garadanikki

日々のことつれづれ 駄目駄目さんのガラクタ日記

「みんなでまもった美術館」という本

 

東北 宮城から、こんな本が届きました。

「宮城県立美術館の移転問題」の経緯をまとめたものでした。

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A4判 ソフトカバーで272頁にもわたる資料には、

宮城県知事-村井嘉浩氏が押しすすめる

「県民会館・NPOプラザ・美術館を一箇所に集約させ建設し、

 今ある宮城県立美術館の建物を壊す、撤去するあるいは誰かに譲渡する」構想を撤回させた、

反対運動の経緯がわかりやすくまとめられていた。

 

問題が勃発した時の新聞記事⤵

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このような冊子はとかく読みにくいものが多いです。

役人が書いたような、読みにくく資料の羅列ばかりのものだったり、

住民団体の慣れない方が書いた、ともすれば感情的になりすぎる記事が目についたり、

一生懸命作ったのはわかるが、残念ながらそれが読み手に伝わりにくいものだったりすることも多い。

 

 

 

ところがこの本は凄いです。

非情によく出来ていて、感動しました。

とにかく見やすく、読みやすく、そして発信者の知性センスにあふれる本でした。

 

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紙もいい、レイアウトもいい。

そして問題の経緯を、冷静に中立に客観的にとらえる眼でまとめあげられている。

感動した!

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ところどころにはさまっているメッセージや写真のデザインも秀逸。

 

 

宮城県は、母が5年間中国料理店を経営していた以外、血縁者がある土地ではありません。

美術に造形の深い恩師の、そのお父様が仙台出身ということから、

「県立美術館移転問題」の話を間接的に知ったのがキッカケでした。

 

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県立美術館は、広瀬川の二段からなる段丘崖上に建っている。

設計は前川國男氏のよるものである。

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反対運動の争点は、

知事がすすめる「文化複合施設集約について」の真価を問うことと、

現存する美術館の文化的価値を ( 知事に ) 認識させ、取り壊しor譲渡案を撤回させることでした。

 

本紙は、活動の全容を日単位で追える週間ダイアリーのページもあった。

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知事は「有識者を集めこの移転案を検討した」としていますが、

県美ネットワーク ( 反対運動の名称-正式名は「宮城県美術館の現地存続を求める県民ネットワーク」 ) は、県知事側より多くの有識者に意見を求め、県内外の美術関係者、建築関係者、教育機関、報道機関をまきこみ活動を広げていました。

 

1年あまりの期間で、個人会員 2,190人、団体会員 16団体となった県美ネットワークの活動は、2020年11月16日移転撤回にこぎつけることとなりました。

 

 

知事の構想は、安直な発想、無謀な計画だった

本紙は運動の記録としてだけでなく、

私にとっては興味深い読み物にもなりました。

 

この本をキッカケにあらためて感じたのは、首長や為政者の中に、文化を解せずインテリジェンスのかけらもなく、金勘定に長け、利権に走る輩の多いことでした。

 

敬愛するブロガーよんばばさんの地元でも、前市長の「群れで暮らす象は群れで飼うべき」という主張に基づいて、インドから3頭の象がやってきたという話もありました。

hikikomoriobaba.hatenadiary.com

 

このような首長の呆れたとしか思えない愚案に、市や県や国が振り回され、税金が無駄遣いされていく様に怒りを覚えます。

彼らの乱暴狼藉ぶりは、反対運動や選挙を通してたたき倒すしかないのかと実感。

しかし、そうした市井の活動が実を結ぶ確立は非常に低いのも事実。

どうしたら、知的でかつ 人を思いやるあたりまえの心を持つ人間が先頭に立つ世の中にならないのでしょう。。。。

 

 

本紙に、知事が移転案を撤回した時の記者会見の記事がありました。

その冒頭に語られる知事の言葉が非常に印象出的なので、そのまま記載します。

知事になりましてから、辻井伸行さんのお母さんが書いた本を読んだことがございました。

大変感動いたしました。

辻井さんは生まれながらに目が不自由で見えなかったわけですけども、そうした辻井さんの手を引っ張ってお母さんが足しげく美術館に足を運んで、目の見えない辻井さんに美術品はこうなっているんだよ、絵はこうなっているんだよ、彫刻はこうなっているんだよということを語りかけて教えていたということを書いてございました。

それが辻井さんの美術的センスに非常に影響を与えたのではないかと思ったわけです。

 

つまり、目が見える、見えないに関わらず、小さな子供に美術品を見せる、関心がなくとも見せるということは非常に重要だろうなと、そう思ったわけです。

 

残念ながら私は小さいとき、父親、母親に美術館に連れていってもらったことがせん ( 原文ママ ) 。そして、私も仕事が忙しいということを理由に、自分のこどもを美術館に連れていったことが一度もないんですね。すごく反省をいたしました。

できれば、小さな子供さん方、特に親や関心が低い子どもさん方に美術品にできるだけ接してもらう、そういった機会を作ることが、私は行政として非常に大きなことではないかとずっと思い続けていたということです。

 

 

そうしたところにこの案 ( 現美術館を配して新しい美術館を作る ) を有識者の方々からのご意見をいただきながら作ったということでした。

この案を見たときに、県民会館と美術館というのは非常に親和性がありますし、仙台医療センターの跡地というのは野球場があって、陸上競技場もあって、そして県民会館がすぐ横に建っていて、目の前に病院がある。

 

本会議中に、野球のユニフォームを着た子どもさん方に球場でビラを配って、美術館に来てもらうということは素晴らしいことじゃないかと、私言ったことがありました。それに対して、その質問した議員は憤慨しておりましたけれども、私はあれは本音でして、そういった野球に感心があるけど美術に関心がないという親や子どもさん方に美術館に足を運んでもらいたい、このように考えていたということです。

 

  中略

 

この案を出したときに、恐らく多くの県民の方に喜んでいただける、よく考えてくださったなと言ってくれるかなと思ったら、あにはからんや、大変厳しいご批判が出たということです。確かにその批評を聞いて、なるほどなと思ったことで3つございました。

 

まず1点目は、

現在の川内にある美術館、この美術館の美術的価値というのを見落としていました。

前川國男さんという日本では大変有名な建築家が設計をされた建物で、あの美術館自体が1つの美術作品とも言えるという声です。

それを聞いてなるほどなと思いまして、私、実際上野にあります東京都美術館や東京文化会館にも足を運んで、実際に前川建築を見てまいりました。現在、かなり古くなっていますので、前川建築を潰して別の建物に替えるという自治体も実際ございますけれども、東京都などは前川建築をまだ大切に使っているということでした。

なるほど前川建築は確かに価値があるのだなということを、改めて自覚をいたしました。

 

「なるほど。あなたの文化に対する知識見識もその程度のものだったのか」と呆れる一方、「なんとまあ正直なおばかさんだろう」と苦笑してしまいました。

 

 

 

本日の昼ごはん

MOURI のお土産二品

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店先でこれを見ると、私の笑顔が頭をよぎるのだそうだ。

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これも好物、クリームコロッケ

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本日の夜ごはん

昨日も見たよなものがある、というのは錯覚 (;'∀')

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いつもはクレソンと和えるヒジキ煮ですが、今日のはちょっと残念

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右の方にチラっと写っているスープに感動していました。

春雨としじみを使ったスープなんですが、とても美味しかったそうです。

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