永井路子著『美貌の女帝』を読了。
数年前に買って本棚にあったものを引っぱり出して読んだ。
永井さんの歴史小説はサクサク読めるから、小難しい本で凝り固まった頭に有難い。
私の好きな鎌倉物も多いし、渋いキャラクターを掘り下げてくれるところも嬉しい限り。
今回もまた、奈良時代の渋い女帝のお話だった。
主人公・
中大兄皇子といえば、藤原鎌足とともに大化の改新を行ったことで有名な人物だが、
後に
彼女をズバリ一言でいえば、未婚で美しいこと。
それまでの女帝が皇后や皇太子妃だったのに対し、結婚経験がなく独身で即位した初めての女性天皇であり「慈悲深く落ち着いた人柄であり、あでやかで美しい」という記録が残された人物だ。
作者は、この美貌の女帝の生涯を、綿々と続く曽我氏の女性の血筋を守り抜く女として描いている。
氷高は母から『
その為には天皇の外戚となろうと娘を送り込んでくる藤原氏と対立し、覇権争いをしなければならなかった。
当時の天皇交代は目まぐるしく複雑
当時は、現在のような直径男子による皇位継承権といったルールはなく、複雑かつ頻繁に天皇が代わっていた。
中大兄皇子 ( 第38代天智天皇 ) から孫の氷高 ( 第44代元正天皇 ) まで約50年間に6人も天皇が代わっている。
中大兄皇子 ( 天智 668 ) → 息子 ( 弘文 672 ) → その叔父で天智天皇の弟 ( 天武 673 ) →
その妻で天智天皇の娘 ( 持統 690 ) → その孫 ( 文武 697 ) → その母で天智天皇の娘 ( 元明 707) → その娘 ( 元正 715 ) → その甥 ( 聖武 724 ) にと56年で8回交代。
登場人物の名前も複雑
登場人物には、
ただでさえ混乱するところにもってきて、腹違いの子が沢山いて系図もゴチャゴチャ。
同じ父の子でも母が違えば、母の実家の力関係や思惑で対立する。
作者はそのせめぎ合いを、15の家系図を駆使してわかりやすく交通整理している。
例えば、物語の展開に合わせて系図を簡略化したり、付け足したり。
曽我氏の娘を黒字にしたり、
名前が代われば、その都度 系図も変えたりして、
何回も何回も図を表示し、読者の脳裏に人間関係を叩きこんでいく。
これらの系図のお蔭で、とてもわかりやすく読めました。
私は歴史的人物を、NHK大河ドラマで学ぶことが多い。
勿論、ドラマの全てが史実に基づくものではないのを承知している。
通説とドラマとでは人物のイメージが違ったとしても《それもひとつの見方》と思い楽しんでいる。
例えば、永井路子著『炎環』に描かれる阿波局 ( 保子 ) と、NHK大河『鎌倉殿の13人』で描かれる阿波局(実衣)とは全く違う。
「裏切者」のイメージを持つ明智光秀も、大河『麒麟がくる』では好人物になり、山本周五郎作の大河「樅ノ木は残った」の原田甲斐も、今までの逆臣説から一転、忠義の人物という新見解によって描かれている。
このように、誰を主人公にしたかで、一人の人物像や世界感や様変わりする。
だいたい歴史書は覇者が編纂したものだから、敗者が悪人になるわけで、
そことのところを十分踏まえた上でみれば、歴史的人物像は何倍も愉しめるものだ。
今回の主人公も、そんなことを考えながら読んでみた。
永井路子が描く女帝の側からみれば、帝位にまつわる曽我の伝統をゆさぶる藤原鎌足の子孫たちの台頭は許せない悪で、とっちめてやりたい気分になる。
しかし視点を変え藤原側からすれば、曽我の血筋を振りかざす女帝たちは傲岸不遜な困った存在にしか見えなかっただろうな、
・・・とかなんとか、主役をスイッチして読んでみたら、不思議と二倍楽しめた読書になった。
本日の昼ごはん
金ちゃんラーメン
本日の夜ごはん
京のお揚げチーズ焼き、豚肉キムチ炒め、はんぺん明太子
・・・もうお分かりでしょうが、三品とも昨日の残りです。
今日は最初からご飯を食べ始めることに決めていたので、ご飯に合う小鉢が勢ぞろい。
サムギョプサル用と書かれた豚肉があったので、ささっと焼いて焼肉のタレをつけて、挟みで切りました。
ご飯、いっただっきまーす!
MOURI の誕生日用に買ったいちじく
26日には満腹で食べられなかったので、今日になって食べた。
あら、甘くもすっぱくもない。
最近、日本では果物が売れないのだそうだ。
売れないということは、値段も高くなり、桃一個 800円なんてことになる。
そうなればどんどん手がでなくなり、たまに安いのを買えば美味しくない。
美味しくないから、どんどん手がでなくなり、果物の値段は益々上がる。
こまったものよね。