念願の「ジョルジョ・デ・キリコ展」を鑑賞しに東京美術館にやってきた。
上野でキリコ展を開催しているというのは、つるひめさんのブログで知った。
つるひめさん、いつも貴重な情報ありがとうございます。
デ・キリコ展に来たー!
今月の29日までだから、ひやひやしていたけれど、
やっとMOURI の都合がついて2人で鑑賞。
デ・キリコとの出会い
初めてデ・キリコの絵を見たのは、15歳の時だった。
習っていた絵の先生から、私の絵のタッチがデ・キリコに似ていると言われ、
鎌倉近代美術館で開催されていたデ・キリコ展に連れていってもらった。
1973年のこと、デ・キリコさんは88歳でご存命。
パンフレットに「デ・キリコによるデ・キリコ展」と書かれているように、
展示作品のセレクトはご本人によるもので、自選回顧展形式だった。
当時の鎌倉近代美術館は、今の場所 ( 葉山 ) ではなく、鶴岡八幡宮の源平の池の左側、
平家の池のところにあった。 ( 現在は鎌倉文華館 鶴岡ミュージアム )
https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/1973/97.html
作品は、晩年の作品が多かったものの、
モティーフはマネキン、イタリア広場、剣闘士が多くセレクトされていた。
自画像もかなりあった。
2024年『デ・キリコ展』について
さて本題、今回見たデ・キリコの絵の話をつらつらと。
今回もやはり自画像が沢山あった。
デ・キリコさんって本当に自分が好きなんだな。
笑ってしまうような、仰々しい服装の自画像。
今回の東京美術館の『デ・キリコ展』は、大回顧展とうたっていて、
70年に渡るデ・キリコの絵の変遷がわかるラインナップだった。
イタリア広場シリーズが好きな私にとっては、
あまり好きな画風でないものも多かったけれど、、、
今回、展示されたイタリア広場
大好きなイタリア広場シリーズや、初期のマヌカンが少なかったのは残念だが仕方がない、今回は大回顧展なのだから。その代わり色々な年代を見せてもらえたことで、70年の作家活動で紆余曲折がわかった。特に第一次大戦後に古典画に回顧し「これが一番の美だ」とばかり、デキリコの絵が古典画風のタッチになったのに驚いた。
マヌカンも初期のタッチと全然違う⤵
この時期、デ・キリコは、ティツィアーノらが描いたルネサンス期の古典絵画やバロック期の作品に影響を受けて、伝統的な様式へと回帰したのだそうだ。
デ・キリコといえば、初期の「形而上絵画」が、シュルレアリスムの画家たちに大きな影響を与えことで有名だが、中心人物であるアンドレ・ブルトンは、初期のデ・キリコ作品を愛するあまり、古典絵画に回帰したデ・キリコを滅茶苦茶にののしり決別を表明したらしい。
その様子が、山田五郎さんのオトナの教養講座「期間限定公開『デ・キリコ展』の楽しみ方まるわかりSP②」で、詳しく解説されている。
とても分かりやすく楽しいので是非ご覧ください⤵
私がイタリア広場シリーズが好きなワケ
私が初期のイタリア広場シリーズが好きな理由は、
その絵の前に立つとシーンと音がなくなる感覚にとらわれるからだ。
1913年 《イタリア広場》
音が消え、時間がとまり、「ここはどこ? 私は誰?」というような不安な心持ちになる奇妙な絵。それがイタリアシリーズの最大の魅力。
今回の展示会場は素晴らしかった
今回素晴らしかったのは、展示室のしつらえ。
デ・キリコの絵画「バラ色の塔のあるイタリア広場」を彷彿させるような壁。
TOKYO ART BEAT さんのサイトより拝借⤴
窓枠が重なった奥に絵画が見える仕組みに息をのんだ
展示風景 © Giorgio de Chirico, by SIAE 2024
全作品をゆっくり堪能し、会場を出るまで2時間かかった。
足は棒になり、体が冷え切ってしまったが、とても感動した。
やはりジョルジョ・デ・キリコはスゴい。
鑑賞できて本当に良かった。
土産は、《オデュッセウスの帰還》の絵葉書
1968年、油彩・カンヴァス ジョルジョ・エ・イーザ・デ・キリコ財団
© Fondazione Giorgio e Isa de Chirico, Roma © Giorgio de Chirico, by SIAE 2024