コロナの影響で、今年のテレビ界も大混乱。
ニュースや生放送の出演者はMC以外はリモート参加になり、
スタジオでの立ち位置もソーシャルディスタンス ( SD ) で、皆離れています。
テレビ画面の端と端に離れている図は、見慣れるまではとても変でした。
でも、何だかパフォーマンスのような気がしてしまうのは私だけでしょうか。
画面に見えるところは SD出来ても、現場全部がSDかというとそうじゃない。
副調整室 ( ディレクターがQを出すところ ) なんか思いっきり3密なわけだし、
スタジオは、カメラさんも音声さんもADさんも、SDしてたら仕事できません。
ニュースやバラエティーは試行錯誤で何とかなっても、どうにもならないのはドラマです。
ロケは中止、スタジオならいいかといえば、俳優がくっつかないで撮れる日常風景なんてないもの。
そんなわけで、4月スタートの新ドラマはのきなみ延期か中止になりました。
新しいドラマがOA出来ないから、昔のドラマを流すワケですがなんですかねアノ、
《特別篇》という呼び方は。
昔のドラマを編集しなおしたのかと思ったら、なんのこたーない《再放送》でした。
期待していた『ハケンの品格』もスタートが遅れ、
13年前の『2007版・ハケンの品格』でつないでいました。
この再放送が むしろマズかった と私は思う
何がマズかったかというと、新旧を比較してしまったからです。
結果、誰もが「2007版の方が面白かった」と思ったでしょう。
2020版 ( 新 ) ハケンが面白くない、というのは我が家だけの意見じゃないハズ。
じゃ、どこが面白くないのか
どこが面白くなかったのか、新旧を比較検証しました。
まず第一に、設定に無理 がある。
13年前、34歳だった篠原演ずる大前春子が実年齢としたら、2020年版は47歳。
ハッキリ言って「オバサン」と呼ばざるを得ない年齢のハケンさんをドラマで描いても無理がある。
47歳の大前春子が色々できても、13年前の驚きはないでしょう。
30歳だった里中主任 ( 小泉孝太郎 ) も43歳、課長になり、
新入社員だった 浅野くん ( 勝地涼 ) も、35歳で主任となり、昔と立場が違います。
例え、同じメンバーを揃えたとしても、役職があがり立場が違えばハケン~の人間関係は別物です。
それでもなんでも、ハケン~をやるというなら、
新しい主人公で、新・ハケンの品格を作るべきだったのではないでしょうか。
百歩譲って、篠原-大前春子でいくとしても、今回の篠原さんは気の毒です。
大事な相手役がいなくて孤軍奮闘だったから。
篠原-大前春子になくてはならないのは、天敵である東海林 ( 大泉洋 ) です。
2020版ハケンの前半に大泉洋がいないのは、スケジュールが舞台とダブってしまったからだと聞きました。コロナで収録Schが延びなかったら、全回大泉さんは出れたのかも知れませんが、《大泉洋のスケジュールNG》となった時点で「ハケンは撮れない」と判断するのが妥当だったのではないでしょうか。
そのままGOした局の編成・制作に責任があると思います。
そんな大泉さんが 第4話に合流。
「北海道の支店から東京本社に戻ってきた」という設定でした。
これは第5話、東海林課長 ( 大泉洋 ) と大前春子 ( 篠原涼子 ) が、じゃれ合うシーン。
画面からも、現場に活気があるのが分かります。
二人のやり取りに社員たちも笑っています。
笑っていいシーンなんですけれど、この中にマジで笑っている人がいる。
右端の部長役の塚地武雅さん、素でホントに笑ってます。
素と演技はわかるもの。
塚地さんはこのあとのカットも手前の人に隠れて噴き出してました。
こういうのを見ると、ドラマには 華がある役者さん が大事なんだなぁと思います。
ハケンにおいては、大泉洋さんがその華であり、原動力なのです。
大切な駒、大切な役どころが欠けている
もうひとつ、2020版ハケンの敗因をあげるなら、大切な役どころが欠けていることです。
2007版ハケンでは、
小松政夫演じる、嘱託社員がいました。
かつてはバリバリの営業マンだったが、パソコンの導入による業務についていけず、
マゴマゴしている社員の役でした。
「ハケンさんはお給料安くて大変だ、僕がご馳走しよう」と、定食屋のサバ味噌定食を大前春子におごろうとするが、あとから嘱託の自分より多いギャラを貰っていると知り腰を抜かします。
一度は契約打切りを通告され「老兵は去るべき」と次の更新をしないつもりだったのを、大前春子から「カッコよく会社を去るのはハケンの専売特許。社員なら社員らしく会社にしがみついて下さい」と言われ、会社に残ることにする。
役に立たない定年後の小松サンが、嘱託社員をとして残っていられたのも同期の霧島部長 ( 松方弘樹 ) の温情だったというエピソードも、会社のドラマで描く上で、大事なエピソードでした。
黒岩匡子 ( 板谷由夏 ) というキャリアウーマンの存在も大切でした。
匡子は、東海林や里中とは同期入社で、仕事の出来るキャリアウーマン。
女性ゆえ、東海林や里中と一緒に出世していけるかというとそうじゃない。
独り飯が出来ずに、若い男性社員をランチに誘うが、昼食代は常に匡子のおごり。
肩ひじ張っているけれど、どこか寂しい微妙な立場のキャリアウーマン像が描かれてしました。
ドラマに出て来る人には、ひとりひとりの事情がある
深いドラマ、人を感動させるドラマは、主役だけでなく登場人物のひとりひとりにドラマがあります。
脇役に生きざまが見えないドラマは、ドラマ全体がうすっぺらくなります。
2020版ハケンが、2007版に劣るところがあるとしたら、
そうした脇役の描き方に薄さがあるところではないでしょうか。
新旧のハケンさん
2007版のハケン社員は、仕事の出来るハケンとして近耕作 ( 上地雄輔 ) が、新入ダメハケンとして森美雪 ( 加藤あい ) が、奮闘していましたが、
2020版では、出来るハケンを吉谷彩子、ダメハケンを山本舞香が担当しています。
左 ) 山本舞香 右 ) 吉谷彩子
これも2007版のキャスティングに叶わないと思います。
理屈抜きで加藤あいが可愛かった。
加藤あい演じる、新米ハケンはダメっぷりもなかなかのものでしたが、
愛嬌と、一生懸命さがにじみ出ていたから、社員も大前春子でさえも手を差し伸べたくなった。
「春子せんぱーい」という加藤あいの声も、無条件で可愛かったし。
松方弘樹さん、白川由美さん、大滝秀治さんがいないのも寂しい。
大前春子の親代わりのような存在のママ役を好演した白川由美さん。
東海林主任 ( 大泉 ) に「一生、霧島部長についていきますっ」と言わせた部長役の松方弘樹さん。
こういう大御所が脇をキッチリ固めてくれるお蔭で、
ドラマの奥行が増すのだと思います。
でもねぇ、折角ヒットした作品ですから、2020版ハケンにもエールを贈りたい
大前さんは、きっとやってくれるハズ。
だってスーパーハケンですもの。
本日の朝ごはん
大好物のかしわ飯
これがあれば、おかずはいらない。
本日の夜ごはん
酢の物を毎回摂るようになって「疲れなくなった」とMOURI が言う。
そういうこと、あるのかなあ。