吉田修一 著『7月24日通り』を読了
表紙の写真は、畠山直哉 Slow Glass #095
吉田修一さんの作品は「最後に手にしたいもの」に始まり、「横道世之介」シリーズにドハマりし、
「湖の女たち」にちょっと辟易し、「路」で頭に少し?マークがつき、
吉田コレクション長崎から「破片」「Flower」「長崎乱楽坂」などを読んで、この作品に至る。
更に愛猫の金ちゃん、銀ちゃんのことを語る吉田さんを含めて考えるに。。
吉田修一とは、なんと幅広い視野と引出を持っている方だろうと驚く。
シリアスなのか、暗いのか、ヒョウキンなのか、暴力的なのか、ポップなのか。。。
そう今回の作品はやけにポップな路線だった。
地味で目立たぬOL本田小百合は、港が見える自分の待ちをリスボンに見立てるのが密かな愉しみ。異国気分で「7月24日通り」をバス通勤し、退屈な毎日をやり過ごしている。そんな折 聞いた同窓会の知らせ、高校時代一番人気だった聡史も東京から帰ってくるらしい。昔の片思いの相手に会いに、さしたる期待もなく出かけた小百合に聡史は・・・。もう一度恋する勇気がわく傑作恋愛長編!
新潮社 HPより
正直 私はこの主人公のしぐさや行動をみて《冴えない女の子》という印象は抱かなかった。
勿論、イケメンで人気者の弟を自慢したり、高校時代の同級生をみて「自分はどのくらいのレベルというか、ポジションの男の子にふさわしいのだろうか」と考えてみたり、告白されたのが ( 自分にとって ) レベルの低い真木君だったと涙したり、、、、
そんなエピソードから彼女をみればかなり歪んでいるように思う。
だが彼女なりに日々は楽しそうに仕事をし、リスポンの街並みを想像しながら生きているのだから、可愛いじゃないか、それでいいじゃないかと思ってしまう。
同窓会で、憧れていた聡史くんにちょっと言い寄られウキウキして、
でもやはり亜希子さんに横取りされて、しょげてしまい、そんなもんだと諦める。
本屋で知り合った青年は、リスボンの空想を理解してくれるような奴で、
彼の方が聡史くんよりよっぽと良いと思うけれど、彼女が選んだのは聡史くんだった。
弟の彼女・めぐみは、小百合にとって冴えない子だったから、自慢の弟に相応しくないと毛嫌いし、
「あなたはもっと、自分が自分のままで、楽でいられる相手がいるんじゃないか」なんて言ってしまう。
しかし、よく考えれば「自分はどうなの?」といいたくなる話だ。
めぐみちゃんから《自分を分析してみた》という十項目を聞かされて、
それがほとんど自分とダブっていたことに彼女は気づく。
- 結構モテる男の人が好き
- 嫌な女になりたくない
- どちらかというと聞き役
- 意外と家族関係は良好
- 初体験は慌てるように十九歳
- 何かとタイミングが悪い
- 未だにときどき少女漫画を読んでいる
- 夜のバスに乗って町を走るのが好き
- どちらかというとアウトドアは苦手
- 間違えたくない
「そうか、この子は自分と同じなんだ、だから嫌いなんだ」と思い当たり、
そんなめぐみちゃんが「間違えてもいい」と、初めて自分の殻を破って弟の胸に飛び込んだのだとわかり、ハッとする。
それが小百合の心を突き動かし、自分もリスボンなんて空想してないで、
殻を破らなくてはと聡史くんが待つ東京に行く決心をする。
うーん。
なんだかこう書いていて、つじつまは合うのだが、
何故かこの作品がロジック通りに展開しているようにしか見えなくて、
あまり心にしみなかったのは私の年齢のせいでしょうか、経験値? それても性格?
サラりと読めた本でしたが、心を振るわされる感じがしなかったのは、
申し訳ないけれど、少し残念な気のする読書でした。
本日の昼ごはん
お土産 美登里寿司のちらし寿司
本日の夜ごはん
夏野菜の出汁合わせと、ホタテの刺身で冷たい日本酒をキューーー
夏野菜の出汁和え
きゅうり、茄子を塩もみし、水でさらした後、ミョウガと共に出汁につける。
味付けは白出汁と昆布茶。
サツマイモのレモン煮と冷ややっこを追加
最期に麻婆ナス