冬に逆戻りのような寒さ。
雨も降っているし、暖かくしてゆっくり読書ときめこむ。
尾碕翠さんのことを書いた本があったので、読みはじめたが途中下車する。
人称がコロコロ変わり、誰の話をしているのかがわからなくなり迷子になった。
著者自身の話として「私は」で始まったかと思うと、
尾碕さんの生い立ちで「翠さんは」という文章に転じ、
今度は尾碕翠さんの作品の主人公「文子は」になったりする。
さてさて。
カンディードの方は、冒険小説としてもサクサク読めてしまう。
楽観主義の青年カンディードが、従妹のクネゴンデとキスしているところを、
クネゴンデの父 ( 領主・男爵 ) に見られ追放される。
カンディードは放浪の旅に出るのだが、騙されてブルガリア連隊に編入させられ、
脱走して鞭うちの刑にあったり、リスボンへ向かう船が沈没したが、なんとか生き残ったり、大地震に巻き込まれたり、異端審問にかけられて火炙りの刑に合いそうになったりする。
一方クネゴンデは、家が没落 (戦争?)し、ユダヤの異端審問官の妾になっていて、カンディードが火炙りの刑に合うところを旦那に頼んで救い出す。
クネゴンデと再会を果たしたカンディードは、お付きの老婆と南アフリカまで逃げるが、逃げ切れずにカンディードと老婆を残して ( 再会を約束して ) 、従僕のカカンボと逃げる。
カカンボとカンディードは黄金郷エルドラドに迷い込み莫大な黄金・宝石をもらって旅を続けるが、途中で色んな人に宝を盗まれたり、搾取されたり、だまし取られたりしてしまい、クネゴンデと再会した時には財産は少ししか残っていない。
そんなクネゴンデは見る影もなく醜くなり果て、百年の恋もさめるが、それでも彼女と結婚。
エルドラドから持ち帰った残り少ない黄金で地所を購入し、醜いクネゴンデと、不機嫌な老婆、議論好きなパングロス ( 家庭教師 ) や、マルチン ( 学者 ) と実りのない議論を繰り返すだけのつまらない日々を送る。
冒険の流れをざっくり書いてみたが、どこにいっても災難に巻き込まれるカンディードだった。
してこの話のいいたいことは、「最善説」についてである。
というのも、カンディードは家庭教師のパングロスから「最善説」をたたき込まれている。
※ 最善説とは「すべての物事は、今あるより以外にはありえない。それは一切万事が最善である」という説。
家庭教師の教えを信じてしたカンディードだが、いろんな苦労をした結果、ついに楽天主義と決別せせざるを得ないことを自覚するが「楽天主義とは、どんな悲惨な目に遭おうとも、この世の全ては善であると、気の触れたように言い張ることなのだ!」と開き直る。
すっちゃかめっちゃかの残酷冒険物語を追っているだけでも、面白いが、
当時の社会情勢や政治のありかた、宗教問題などを知っていたらもっと面白い話。
作者はそういった世の中に対する皮肉を言うために書いている話だからだ。
本日の昼ごはん
温かいお蕎麦をつーるつる