督の腕前は素晴らしい。
やはり松竹の力技の映画でした。
「八つ墓村」は他にも、以下のものが配信なんかで見られそうです。
- NHKオンデマンドで、吉岡秀隆金田一の「八つ墓村」2019年 吉田照幸演出
- Amazonプライムで、豊川悦司金田一の「八つ墓村」1966年 市川崑作品
- Amazonプライムで、古谷一行金田一の「八つ墓村」1978年 池広一夫監督作品
こちらも見比べるのが楽しみです。
本日の朝ごはん
朝ごはんを軽めのミューズリーにしたのはいいが、、、、お腹空く
お昼すぎになったら、どうにも我慢ができずに小丼を。。。
本日の夜ごはん
メインのお肉の前に、、、こんなものをつまみます。
今日は、八百幸 成城店で買ってきたアンガス牛
うーん、ちょっと乳臭いかな
タレなしの時に、ぷわんと乳臭さが漂ったので、じゃぶじゃぶタレかけてしまいました。
ご飯を炊いて、のっけて食べたのだけど、もりもり食べてしまい証拠写真はない。
ごちそうさまでした。