Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

ビブリア古書堂の事件手帖Ⅳ ~扉子たちと継がれる道~

 

三上 延 著『ビブリア古書堂の事件手帖』Ⅳ

   ~扉子たちと継がれる道~  読了

ビブリアは、栞子さんシリーズが7巻、娘・扉子さんシリーズが4巻、計11巻の人気作品。

今回は戦中、鎌倉の文士たちが立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」にまつわる話を、

ビブリア古書堂の三世代の女性たちが解き明かそうとする話だ。

鎌倉文庫の貸本の、夏目漱石の初版本がミステリーの謎になっている。

三つの時代をまたぎ紐解く鎌倉文庫の謎

まだ梅雨の始まらない五月の終わりの鎌倉駅。よく似た顔立ちだが世代の異なる三人の女性が一堂に会した。

戦中、鎌倉の文士達が立ち上げた貸本屋「鎌倉文庫」。

千冊あったといわれる貸出本も発見されたのはわずか数冊。では残りはどこへ⸻夏目漱石の初版本も含まれているというその行方を捜す依頼は、昭和から始まり、平成、令和のビブリア古書堂の娘たちに受け継がれていく。

十七歳の「本の虫」三者三様の古書の纏わる物語と、時を超えて紐解かれる人の想い。

 

智恵子の章は、栞子の父・登が語り手になっている。

今まで早世した栞子の父親はどんな人かわからなかったが、

はじめて両親がどのように知り合い、結婚したかがつまびらかになった。

《登場回数が少ない》といえば、栞子には文香という妹もいるが、

文香のことも、母親が失踪した子供の頃の姿が取り上げられている。

 

 

智恵子は、夫と娘たちを置いて失踪している。

日本に戻ってきてからも、家族への愛情より本への興味や情熱を優先してきた。

栞子はそんな母親と距離をとり、不信感を抱いているが、

栞子の娘の扉子は、智恵子とフラットな関係を築いている。

 

本作は、古書に纏わるミステリーだけでなく、

三軒の古書店、ビブリア古書堂・もぐら堂・久我山書房の家族のドラマでもあった。

家族の歴史がわかったことで、本作はビブリアのひとまず集大成といえるものになった。

 

鎌倉文庫について

鎌倉文庫は、久米正雄や川端康成が発起人となり、小林秀雄、高見順、里見弴、中山義秀たちが協力して作った貸本屋である。その後出版社として数々の本を出している。

貸本屋を考えた理由は、戦争で出版事情が悪化して収入がなくなったことがキッカケで、活字に渇望している読者の為でもあったようだ。

文士たちが手持ちの本を持ち寄って市民に貸し出し、買い出し料を皆で分配するといった商法で、貸し出しは会員制と非会員制に分かれていて、本を貸すときに貸本料と別に保証料を取っていた。

保証料は本に挟まれている読書券を返すことで返還される仕組みで、読書券は横山隆一の図案、蔵書提供者は他にも小島政二郎、大佛次郎、永井龍男、林房雄らがいる。

 

本作はその《読書券》と、それぞれの貸本に記された名前がミステリーの鍵になっていて、

千冊近くあって貸本の行方 ( ※ ) も物語に使われている。

※ 当時の顧客の中には保証金の没収を承知で本を返さず、そのまま購入したようなつもりで私物化する者もいて、文庫の経営を脅かすようになった。

 

 

ちょっと残念な話

先日、たまうきさんからお聞きした話なのだが、ドラマ『ビブリア古書堂の事件手帖』でロケ地として使われた建物が取り壊されてしまったらしい。

味のある素敵なお家だった、残念。

 

こちらが今はもうない建物

こちらが裏手

 

 

 

本日の昼ごはん

アスパラガスとツナマヨのパスタ

アスパラガスはパスタと同じ形状になるように縦長に細く切っている為、面白い食感になっている。

 

 

本日の夜ごはん、、、というか夜食のつまみ

食卓の写真を撮りそびれたが、冷ややっことしてこの豆腐を食べた。

今まで食べた中で一番好きな豆腐だった。

 

参考文献

www2s.biglobe.ne.jp

zassha.seesaa.net

〔研究ノート〕貸本店・出版社「鎌倉文庫」(一九四五年~一九四九年)の文化的営為:研究動向及び主要参考文献目録