信じられないんですが、わたし、還暦ですと。
6月に60年目の誕生日を迎えました。
MOURI ( 夫 ) は、私より2ヶ月後に60になります。
ふたりとも、人から見れば間違いなく
「そんなもんでしょう」と言われる風体。
しかし、
精神年齢だけは幼いままの当人たちは、
「60にして、こんなことでいいのか」
と思う日々。
「今年の誕生日は、ちょっと違うところに行こう」と誘われ、やってきたのが浅草の鈴本演芸場。
《平日の昼席を2人で楽しむ》ずっとやってみたかったことです。
ホール落語はよく行きますが、鈴本演芸場は初めて。
ホール落語と違うことが沢山ありました。
まず、一人一人の持ち時間が15分と短いことです。
枕だけで笑わせて終いの人もいらしたり。 ( 馬風さん ) ←これも楽しかった。
寄席でなければ、なかなか拝見できない「紙切り」「曲芸」「ものまね」など色物芸も楽しかった。
動物ものまねでお馴染みの江戸屋子猫さんは、私が知ってる子猫さんではなく、そのご子息でした。
※ 猫八さん( 三代目 ) のあと息子であった子猫さんが四代目猫八となり、
その息子さんが江戸屋子猫となる。
※ 四代目江戸屋猫八さんは、2016年66歳で死去。
江戸屋猫八 ( 三代目 ) 猫八 ( 四代目 ) 子猫
演芸場の出番は当日になって色々と変更が生じるようで、
番組表では下記の通りでしたが、
紙切りの楽一さんと漫才のすず風にゃん子 金魚さんの出番が入替になったり、
大神楽曲芸 仙三郎社中さんの代わりに、ストレート松浦さんになったりしていました。
ストレート松浦さんの世界にすっかりまってしまいました
ゆるーいテンポの喋り口調がなんともいいのです。
ふふふ、と笑わせる感じ。
ジャグリングやシガーボックスの芸の合間に、無言で上手の道具箱に近寄り、、、
汗を拭くために取り出したハンカチはパンダでした。( 上野ですから )
それを三度繰り返すのもお約束。
「鈴本のお客様はこういうのが好きなの、、、ね」という感じの、
お客いじりは、つぶやきジローを思い出す口調で可笑しい。
※ ストレート松浦さんは、モンゴル国立サーカスへの留学経験もあり、
大道芸のみならず、日本初のステージ専門ジャグラーなんだそうな。
また、
演芸場は《落語の演目を貼り出さない》というのも知りました。
ホール落語だと終演後
落語家さんがかけた演目が手書きで貼り出されます。⤵
落語初心者の私にとって、
演目がわからないと、後から調べたり出来ません。
でもよく考えれば、演目の張り紙は《普通》ではないんですね。
みんな、噺家が喋り出した途端に何の噺かわかるんでしょうし、
会場に演目を貼るなんて無粋なのかもしれない。
そんなワケで鈴本デビューの今回の詳細は、記憶にとどめておくことにします。
癖になりそうです、鈴本演芸場
やっぱり演芸場の雰囲気はいい。
それから。
これも驚いたんですが、客席内は飲食自由なんです。
それでも暗黙のルールがあるのかもしれない。
私たちの三列前に常連さんらしき人たちがいました。
その中の一組のご夫婦は、前座の噺の間に助六弁当をささっと食べ、
切れのよい笑い声を立て、仲込りまで見て引き上げて行かれました。
⤴ 中席を何回も観にきていて、今日は仲込りまでと決めていたのかな?
かっこいいと思いました。
客席の通路の幅は決して広いとは言えません。
満席の日には後から来た人が空席にたどり着くのに苦労するかも知れません。
座席の後ろに白く見えるのが折り畳みのテーブルです。
これをパタンと降ろせば、ビールもお菓子も弁当も乗せられる。
慣れた人を見ると、パタンと降ろして食べたり飲んだりした後、グズグズ降ろしたまんまにしてません。
勿論、テーブルは降ろしたままにしていても問題はない。
ですけど、いつでもたためるようにとお弁当を広げっぱなしにしていないように見えました。
後からの客に対する配慮なのかも知れませんが、
人を通す段にバタバタするのがカッコ悪いというような江戸っ子気質を垣間見たように思います。
なんだか とっても たのしい
楽しくて楽しくて2人で大笑いして4時間があっという間でした。
それぞれの演者さんが個性的で面白かった。
歌武蔵さんも笑かしてもらいましたが、
一番印象的だったのは前座を務めていた扇ぼうさん。
扇ぼうさんは、幼稚園児のような白い名札を付けてメクリをめくっていました。
トリを務めた入船亭扇遊師匠のお弟子さんとのこと。
扇ぼうさんの「子ほめ」は口跡もよく聞きやすくて、堂々としていて清潔感があって素晴らしかった。
所作も品があり、追出し太鼓をたたく姿もすっとしていて素敵でした。
入船亭扇ぼう、注目したい噺家さんです。
⤴ 後ろ姿ですが、美しいでしょう?