Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

『あつもの』という映画

 

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『あつもの 杢平の秋』という映画を見ました。1999年の作品です。

主演は、緒形拳、小島聖、ヨシ笈田。

 

先日読んだ中山義秀の『厚物咲』が原作だということでしたが、全くの別物でした。

別物で悪いということではないんです。でも個人的には残念。

脚本家の池端俊作さんの初メガホン作で、ベノデ国際映画祭グランプリを受賞したそうです。

 

【物語】

消防士を定年退職し、妻夏美の精神病院入院をきっかけに北陸の田舎町から東京近郊に暮らす息子夫婦の元に身を寄せることになった馬野杢平 ( 緒形拳 )

彼は、大菊の厚物を仕立てることでは北陸の名人と呼ばれる腕前である。

 

東京の菊同好会に入り、老人相手に援助交際をしている音大生のミハル ( 小島聖 ) を紹介された杢平は、彼女に隣町に住む黒瀬 ( ヨシ笈田 ) の家の道案内を頼む。

 

黒瀬は全国的に知られた厚物作りの名人で、杢平が菊にのめりこんだのも、少年時代、北陸に疎開をしてきた黒瀬が作った菊を見たのがキッカケだった。

しかし、黒瀬という男は偏屈で欲深く、地元の同好会にもすこぶる評判が悪い。

杢平にはけんもほろろの対応だが、ミハルに興味を抱いた黒瀬は、

「ミハルを紹介してくれたら、とっておきの肥料を教える」ともちかける。

杢平はその言葉を信じ、ミハルを黒瀬にあてがうが、教えられた肥料はありきたりのものだった。

黒瀬に騙されたことと、ミハルを利用した自分の情けなさに自己嫌悪する杢平は、その悔しさをバネに自らの工夫で厚物を作っていくことにしたのだった。

 

※ あらすじの文章は、あつもの 杢平の秋 : 作品情報 - 映画.com よりお借りしました。 

 

 

 

監督の池端さんは、脚本家として大御所で、素晴らしい作品を輩出してきました。

本作は、中山義秀の『厚物咲』を原作としていますが、原作というよりオマージュといった方が正しい。

原作は、幼馴染の二人の老人の生きざまを、趣味である菊作りを通して描いていっているのに対し、

映画は、偏屈な菊作りの名人-黒瀬と、彼の菊作りに憧れる実直な杢平に、音大生の少女を絡めています。

 

二つの作品に共通するのは、老い、男の嫉妬心、くらいでしょうか。

 

 

原作では、実直な主人公-瀬谷が、幼馴染の片野の奔放な生き方に振り回され、片野の作る菊に羨望の眼差しを向け嫉妬するという悶々とした心境が実に面白いのに、

映画では、老人のエロスの部分が追加され、更に少女の苦悩までと表現したいことが広がったため、焦点がぼけてしまったように思えます。

 

自信家で強欲で野心家で色魔の老人-黒瀬を、ヨシ笈田さんが好演しています。

笈田さんは文学座出身。ピーターブルックの舞台でも活躍し、現在はフランス在住なのだとか。

22年前の若き小島聖も奮闘していますが、残念ながら文字通りの体当たり演技で終わったと言う感じ。

タイトルにもなっている杢平 演ずる緒形拳は、ハッキリ言って クサい。

若い頃のギラギラしていた緒形さんだったら、絶対に黒瀬のような役を選んでいたハズ。

杢平という役は、良い男なのか、喰えない男なのか、どっち付かずの老人で、

それを顔の演技だけで乗り切っているような緒形さんには、あまり好感持てませんでした。

ウマい役者さんだけに、凄く残念に思いました。

 

 

 

本日の昼ごはん

MOURI 作 炒飯

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ところどころ、白いままのご飯が残っているのは、うん、御愛嬌。

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味はホントに美味しいのですよ。