garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

里見 弴 著『河豚 ( ふぐ ) 』

 

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題 名 : 河豚 fugu
原 題 : 実川延童の死 jitsukawa endou no shi
著 者 : 里見 弴 satomi ton
初 版 : 白樺 1913年(大正2年)12月
底 本 :

講談社文芸文庫
『初舞台/彼岸花

  里見弴作品選』

2003年05月10日
読了日 : 西原図書館蔵書 2012年04月19日
 

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 昭5年/槐書房 毛筆署名 限26 著者版 二重函

 

まるこ 里見弴の作品、初めて読んだわ。
もうり

里見弴って白樺派だよな。お兄さんも白樺派の有島武郎。

最近、明治・大正の作家にはまってるみたいだけど、それも鎌倉の影響?

まるこ

そう。この前 “ 大佛次郎邸の公開日 ” に、鎌倉行ってきたでしょう?。

帰りに西御門から回春院までプチ登山したのね。その途中『旧里見弴邸宅』を見つけたんだよね。建物の中を週1回見学できると書いてあったんだけど、その日は休館日というか居住者のプライベートな日だったの。

なかなか素敵な洋館に高床式の和館が隣接してて気になったんで、今度 見学しようと思って、で、その前に里見さんの作品を読もうと思ったの。

もうり

お宅拝見の前に作品拝読。(笑)

まあ動機はともあれ、興味が拡がることはよいことだ。

まるこ

最初に読んだのが『河豚(ふぐ)』。

《実川延童という歌舞伎役者が河豚にあたって死んでしまう》という短篇なんだけど、とても心地よい文章だった。ストーリーは「河豚 食べて死ぬ」という単純なものなんだけど、臨終に駈けつけた人々の描写が素晴らしいんだなこれが。

例えばこんなひとコマ。

「当時の名優海老十郎が見舞に来た頃にはもう大分に夜も更けていた。案内して来た男は途中ではたの人にせわしなく呼びかけられて、「どうぞあちらへ」と云いおいたまゝ、床の敷いてある部屋のふすま襖のところから小走りに引き返して行って了った。
   ~(中略)~
ひとり酒井国手は、人影の静かに揺らぐ石灯籠のそばまで身を退(すさ)って、両手を前で握り合わせてじッと立っていた。その容子には、(はたらき)()ちながらその処を得なかったものの奥ゆかしい控えめな慎みが現れていた。人々の注意のそとになったこの二人は自然と近よって、低い声で挨拶を交した。」

(あるじ)が臨終の時を向えた邸で、関係者がワサワサしている臨場感が伝わってして、自分もその場にいるような気分になったわ。里見弴って、人間描写がホントに上手だなと思う。

あ、それから。

ちょっと解らない描写があったので調べてみたの。

先の文章の中略の部分に、

「丁度延童の体が縁先の土に埋められた時だった。華美なくく纈り枕を()った首だけが、幾つもの色の違った灯に照り出されて、クッキリときわだって見えた。その、安々と眠っているとしか見えぬ美しい顔に何か少しでも変りが起こって来るのを、四五人の極く近しい男たちばかりで見守っていた。湿っぽい土の匂いは冷々とした夜気にこもって、人々のあたまのなかまでも浸み込んで行くようだった。」

という一節があるのね。


「縁先に首まで埋められた主人公?」って、もう死んでしまったのかと思ったんだけど、読み返してみたら、まだ息を引き取ったわけじゃない。一体これはどういうことかと思って、《昔・河豚中毒》とネットで検索かけたら判明した。

もうり ふぐ中毒の治療法だろ昔の。時代劇で見たことがあるな。
まるこ そうなのよね! 全く知らなかった。

【迷信】
かつてはフグ毒に当たると頭だけ出して地面に埋めれば治るなどの民間療法があったが、完全な迷信であり全く効果はない。他にも人糞等を食わせて嘔吐させるなどもある。こちらは嘔吐の際にフグを吐き出すために全く効果が無い訳ではないが、適切な処置ではない。人間以外ではネコはフグを食べても中毒しないとも言われるが俗信である。
Wikipediaより
もうり いくつになっても、日々勉強だな。
まるこ ほんとう。