garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

恩田陸 著『夜のピクニック』

 

『蜜蜂と遠雷』に続き、『夜のピクニック』を読みました。

学校行事で80㎞を歩きつづける生徒たちの話でした。

恩田さんの母校である茨城県立水戸第一高校の名物行事「歩く会」をモデルにしているんですって。

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とにかく、歩く、歩く。

80㎞ですってよ。

徘徊好きな私でも、そんなに続けて歩いたことはない。

 

高校生だから出来るのでしょうが、それにしても凄いことです。

この鍛錬歩行祭は、全校生徒参加なんですと。

歩くのが好きだったり運動部の子ならいいけど、苦手の子も参加しなければならない。

がしかし。

生徒にとって気の重い行事に思いきや、結構まんざらでもないようなんです。

 

ルールはこんなです

朝の8時から翌朝の8時まで歩きます。

夜中に数時間の仮眠を挟んで前半が団体歩行、後半が自由歩行です。

前半はクラス毎に二列縦隊で歩き、仮眠後の後半は、全校生徒一斉にスタートし、

自由歩行で母校のゴールを目指します。

 

ゴールの到着は「全校生徒中何番目」と順位がつくので、運動部の生徒はマラソンで競います。

それ以外の生徒は《歩き通す》が目的です。

途中で怪我をしたり具合が悪くなった子は、救護バスで 回収され 拾われます。

 

 

救護バスは、うとましい

嫌々の子にとっても、救護バスに乗せられるというのは屈辱らしい。

「バスに乗ろう」と説得する先生に、脂汗を流しながら「歩きたい」と泣く子もいるという。

特に三年生は高校生活最後のイベントですから、途中で一人だけやめてしまうなんて、

考えるだけでゾッとするんだそうな。

 

歩行祭について、こんなやりとりがありました。

「しかし、いつもながら変な行事だな。ただひたすら歩くだけ。

 わざわざ遠いところに出掛けていって、帰ってくる。変なの」

「単純な行事だから、これだけ続いたんじゃないの?」

「単純ったって、準備はめちゃめちゃ大変じゃん。宿泊所借りて、あちこち頭下げてさ」

 

主人公は、高校三年生の甲田貴子と 西脇(とおる)

実は二人は異母兄弟で、貴子は密かな誓いを胸に抱いて、歩行祭に臨みます。

それは、三年間 誰にも言えなかった秘密を清算すること。

 

歩くという行為

この本には、《歩く》を通しておきる事柄や心の変化が、たくさん書き込まれています。

《歩く》という行為は、ランナーズハイと同じ多幸感、高揚感が得られます。

こんな長距離の《歩く》は、《走る》とは違った経験も出来るみたいです。

自然の捉え方も違うし、友だちの今まで気付かなかった一面に触れたりもします。

日常生活で考えも及ばないようなことを、《歩く》という単純で継続的な運動で得られたりする。

なんて凄い行事なんだろうと羨ましくなりました。

 

 

同じ本を読んでも、人により見方は違うようです

MOURI は「よく描けている」としながらも、《歩く》にピンときた様子はありません。

彼にとっての《歩く》は、AからBへの移動手段のひとつで、

私の《歩く》が、移動手段プラス、思考や感情を活性化させる手段でもあるのと違うからです。

 

そんな私の《歩く愉しみ》を、具現化しドラマにしてくれたのがこの作品でした。

色んなシーンに萌えました、感銘も受けました。

例えばこの二つ。

長い海岸線を歩いているうちに、海にも慣れてくる。

耳に満ちている潮騒にも、徐々に無関心になる。

潮騒に負けないように張り上げている声も当たり前になる。

いや、それ以前に、だんだんみんな無言になってきていた。

むしろ、潮騒に沈黙を埋めてもらうことで、話す手間がはぶけてホッとしているようなところがある。

P.82

じっと風に吹かれて海沿いを歩いていると、自分がこの上なく無防備な存在に思われてくる。何もない空間に向けている身体が、世界に対して剥き出しになっているようで、なぜか落ち着かなくなってくるのだ。

建物の中に入りたい。

身体をどこかに隠したい、海の見えないところに逃げてしまいたい。

そんな衝動が、どこからともなく沸き上がってくる。

いたたまれない、っていうのはこういう心地のことを指すんだな。

P.83

そうそう!

