そそさんと呼ばれている猫がいます。
とても汚れていて、人嫌いの猫です。
やせっぽちの一匹オオカミなんですが、彼が睨むだけで他の猫は恐れおののきます。
多分、ひと睨みされただけで、そそさんが凄く強いとわかるんでしょう。
いつも腹ペコで、凄く食べます。
他の子は愛嬌があるから、いろんな人から餌を貰えるんだろうけれど、
そそさんは、どんな人にも近づかないから餌も貰えないんだと思います。
で。
私のところにだけはやってきます。
ちょっと人の気配がしただけで、こんな風に警戒する。
大丈夫だよ、いいから安心して お食べ。
私の器からご飯を食べるようになって二ヶ月くらいになります。
少しだけ太って、少しだけ毛艶が、、、
ほんの少しだけですが、よくなってきたように思います。
そそさんと仲良くなりたいなぁ
昔、そそさんにそっくりな猫がいました。
ハイシマじー
ハイシマじーという老猫でした。
ハイシマじーとあねご夫婦は、ここで生まれ、ここで夫婦になり、二匹で子育てをしてきました。
ところが生まれてまもない子猫を、猫の愛護団体に連れていかれて以来、人嫌いになってしまいました。
子猫は4匹。そのうち3匹は団体が里親を見つけそのまま帰ってきませんでした。
ご面相のよくなかったただ一匹だけが、ここに戻されてきました。
その子がじゃいあんです。
じゃいあんも、父親のハイシマじーも、人間不信になり、1m以上近づくことが出来ない猫になりました。
でも。
少しずつ、本当に少しずつですが、距離が縮まっていき、晩年に私を信用してくれるようになりました。
亡くなる一週間前、ただ一度だけですが、ハイシマじーは私ともう一人に背中を触らせてくれました。
今でもハイシマじーの、そのゴツゴツした背中の感触が忘れられません。
そそさん、私はあなたが思うほど悪い人間じゃないんだけどな。
少しずつ、少しずつでいいから、私を信じてくれないかな。
いつか仲良くなれる日がくればいいなと思ってるんだ。
急がないから、よろしくね、そそさん。