現在、手に入る「シャーロック・ホームズの冒険」を取り寄せてみました。
全部を読み比べするところまでいっていませんが、
「ボヘミアの醜聞」だけでも読み比べてみたいと思います。
件の作品、タイトルもちょっとずつ違います。
「ボヘミアの醜聞」「ボヘミア国王の醜聞」「ボヘミアの
そして、前回もちょっとやってみましたが、
「ボヘミアの醜聞」で、アイリーンアドラーのことを どう呼んでいるかの訳を抜き出してみました。
出版社 | 初版年月日 | 翻訳者 | The woman |
新潮文庫 | 1953年3月31日 | 延原 謙 | 「あの |
創元社推理文庫 旧 | 1960年7月29日 | 阿部知二 | 冒頭 |
偕成社文庫 | 1981年2月 | 河田智雄 | <あの |
ハヤカワ文庫 | 1981年6月30日 | 大久保康雄 | 冒頭「あの女」、末尾「あの婦人」 |
角川文庫 | 2010年2月25日 | 石田文子 | 「あの |
光文社文庫 | 2006年1月20日 | 日暮雅通 | 「あの |
創元推理文庫 新 | 2010年2月19日 | 深町眞理子 | " あの女性 " |
河出文庫 | 2014年3月20日 | 小林司/東山あかね | 冒頭「あの女」、末尾「 |
「あのひと」「あの女性」が多かったですが、
小林司/東山あかねさんは敢えて「あの女」と訳されています。
末尾に《敬称》とありますが、敬称で「あの女」というのはちょっと変で面白い。
大久保さんの訳も変わってます。
冒頭が「あの女」で、末尾が「あの婦人」と言い換えているんです。
《ほかの名で呼んだことなど、めったに聞いたことがない》とあるにも関わらず、
「あの女」を「あの婦人」とわざわざ末尾で変えているのはどういうワケなのかしら。
末尾にはハッキリと《敬称を用いて呼んだ》とあるので、流石にあの女じゃまずいと思われたのか、いやそんないい加減な理由ではないと思うのですが、なんなんでしょう。
折角、取り寄せたのですから、
紙質とか、フォントとか、レイアウトとかも比べてみました。
どの本が読みやすいかを翻訳という観点ではなく《パッと目に入ってきやすかったもの》という点で比べてみると、ダントツに好きなのは、新潮社文庫でした。
理由のひとつは紙質にあります。
少し黄色がかった上質な紙でトロンとしています。そのページをめくる触感が好きなんです。
黄色がかった紙に乗った字は目が疲れないという利点もあります。
紙質でいえば、ハヤカワ文庫も捨てがたい。
それから、紙の厚さは薄めが好みです。
最近は白くて厚めの本が多いようで、個人的には昭和の本の方が好きなんです。
字体は、光文社のフォントと行間・字間が好きです。
フォントに詳しくないので、なんというものなのか わかりませんが、
心持ち平べったい字に惹かれます。
それから文中に ( ) で解説がついているのは、あまり好きではありません。
親切に解説をしてくださっているのは有難いが、読んでいるテンポがそこなわれるのは困ります。
さらに訳者のいいまわしや、流れるような文体、少々当時の雰囲気も欲しいし、、、
って、色々総合して、好みの順位をつけたらこうなりました。
1.ハヤカワ文庫 大久保康夫
2.河出書房文庫 小林司/東山あかね
3.光文社文庫 日暮雅通
オホホ、あくまで私の好み、印象です。
次にシャーロック・ホームズを読む時には、この中から選ぼうと思います。
とじ込みは、各本の表紙、冒頭、末尾の写真 ⤵
延原 謙 ( のぶはら けん 本名読み:ゆずる )
1892年 ( 明治25年 ) 9月1日~1977年 ( 昭和52年 ) 6月21日
編集者、翻訳家
新潮文庫版 1953年 ( 昭和28年 ) 3月31日 初版
※ 1989年 ( 平成元年 ) 4月 延原謙の嗣子の延原展により修正される
左は改正後 1990年代の表紙、中は初版からの表紙
※ スピンつき
タイトル「ボヘミアの醜聞」
阿部知二 ( あべともじ )
1903年 ( 明治36年 ) 6月26日~1973年 ( 昭和48年 ) 4月23日
小説家、英文学者、翻訳家
創元推理文庫版 1960年 ( 昭和35年 ) 7月29日初版
創元ホームズの最初の訳者。
タイトル「ボヘミアの
河田智雄 ( かわだ ともお )
1935年 ( 昭和10年 )
英文学翻訳家
偕成社文庫版 1981年 ( 昭和58年 ) 2月初版
※ B6判で上・中・下の三冊
大久保康雄 ( おおくぼ やすお )
1905年 ( 明治38年 ) 5月1日~1987年 ( 昭和62年 ) 1月12日
英米文学翻訳家。日本の草分けで多くの翻訳者を育成した。
ハヤカワ文庫版 1981年 ( 昭和56年 ) 6月30日初版
タイトルは「ボヘミア国王の醜聞」
日暮雅通 ( ひぐらし まさみち )
1954年 ( 昭和29年 )
光文社文庫版 2006年 ( 平成18年 ) 1月20日初版
タイトルは「ボヘミアの
深町眞理子 ( ふかまち まりこ )
1931年 ( 昭和6年 ) 11月1日~
翻訳家
創元推理文庫 新版 2010年 ( 平成22年 ) 2月19日初版
創元ホームズの二代目の訳者。
タイトル「ボヘミアの醜聞」
石田文子 ( いしだ ふみこ )
1961年 ( 昭和36年 )
英米文芸作品翻訳家
角川文庫 2010年 ( 平成22年 ) 2月25日初版
タイトル「ボヘミア王のスキャンダル」
小林司 ( こばやし つかさ )
1929年 ( 昭和4年 ) 3月21日~2010年 ( 平成22年 ) 9月27日
精神科医、作家、翻訳家 共著の東山あかね ( 1947年 昭和22年 ) は妻。
小林 司 - Webcat Plus
河出文庫版 2014年 ( 平成26年 ) 3月20日初版
タイトル「ボヘミアの醜聞」