宮城県立美術館の移転・新築の話が
持ち上がっているそうです
それで今、反対運動が起こっているそうです。
美術館というのは、周囲の環境も大事な要素。
大事な県の宝を壊してしまおうというのか、宮城県は!
突如 浮上した移転話に、県民は驚いたそうです。
昨年のあたままでは「美術館のリニューアル」について話し合われてたそうで。
美術館設備の老朽化について3年かけて話をしてたんですって。
ところが、昨年5月に急きょ 移転・新築の話が浮上して、
旧仙台医療センター跡地に建て替えようとしている宮城県立会館に
宮城県立美術館も くっつけちゃえという話になったとか。
会館や美術館を別々に建てて維持管理するより、ひとっところにまとめちゃって
複合施設にした方がよくねっ? ということらしい。
それに対して県民は、「そんなこと、意味あんのか?」と怒っているようです。
これだけのことで、移転するというの? 宮城県は
宮城県公式ウェブサイトに載ってる「県有 施設等の再編に関する基本方針 ( 中間案 )」ではまだ、移転・新築に伴う具体的なメリット・デメリットが見えてきません。
リニューアルだと50~60億かかるとありますが、移転した場合の費用は不明。
現建物に地下に通る建築制限があると書かれていますが、移転の理由としては希薄。
移転すれば《長期休館しなくていい》とありますが、そのことぐらいで移転するというのもいかがなものか。。。
考えよう、宮城県美術館のコト。 | 河北新報社から経緯について
→「県有 施設等の再編に関する基本方針」 ( 中間案 )
ここで、県民がこよなく愛する現在の宮城県美術館とはどういうものなのかをご説明します。
宮城県立美術館
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
美術館は、仙台の中心部から広瀬川にかかる橋を渡った自然豊かな所に建っています。
後ろには仙台城址のある青葉山があって、近くには仙台市博物館や東北大学があって、
緑豊かな環境の中に歴史と文化がつまった文教地区に立地。
ゆったりとした空間はさすが「杜の都、宮城県やるじゃない?」と褒めたくなる。
県立初の公立美術館
美術館は1981年に、前川國男さんの手で作られました。
「美術館は建物が主役なのではなく、あくまで作品が主役」という考えから、
作品が引き立つようなデザインで設計されたそうです。
流石、日本のモダニズム建築の巨匠!
その9年後-1990年には本館の隣に、佐藤忠良記念館が建設されました。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
設計は、前川國男さんの弟子にあたる大宇根弘司さん。
大宇根さんは設計段階で、佐藤忠良さんの元に何度も足を運び、
彫刻にとってどのような空間が最適かを話し合われたそうです。
同じ彫刻でも季節によって表情が違う。
これが屋外展示の彫刻の魅力!
出典元: 秋空の下、アートとピクニックを楽しむ | machinaviPRESS 仙台
本館と忠良記念館との間にある「アリスの庭」という空間も、
彫刻が主役になった素晴らしい空間です。
季節、時間、天候により様々の表情に変化する彫刻たち
ここにも佐藤忠良さんのアドヴァイスが生かされているのではないでしょうか。
海外国内から優れた彫刻を集め、野外展示されているアリスの庭。
仮に移転したとしたら、これらの彫刻はどこに置かれるかな。
屋外だからこそ十二分に魅力を発揮している作品たちが、
もしも室内の狭い空間に押し込められてしまったら、、、、、
全く別物になってしまう気がします。
彫刻の多くは移動は可能でしょうが、カラヴァン氏の「マアヤン」はどうなるのか。。。
この作品は1995年、県が7000万円で購入。
全国4か所にあるカラヴァン氏の作品のうち、初めて美術館に設置されたものだそうです。
県美術館のお話では、カラヴァン氏は自然や街並みの景観や気候、歴史的条件に調和した「環境彫刻」の代表的作家で、この作品もここに配されるにあたって細かい配慮が施された「オーダーメイド作品」とのこと。
浜崎副館長は「季節で変わる影の長さも計算して作っている。この場所にあるからこそ成立する作品」と解説されている。
国の補助金について
美術館の移転、集約に国の補助金を活用する場合、「新設後5年以内に現在の美術館を廃止する必要がある」のだそうです。
現在、宮城県では美術館を移転された跡地をどのようにするかは未定とのことですけど、
もし国の補助金を使うとすれば、
- 跡地は更地にして売却
- 美術館自体を民間に払い下げ
みたいなことになるのかも。。。。
カラヴァン氏の作品が移転不可能ならば、解体の可能性もあるとのこと、これは契約等の問題も出てくるのではないでしょうか。
因みに。
佐藤忠良さんが県に作品を譲渡した前に、美術館設立のラブコールが出身地の宮城県と、活動起点だった北海道札幌市と両方からのあったとのこと。
忠良先生としては北海道を断って、宮城県にしたんでしょうから、
その責任においてもちゃんとしないといけないんじゃないの?宮城県は。
もしも移転して、佐藤忠良記念館がチャチかったり規模縮小みたいなことになったら、
北海道に対しても、全国の佐藤忠良ファンに対しても、もちろん亡くなられた忠良先生に対しても失礼なことなんではないかと、私は思うのです!
