先日よんばばさんのブログを読んで、膝を打ちました。
「夫さん」という呼び方について書かれた記事でした。
「夫さん」は人気のドラマ「カルテット」で使われていたセリフでしたね。
余談ながら、件の「カルテット」は、我が家でも楽しみにしているドラマです。
「うちで面白いと思ったドラマが、珍しく世の中の人気と一致した」と喜んでいる昨今です。
カルテット面白いですよね。
第一線とはいえない音楽家たちが演奏の場を得て一喜一憂する。
ミステリアスな4人の過去が明らかになっていくうちに、人間関係が少しずつ変化する。
関係性が変われば、不調和音が起こったり、心地よいハーモニーに変わったりする。
それぞれの心の響きが四重奏のようにからみあったり離れたりする。
音楽をからめて人間関係が描かれていくのがなんともお洒落です。
切なくて、心にしみて、ドキッとさせられる。
個人的には、遠いウィーンの地でドイツ人と四重奏のヴィオラとして活躍する友人、
斉魚 ( えつ ) 姉さんをオーバーラップさせて観てしまったりもしました。
ドラマでは印象的なセリフも沢山出てきました。
「夫さん」も新鮮だし、「みぞみぞする」もいい。
でもなにより好きなのはエンディングです。
椎名林檎を歌う彼女たち( 松たか子&満島ひかり ) 、歌も容姿も凄すぎる。
いやん話それた。m(__)m
ここからが本題
ででっ、話を戻します。
よんばばさんは、「夫さん」という呼び方から
「私自身、拝読しているブログにコメントを書いていて、ブログ主さんの配偶者の呼称にためらうことがよくある。以前は「ご主人」と言おうと「旦那様」と言おうと、別に現実には主従関係ではないのだし構わないではないかと考えていたが、近頃は、こちらはそういうつもりでも、言われた相手の方は不快かも知れない・・・などと考えてしまい、「お連れ合い」とか「ご伴侶」などの方がいいのだろうかと迷ってしまう。」
と、話を展開されました。
わかるわかる。
パンパンと膝を叩きまくりました。
私もコメントしたいと思いましたが、既に多くの方々で話題沸騰中。
出遅れた
私のは長くなりそうだし、話に水をさすかもしれぬ。で。ここに書くことにしました。
確かに、ご主人という呼び方には、妻が「従」の立場に聞こえる要素をはらんでます。
でも昔はそんなこと、誰も気にしなかった。
みんなそれを当たり前という風潮だったから、呼ぶ方も気にせずに済んでいたと思います。
元々、自分の配偶者のことを「旦那さん」と言われようが「ご主人」と言われようが、
それによって自分の立場が低くみられると思うこと、無いように感じるんですが。
主従でいえば、女が従であることが当たり前の環境で、私が育ったからかも知れません。
落語でもありましたな、こんな夫婦の喧嘩
旦那「おめぇ、誰のおかげで飯が食えるとおもってんだ」
かみさん「ほうらきた。誰のおかげでだと? あたしのおかげに決まってるじゃないか。
あたしがこうして家できちっと仕切っているから、安い稼ぎでもなんとかなるんだ。
試しにあたしを働きに出してごらん。倍、稼いできてやるよ」
旦那「それをいっちゃお前、おしめいだろうが」
こんな噺があるってことは、思いのほか男女間は対等でハッピーだったんじゃないかな。
ところが最近、
「奥さんと呼ばないで、付属品みたいで嫌だわ」という人がいたり、
「〇〇ちゃん (子供の名前) のママ」とママ友に呼ばれて傷つく人もいるらしい。
「私は私、名前を呼んで」
気持ち わからんでもないが めんどくせー
相手にどう呼ばれたって、それで自分が落ちたり上がったりするなんてことないはずなのに。
だったら欧米の「HEY YOU」の世界が面倒なくていいかもしれん。
「旦那さま」「ご主人」をやめて全部「ダーリン」に統一。
「奥さま」「妻」もホントは「ダーリン」でいいんだろうが、ここは「ハニー」ってことで。
よんばばさんやコメンテイターの皆さんのおはなしを読んでいて思いました。
日本人って、なんて繊細なんだろうと。
言葉をこんなに大事に扱う国はないかもしれない。
それに思いやり豊かな国民性。
呼び方で相手の気分を害すのではないかと配慮する日本人は、やはり素晴らしい。
感動します。日本人に生まれて良かったと思います。
だったら「呼ばれる側」も、逆配慮が必要かと思いました。
「そんなに気にしないで下さいね」と思わせる接し方。
「どう呼ばれたって屁でもない」という人が増えれば、 相手に気遣いをさせないで済むのだから。
欧米の習慣でこんなの思い出しました。
「なんて呼んだらいい?」と聞いてしまう。
もしくは「ジミーって呼んでもいい?」と尋ねてしまう。
なんて合理的なんだろう。
自分でどう呼んで欲しいかいうという手もありました。
可愛い子がいたの。誰からも愛されるキャラなんだけど、その子が初対面でこういった。
「はじめまして、もよりと呼んでください。」
彼女だから通用する手かもしれないけど ♥
こんな話を聞きました
ある映画のスタッフで、とても有能な女性がいました。
彼女は衣装を担当する人でした。
現場にひとり、こまっしゃくれた子役がいました。
子役は彼女を「〇〇さ~ん」と苗字で呼んでいました。
普通の話です。
でも、その子役の「〇〇さ~ん」は、どこか対等の、いえ、それ以上の、
こまっしゃくれ感 満載のものでした。
みんながそう感じる言い方でした。
彼女がついにキレました。
「私を、〇〇と呼ぶんじゃない」
「じゃあぁ~、どう呼んだらいいんですかぁ~?」
こましゃくれに対して彼女がはなった一言。
「・・・おばさんと呼びなさい。おばさんと!!! 」
一同、大爆笑。
あんな小僧に呼ばれるならば「おばさん」の方がはるかにまし。
気遣う心さえあれば、その人がどんな呼び方を選んでも
カルテットのあのシーンは、
みんなが真紀さんのことを気遣って、彼女がいま何に傷つくのか考えあぐねていた場面でした。
「夫さん」という言葉より、みんなの困った表情や間が、とてつもなく愛おしく感じました。
音楽家たちが持つセンスとでもいいますか、繊細で優しい、気持ちのこもった「夫さん」という響きだったから、とても印象深く私の心にとどまりました。
呼び名は永遠のテーマ か
日本人が、相手の気持ちをおもんばかる繊細さに長け、その場の雰囲気や立場、関係性を微妙に考える気質を持ち続ける限り、呼び名に正解はないのかも知れませんね。
最後に、長嶋茂雄さんと贔屓にしている寿司屋の大将の会話
長嶋「ヘイ シェフ」
寿司屋の大将「・・・ あっしのことですかい?」