Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

鬼平犯科帳 蛇の眼 

墨田区、隅田川あたりを歩いていると、こんな看板をよく目にします。

「鬼平情景」

鬼平犯科帳ゆかりの高札を整備しました 墨田区公式ウェブサイト

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ご存知、鬼平犯科帳は、池波正太郎が書いた人気小説。

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これは吾妻橋のたもとに立っていた看板。

 

もう少し歩くと、今度は「さなだや」という看板が。。。

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当時は堀留となっていた源森川に架かる橋で、作品の中では源森橋、源兵衛橋と名を変えて出てきます。

その北隣の水戸家下屋敷に引き込まれた水路に架かる小梅橋と対になると夫婦が枕を並べた様子に似ていることから、枕橋と呼ばれていました。

 

 鬼平犯科帳では、その北詰にある蕎麦屋〔さなだや〕がいっしょに数多く登場します。

「蛇の目」ではその店で、平蔵独特の勘ばたらきからあやしい奴に出くわし、追跡する場面があります。

実はこの男、大盗み・蛇の平十郎で、源兵衛橋の下に潜り込んで、まんまと逃げ失せてしまいます。

鬼平犯科帳の番外編とされる「にっぽん怪盗伝」収録の「正月四日の客」は、〔さなだや〕が舞台になり、亭主の庄兵衛と客の亀の小五郎とのむだ口のないやり取りが実にいい味を出しています。

と、書いてある。

 

「鬼平犯科帳」1巻2巻読了。

サクサク読める本ですね。人気があるのもわかる。

そして実際にその場所を訪ねてみたくなるのも、、、わーかーるーっ!!!

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本所・源兵衛橋 ( 後の枕橋 ) の北詰にある〔さなだや〕という店の蕎麦を食べたのは、その日が初めての長谷川平蔵であった。

押上村の春慶寺に寄宿している剣友・岸井左馬之助が、めずらしく病み、これを見舞った帰途、さわやかな初夏の夕暮れの道を中ノ郷の瓦町へぬけ、大川 ( 隅田川 ) べりに出たとき、橋向うのそば屋に気づいたのだ。

 

 ( こんな店があったかな…… )  

病み上がりの左馬之助とでは酒をくみかわすこともならず、腹もへっていた。

「酒と……それから、天麩羅をもらおうか」 注文して、平蔵は入れ込みの八畳へ上った。

天麩羅そばが江戸のそば屋であつかわれるようになったのは近年のことだが、いまや大流行のかたちとなり、それぞれの趣向をこらし、どこのそば屋もちからを入れている。

 

〔さなだや〕は老夫婦と小女ひとりの小さな店なのだが、後で岸井左馬之助にきくと、「あそこは源兵衛橋の蚤そばといってね。土地 ( ところ ) の者はみんな知っている。めっぽううまい。そうだったろう、平さん」  

そはさておき……。  

その日、長谷川平蔵が〔さなだや〕へ寄ったとき、先客がひとりいた。

文芸文庫『鬼平犯科帳 2』p.7より

この辺りかな? 「さなだや」は。。。

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あら「まくらばし」っていう名前の居酒屋さん? それっぽい感じじゃないですか。

 

 

池波正太郎さんの 生家 は、隅田川の反対側の「待乳山聖天」の南側だったと思いますが、この土地を本当に愛していらっしゃったんでしょうね。

古地図がお好きで、食通でもある、それを巧みに小説に盛り込んだのが、人気の秘訣なんでしょう。

鬼平犯科帳は小説だけじゃなく、さいとうたかおさんの漫画でも人気だし、テレビでは吉右衛門さんがヒットを飛ばしました。

 

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枕橋あたりの地図には、ちゃんと〔さなだや〕と書いてあるもの。

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この地図、やっぱり欲しい。

遅ればせながら、地図持って小説読んで訪ね歩くの、楽しいかも知れない。