カラヴァン氏、佐藤忠良氏だけでなく、前川建築のこともあります。
近年、ル・コルビュジエ建築の世界遺産登録を契機に、その最初の日本人弟子であった前川國男建築を有する全国9つの自治体が「近代建築ツーリズムネットワーク」を結成し、前川建築をはじめとする近代建築をいかに維持・活用していくかを考えている中、
大切な前川建築を売るのか、壊すのか知りませんけど、そんな時代の流れに逆行するようなことしていいんでしょうか? 宮城県は。
日本の国や地方自治体は、箱物を作るのがお好き
箱物行政と皮肉られるように日本の国や地方自治体って、施設や建造物を作るのが好きですよね。
「どのように利用するか」「作って何になるのか」を十分に検討しないまま事業を進める、あの悪い習慣はやめませんか?
今回の美術館の移転・新設に、多くの人たちがNOと言っているのを、
ちゃんと考えないととんでもないことになります。
それは日本人の大事な知的財産・文化の破壊であり、冒涜です。
前川建築も、カラヴァン氏の作品も、佐藤忠良記念館も、アリスの庭も、壊してしまったら二度と戻りません。
現在の美術館の素晴らしさに気づいて欲しい
前述の「県有 施設等の再編に関する基本方針 ( 中間案 )」には、
美術館についてのコンセプトを以下のように提示していますが、現在の美術館は全てこの条件をクリアしています。
『「記憶に残る」「また訪れたくなる」「常に新しい発見のある」美術館』といった宮城県美術館の目指す姿や『「子どもたちの豊かな体験を創出する」「人々が憩い,くつろぎ,集い,つながる」「国内外の人々が魅了される」「ともに築きあう」美術館』といったコンセプトが示されており,これらを実現するための具体的な改修内容が検討されている。
「記憶に残る」も「また訪れたくなる」も「常に新しい発見のある」も、
「人々が憩い、くつろぎ、集い、つながる」「国内外の人々が魅了される」
現在の美術館は先人の努力により、十分に確立されています。
下のサイトをご覧になれば驚かれると思いますが、宮城美術館の中には「制作室」というのがあって、自由に図工や絵画が作れるようになっています。
大人でも子供でも予約なしに自由に無料でですってよ。
こんな風に「子どもたちの豊かな体験を創出する」というコンセプトを実現させている取りくみ、なかなかないと思います。 ⤵
新しい美術館は、今の美術館を超えられるの?
私は、現在の宮城県立美術館が、あらゆる面からも充実したトップクラスの美術館であると思います。
移転・新築した新しい美術館は、それを継承できるのでしょうか。
敷地面積についていえば、先行している県民会館予定地の一部を削って、美術館用にあてるのでしょうから、今と同等の敷地確保は不可能なのではないかと懸念します。
現在の美術館が担っている「子どもたちの豊かな体験を創出する」という使命を、
本当に、新しい美術館は継承できるかを、移転を遂行する前にもう一度検討する必要があると思います。
宮城県は、現在の県立美術館の価値の高さに気づくべきです。
現行の美術館を壊してからその価値に気づいても遅すぎます。
本当に新しい美術館が、今以上に価値のあるものに出来るかを、キチンと検証すべきだし、
県民に対して「長期休館しなくてすむ」なんていうメリットしか提示出来ないようなら、「移転・新築案」は即座に撤回するのが、頭の良い大人のやり方です。
宮城県のプライドとは
県には、宮城県立美術館という素晴らしい施設を持っているという自負はないのでしょうか。
役人や首長の中には、文化のぶの字もわからない人もいるでしょうし、それより外に優先すべきことがあると思っている人もいるでしょう。
しかし宮城県にはプライドにかけて守る大切な宝物が、今そこにあることに気づいて欲しいです。
壊してしまってからでは遅すぎますからね。
宮城県立美術館へどうぞ
宮城県美術館をご存知ない方は ( コロナが落ち着いたら ) 是非一度、足を運んでいただきたいです。
絶対に感動されることをうけあいます。
現地まではどうも、、、という方は下のサイトをご覧ください。
施設の素晴らしさがとてもよく紹介されています ⤵
そしてもし。
ご賛同いただけるなら、、、、
宮城県美ネット ( 反対運動 ) を応援してあげてください。
拡散にもご協力いただけたら嬉しいです。
宮城県美ネットの活動は短期ですから、入会金は無しで、一口1000円が活動資金になるようです。
参考資料