《歩く》は、研ぎ澄まされた感覚を味わういい機会を与えてくれます。

 

人間関係についても《歩く》は、こんな変化を起こさせてくれる。

「融はさ、偉いんだよな」

忍が呟いた。

「なに?」

一緒、彼の言葉が聞き取れず、(とおる)は聞き返した。

「偉いよ、おまえは。よくやってるよ。おまえが何を目指してて、

 何のために努力してるのかは知ってるつもりだけどさ」

「なんだよ、その奥歯にモノの挟まったような言い方は」

多少冗談めかして言いかえしたものの、忍の表情は変わらない。

 

「説教していい?」

「俺に?」

忍は小さく頷く。

「そう。もっと夜中に言おうか、黙ってようかとも思ったけど、

 団体歩行の残り時間もどんどん少なくなっていくし、

 おまえ、テニス部の連中と歩くだろうから、今のうちに言っておこうかと思って」

「ふうん。いいよ」

融は、興味を覚えた。普段は、二人の会話は雰囲気だけで進んでいく。

言葉の断片だけがやりとりされ、二人が描いている絵は周囲の人間には見えない。

そこに林檎があるとわざわざ口にしなくても、~中略~ 彼らは一層共感を深めることができる。

~中略~ しかし、時にどちらかが林檎の存在を口にしなければならないことがある。

~中略~

今これからなされる話は、のちのちの二人にとって、とても大事な話になるのだろう。

P.142

上記は、ちょっと難しい言い回しですが、二人の関係の変化がよくわかるシーンでした。

融と忍は、阿吽の呼吸で物事を共有できる間柄でしたが、

《歩行祭》という非日常を通して、核心に迫るチャンスを得たのです。

この後の、忍の説教がまた良いんです。 ※私は途端に忍に惚れてしまいました。

が、内容は割愛します。是非とも 読んでみて欲しいから。

 

 

とにもかくにも。

この本の中には高校三年生のひとりひとりの心の様子が 綺羅星の如くつまってます。

貴子の決意を後押ししてくれたのが何だったか。

融の頑なな心をほぐしてくれたのは何だったか。

忍の想い。美和子の優しさ。お調子ものの光一郎のナイスプレイ。

彼らがくり広げる青春のひとこまひとこまにワクワクさせられます。

 

 

いいなあ、この行事。

いいなぁ、仲の良い友だちとこんな経験が出来るなんて。

最後に、心に響いたひとことを

雑音だっておまえを作ってるんだよ。おまえにはノイズにしか聞こえないだろうけど、このノイズが聞こえるのって、今だけだから、あとからテープを巻き戻して聞こうと思った時にはもう聞こえない。

忍、ほんっとにいいこと言うなぁと、この言葉でぞっこん惚れてしました。

 

「夜のピクニック」は映画にもなっているらしい。

どう映像化してくれているのか、遅ればせながら是非とも観たいです。 

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本日の朝ごはん

朝のミューズリーに、ココナッツが増えました (;'∀')

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本日の夜ごはん

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肉じゃが、ピータン、里芋、カニカマサラダ、砂肝の甘辛炒め

 

できあい、ちょっと味たんないカニカマサラダ

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砂肝が柔らかくできました。

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また里芋が残っているのに、リクエストされて作った肉じゃが

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アンデルセン 10月からの新メニュー「フロランタンデニッシュ」

デニッシュ生地に、アーモンドクリームとたっぷりのアーモンドスライスをのせた、

カリっとした食感のデニッシュ。

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これ、美味しい!

仏蘭西のボストーク ( ボストック ) に凄く似た食感で大好きな味でした。

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