Garadanikki

日々のことつれづれ Marcoのがらくた日記

横山秀夫『ノースライト』

 

横山秀夫『ノースライト』を読了。

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流石は横山さんだ。無駄なくテンポよくミステリーを展開させています。

ドラマを先に見てしまっていたのでミステリーの結末を知っていたことが悔やまれますが、

それでも大いに楽しめました。

 

【ざっとあらすじ】

主人公は、バブル期を経験する一級建築士の青瀬稔。

建築ラッシュに沸き忙殺された青瀬だったが、バブルがはじけ職を失い、同期の岡嶋に拾われる。

岡嶋の事務所では、店舗や商業施設の図面を、クライアントの指示に引く毎日だった。

そんな青瀬の元に、個人邸宅の仕事が舞い込んだ。

信濃追分にある80坪の土地に、夫婦と子ども3人の住む家を建てて欲しいという依頼だった。

施主-吉野陶太の要望はひとつだけ。

「青瀬さん、あなた自身が住みたい家を建ててください」

 

自分が住みたい家⸺

青瀬の心のどこかでスイッチが入った。

 

青瀬が建てたのは、北向きの家だった。

ノースライトを採光の主役に抜擢し、補助光として屋根に「光の煙突(ちむにー)」を授けた。

その家 ( Y邸 ) は、大手出版社が出した『平成すまい二〇〇選』に載った。

Y邸は建築家-青瀬稔の代表作となった。

 

青瀬の元には「Y邸のような家を建てて欲しい」という依頼が次々に舞い込む。

そんな依頼人の1人から「信濃追分のY邸を見学に行ったが、人が住んでいる気配がない」という情報が入った。

 

「住んでいない?」

青瀬は、吉野陶太とその家族の行方を追い始めた。

そして。意外な事実があきらかになっていく。

 

 

 

この意外な事実については、ドラマを観て知ってしまった為、

原作を読むにあたっては、そこにいきつくまでの過程を楽しむことになりました。

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《原作を読んでから、映画化・ドラマ化を観る》をモットーとするる私には珍しいことでしたが、

それでも原作を十分に楽しめたのは、テーマが大好きな《家》や《家具》の話だったからです。

 

そして。

原作を読み、改めてドラマ化された作品の素晴らしさを実感しました。

とても忠実に、作者の意向をくみとって丁寧に作られていたように感じました。

 

原作者の横山さんも ご機嫌な様子、番宣写真の笑顔が印象的でした。

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信濃追分に、実際に建てられたロケセットの家は圧巻でした。⤴

 

 

ドラマのキャスティングも、全員バッチリだったと思います。

特に岡嶋役の北村一輝さんが良かった。

 

私は、主人公の同僚建築士-岡嶋の生きざまに釘付けになりました。

岡嶋の貪欲さ、抜け目なさ、そしてもろさと温かさ。

人間の持つ複雑な感情が岡嶋の中に沢山詰まっていて素敵でした。

 

主人公の青瀬がどんな想いで仕事をしてきたのかも、以下のような文章でよくわかります。

足繁く信濃追分に通った。「Y邸」の建築予定地に立ち、「敷調」と呼ぶ敷地調査をしながら想像の翼を広げた。着想を得ては夜を徹してプランを練った。草案(エスキース)を何枚も何十枚も描いた。酒量が劇的に減った。そのことにも気づかないほどのめり込んでいた。事務所に来て初めてのことだった。拾ってくれた岡嶋には悪いと思いつつ、熱の籠った仕事はしてこなかった。バブル敗残はプライドのタガを緩ませた。それは単なる後遺症の域を越え、生きざまに関わる新緑をもぐらつかせた。事務所に舞込んでくる依頼を無難にこなすことしか頭になかった。摩擦やトラブルを避けるためなら自説も曲げた。一級建築士の体面を保ちつつ、実際にはクライアントの顔色を窺い、媚びた図面を引く、敗残時代と寸分変わらぬメンタルを隠し持っていた。

横山秀夫著『ノースライト』新潮社刊 p.35より

 

 

青瀬や岡嶋を通して建築家の《性》のようなものも、よくわかりました。

例えば、建築家同士の嫉妬がどんなものかとか、コンペの方法だとか。

具体的には以下の二つの文章が興味深いものでした。

「岡嶋の事務所では<建築家は家が完成し、いったん引き渡してしまえば、先方から何かを言ってくるまで接触を控える>というルールがあった」

「オーナー。クライアント。施主。建築士によって客の呼び方がまちまちなのは、最初に勤めた事務所の躾に由来する。」

 

本の核になる、ブルーノ・タウトについても横山さんは膨大な資料を読まれているようで、

それらタウトのエピソードが作品に厚みを持たせていたことにも感心させられました。

 

 

所蔵本で良かったかも

私は、大正・昭和初期の古書や、渋い作家の本は ( 渋谷区の図書館にはないので ) 購入し、

新刊・人気本は大抵、図書館で間に合わせています。

『ノースライト』も、図書館の予約待ちで借りるまで4カ月かかりました。

順番の回ってきた本は、背表紙が歪んで、変な角度になっていました。

歪んだ本って読みにくいですよね、本来ある角度に戻しながら苦労して読みました。

 

この本なら購入すればよかったな。と、今になって思います。

『ザリガニの鳴くところ』も、図書館の順番待ちで6か月経過。

これも『ノースライト』同様、買った方が良かったかなと思う本です。

図書館事情、とほほでございます。

 

 

 

本日の昼ごはん

釜玉うどんに~ 

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山椒の葉の佃煮!

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いや~うんまい!

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本日の夜ごはん

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ニラともやしには、コンビニで買った「燻製イカの炒め物」を追加

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トマトと三つ葉には、コンビニの「レモン塩のタン」を追加

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コンビニの総菜は、そのままよりこんな感じでアレンジすることが多いです。

自分の味とは別の料理になるから面白いんです。

 

先日買った丸いんげんを茹でました。

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そのままでもよし、マヨネーズをつけてもさらによし。

 

鶏の唐揚げ

米粉で揚げたので表面の感じがサクサク。

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ちょっと多めに作って残ったらサラダに、と思ったが、残りませんでした。

 

夕飯に白いご飯を炊いてしまった。

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納豆と山椒の葉の佃煮、食べたかったんだもの (;'∀')

おいしかったわ、ごちそうさま❤