田原町から柳橋まで、まっすぐ歩いて20分くらいでしょうか。
前回柳橋に行ったのは、去年の4月。
劇団 まるおはな の公演を観に来た時でした。
その前は、一昨々年 ( 2013年 ) のこと。
初めて歩く柳橋は、頑丈そうな橋の下に屋形船があるくらいで、
置屋も料亭もなく、昔の風情を感じられるような所は見つけることは出来ませんでした。
今回、幸田文の「流れる」を読み、映画「流れる」を観て、また散策してみたくなったワケです。
ロケ地探しがしたくて。。。。
本と映画の話は、大事に先延ばしにするとして、物語の舞台になった場所から考えてみたいと思います。
まず。
タイトルロールのコチラ
隅田川にかかる、あの美しい、特徴的な橋は千住大橋じゃないかしら。
竣工当時の千住大橋 ( 昭和2年(1927年)12月12日 )
位置関係からすると、この辺から?
今は、千住大橋のこちら側にも橋が出来てしまったので、綺麗じゃないけど。
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カーブの感じでは、こちら岸の杭を舐めた感じの絵が撮れるのではないでしょうか。
昔、両国橋付近の、川がカーブしている場所に「百本杭」がありました。
ここもカーブになっているので、同様の杭が打ちこまれていたとしても不思議でない気がしたんです。
あれ? この杭、桟橋だったのかしら (笑)
次の風景のコチラ
あの橋は、新大橋だと思います。
新大橋を清澄橋から見たら、どうでしょう。
新大橋は、昭和52年(1977年)3月27日に現在の黄色い棒の立った橋に変ってしまったけど。
角度から言うとこんな風景かと。そう、中洲なめの新大橋 (笑)
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次に、この風景
これは絶対に中洲です。
清澄橋の東詰、橋のたもとから撮った料亭街。
「大川端」 ( 著:小山内薫 ) にも出て来る中洲の料亭は、
堤防が出来て景色が見えなくなるまで、反映していたんです。
って見たことはないけど。。。
今では、こんな感じ ↓ ↓ ↓ の堤防が出来てしまい、
料亭は、全部廃業してしまいました。
いい景色だったんだろうなぁ。。。。
隅田川沿い、いや大川といった方が好きなんだけど、
映画「流れる」の冒頭では、こんな大川沿いの景色が沢山映し出されました。
そのあと映った橋は、そうです。柳橋。
映画の舞台となった芸者置屋がある場所ですね。
その柳橋の現在がこちら。
もしかしたら、反対側から撮った絵かもしれませんが、とにかくここ。
柳橋については、「流れる」の作者、幸田文さんがこんなことを書いています。
「雪」という短編で、もう退いている大きいお姐さんと柳橋を歩いている時のシーンです。
何度見てもこの橋は好きになれない。
どうしてこんな頑固な橋をかけたのか。
柳橋といふ名がかわいそうだ。
「むかし芸者というものがもっとずっと哀しいものだったとき、みんなよくこの橋で涙がこぼれたものなんですよ。泣くと、自分の顔のおしろいが、自分の涙でふうっと匂うんですよ。悲しゆござんしたね。この橋は小さい癖に風が強くて、大川へ落ち口だから、風がねじれるって云ふんでしょうか、そりゃ寒い橋なんですよ」と云ふ。
風は今だった変るわけでもあるまいが、時代が変わってこの世界もいろいろ新しく、いまどきこんな處で泣く妓なんかゐないし、さう話してさへ笑はれてしまふと、聞きながら來る。
上の短編は、<流れる>おぼえがき に納められていたもので、
「流れる」を書くまえの唯一のエチュードといわれているものだそうです。
さて。
映画「流れる」の大部分は、ロケセットで撮影されたものでしょうが、
何シーンかは実際の柳橋でロケをしたものと思われます。
例えば、主人公の梨花 ( 田中絹代 ) が、置屋の女中になるため「つたや」にやって来る始めの場面。
これはわかりやすい。
柳橋区の南北のほぼ真ん中を総武線が浅草橋から両国への通っているんです。
ここは総武線のガード下にあたる場所。
そう考えると、候補地は A か B
A B
既に天ぷら 江戸っ子 ( 江戸平? ) という店は無いし、後の家も無い。
ガード下も変貌を遂げているから、どちらとも言えないが、私の勘では、Bじゃないかと。。。
それからこのシーンは、どうしても解明したかった。
女中になった梨花が買物に行くシーン。
電柱の「柳町二栄組合」や、「天地真理教」という提灯はフェイクだと思われます。
でも突き当りのお店、どう見ても「〇〇子店」しか見えないんだけれど、
これは実在する店ではないかと思うのです。帽子店? 菓子店? ううーん。
現在の柳橋は、こういった個人商店など一軒もなし。 ( ちょっとした呑み屋はあるけれど )
ですので、突き当りがこんな感じの風景をいくつか見て歩きましたが、
特定に至りませんでしたり
くやしいーーーー
私は執念深いの。
今度行ったら、絶対に突き止める。
とりあえず、今日のところは、
何となく似たような所を見つけて、ニマニマしていました。
写真と較べながらニマニマしている私、やっぱり不審人物に見えるのかしら。
でもいいや。
誰にも危害はくわえません。好きなんだもの、仕方ない。勘弁してもらいたい。